スターになっても“謙虚”。好調キングスをコート内外で支える万能戦士ドマンタス・サボニス<DUNKSHOOT>
2022年12月18日 18時00分THE DIGEST

今季のサボニスは平均17.7点、11.6リバウンド、6.4アシストとオールラウンドな活躍でキングスを牽引している。(C)Getty Images
1人の選手の加入で、歯車がよりスムースに回り出す。
1チーム5人という少人数でプレーするバスケットボールでは、それがより顕著に見られるのが実に面白い。現在サクラメント・キングスでそんな潤滑油となっているのが、今年2月のトレードでインディアナ・ペイサーズから加入したリトアニア人のビッグマン、ドマンタス・サボニスだ。
12月4日のシカゴ・ブルズ戦で今季最初のトリプルダブル(11得点、17リバウンド、10アシスト)を記録すると、14日のトロント・ラプターズ戦でも21得点20リバウンドで今季15勝目に貢献。
とりわけ、マイク・ブラウン・ヘッドコーチ(HC)がテクニカルファウルで退場となる中、1点差(124-123)で逃げ切ったこの試合での彼の奮闘は、代わって指揮を執ったスペイン人アシスタントコーチ、ジョルディ・フェルナンデスを大いに喜ばせた。
昨季も30勝52敗でリーグ24位と、長い低迷から抜け出せずにいるキングスだが、今季ここまで16勝12敗でカンファレンス6位につけている。しかも平均117.6点は、カンファレンス最多。リーグ全体でもボストン・セルティックスに次いで2番目と、高いオフェンス力を発揮している点も注目だ。
そしてサボニスは現在、平均17点以上、11リバウンド以上、6アシスト以上、フィールドゴール成功率60%以上を記録するリーグ唯一の選手となっている。
米放送局『NBC Sports』によれば、サボニスがコートにいる時間の100ポゼッションあたりのキングスの得点数は、不在時よりも13.2点も高いという。
リバウンドを奪っては、抜群の視野を生かしてフリーの仲間にパスを送り、ハーフコートオフェンスでは、ピック&ロールやハンドオフでガード陣にチャンスを作る。
エースのディアロン・フォックスとの相性もバッチリで、フォックスは今シーズン、フィールドゴール成功率、3ポイント成功率ともに、キャリアで最高の数字を記録している。
そうしたプレーでのアクションだけでなく、サボニスはコート上で積極的に声を出すコミュニケーターとしてもチームを牽引している。喉を使い果たした試合後のインタビューで声が裏返っているビデオは、ファンの間で拡散された。
コミュニケーターという点では、コート外でも同じだ。彼はその場の雰囲気和ませる「ロッカールーム・ガイ」として知られる。
また、米スポーツ専門局『ESPN』のコメンテーター、マーク・ジョーンズ氏が、ルーキーのキーガン・マレーに「チームで一番世話を焼いてくれているのは誰?」と尋ねたところ、迷わずサボニスの名前を挙げたという。
マレーがちゃんとやれているか、毎試合ドーナツを用意させられていないか等々、常に気を配って面倒を見てくれているのが、サボニスなのだそうだ。
ジョーンズ氏は「あれほどの才能があって、あれだけ謙虚なのは素晴らしい。何も達成していないのに、もっと偉そうな選手は山ほどいる」とコメントしている。
かつてポートランド・トレイルブレイザーズでプレーした彼の父アルビダスは、母国リトアニアでは誰もが知る国民的大スターだ。それだけに彼も、元ミス・リトアニアの母も、謙虚さ養うことを一番に考えて子どもたちを育ててきたと語っていた。
もちろん、サボニス効果だけでなく、ケンタッキー大時代にもフォックスとコンビを組んでいたマリーク・モンクと、シューターのケビン・ハーターの加入、そして、サンアントニオ・スパーズ時代に1度(2003)、ゴールデンステイト・ウォリアーズで3度(17、18、22)、アシスタントコーチとしてリーグ優勝を経験しているブラウンHCの手腕もある。
昨季は平均115.8失点でリーグワースト2位だった課題のディフェンスは、現在も下から9番目と失点は多めだが、ディフェンスレーティングは、27位(114.8)から18位の(112.6)と、改善されているのは好材料だ。
しかし、そうした数字うんぬん以前に、このメンバーが織りなすゲームは、個性やリズム感があってなかなか見応えがある。
