レイカーズの永久欠番となったガソルが相棒コビーへの思いを語る「私のことを誇らしく思ってくれていることでしょう」<DUNKSHOOT>

レイカーズの永久欠番となったガソルが相棒コビーへの思いを語る「私のことを誇らしく思ってくれていることでしょう」<DUNKSHOOT>

3月7日、ガソルの背番号16がレイカーズで永久欠番となり、セレモニーが催された。(C)Getty Images

ロサンゼルス・レイカーズは現地時間3月7日、本拠地クリプトドットコム・アリーナでメンフィス・グリズリーズを112-103で下し、今季戦績をウエスタン・カンファレンス9位の32勝34敗(勝率48.5%)とした。

 プレーイン・トーナメント進出圏内に浮上したレイカーズは、アンソニー・デイビスがゲームハイの30得点、22リバウンドに2ブロック、デニス・シュルーダーが17得点、9アシスト、オースティン・リーブスが17得点、7アシスト、八村塁が17得点、6リバウンド、トロイ・ブラウンJr.が13得点で勝利に貢献。

 またこの日は、球団のレジェンドであるパウ・ガソルの背番号16が、レイカーズ史上12人目の永久欠番となり、セレモニーが催された。

 2001年のドラフト全体3位でアトランタ・ホークスから指名後、バンクーバー(現メンフィス)グリズリーズへトレードされてNBAキャリアをスタートさせたガソルは、08年2月1日にトレードでレイカーズへ電撃移籍。エースのコビー・ブライアントに強力な相棒が加わったチームは、同年から3年連続でNBAファイナル進出、09、10年には2連覇を達成するなど、王朝