最後にキングスがプレーオフに進出したのは2005-06シーズンだ。16年連続不出場の闇から抜け出せるのは、今シーズンかもしれない。
文●小川由紀子
1チーム5人という少人数でプレーするバスケットボールでは、それがより顕著に見られるのが実に面白い。現在サクラメント・キングスでそんな潤滑油となっているのが、今年2月のトレードでインディアナ・ペイサーズから加入したリトアニア人のビッグマン、ドマンタス・サボニスだ。
12月4日のシカゴ・ブルズ戦で今季最初のトリプルダブル(11得点、17リバウンド、10アシスト)を記録すると、14日のトロント・ラプターズ戦でも21得点20リバウンドで今季15勝目に貢献。
とりわけ、マイク・ブラウン・ヘッドコーチ(HC)がテクニカルファウルで退場となる中、1点差(124-123)で逃げ切ったこの試合での彼の奮闘は、代わって指揮を執ったスペイン人アシスタントコーチ、ジョルディ・フェルナンデスを大いに喜ばせた。
昨季も30勝52敗でリーグ24位と、長い低迷から抜け出せずにいるキングスだが、今季ここまで16勝12敗でカンファレンス6位につけている。しかも平均117.6点は、カンファレンス最多。リーグ全体でもボストン・セルティックスに次いで2番目と、高いオフェンス力を発揮している点も注目だ。
そしてサボニスは現在、平均17点以上、11リバウンド以上、6アシスト以上、フィールドゴール成功率60%以上を記録するリーグ唯一の選手となっている。
米放送局『NBC Sports』によれば、サボニスがコートにいる時間の100ポゼッションあたりのキングスの得点数は、不在時よりも13.2点も高いという。
リバウンドを奪っては、抜群の視野を生かしてフリーの仲間にパスを送り、ハーフコートオフェンスでは、ピック&ロールやハンドオフでガード陣にチャンスを作る。
エースのディアロン・フォックスとの相性もバッチリで、フォックスは今シーズン、フィールドゴール成功率、3ポイント成功率ともに、キャリアで最高の数字を記録している。
そうしたプレーでのアクションだけでなく、サボニスはコート上で積極的に声を出すコミュニケーターとしてもチームを牽引している。喉を使い果たした試合後のインタビューで声が裏返っているビデオは、ファンの間で拡散された。
コミュニケーターという点では、コート外でも同じだ。彼はその場の雰囲気和ませる「ロッカールーム・ガイ」として知られる。
また、米スポーツ専門局『ESPN』のコメンテーター、マーク・ジョーンズ氏が、ルーキーのキーガン・マレーに「チームで一番世話を焼いてくれているのは誰?」と尋ねたところ、迷わずサボニスの名前を挙げたという。
マレーがちゃんとやれているか、毎試合ドーナツを用意させられていないか等々、常に気を配って面倒を見てくれているのが、サボニスなのだそうだ。
ジョーンズ氏は「あれほどの才能があって、あれだけ謙虚なのは素晴らしい。何も達成していないのに、もっと偉そうな選手は山ほどいる」とコメントしている。
かつてポートランド・トレイルブレイザーズでプレーした彼の父アルビダスは、母国リトアニアでは誰もが知る国民的大スターだ。それだけに彼も、元ミス・リトアニアの母も、謙虚さ養うことを一番に考えて子どもたちを育ててきたと語っていた。
もちろん、サボニス効果だけでなく、ケンタッキー大時代にもフォックスとコンビを組んでいたマリーク・モンクと、シューターのケビン・ハーターの加入、そして、サンアントニオ・スパーズ時代に1度(2003)、ゴールデンステイト・ウォリアーズで3度(17、18、22)、アシスタントコーチとしてリーグ優勝を経験しているブラウンHCの手腕もある。
昨季は平均115.8失点でリーグワースト2位だった課題のディフェンスは、現在も下から9番目と失点は多めだが、ディフェンスレーティングは、27位(114.8)から18位の(112.6)と、改善されているのは好材料だ。
しかし、そうした数字うんぬん以前に、このメンバーが織りなすゲームは、個性やリズム感があってなかなか見応えがある。
最後にキングスがプレーオフに進出したのは2005-06シーズンだ。16年連続不出場の闇から抜け出せるのは、今シーズンかもしれない。
文●小川由紀子
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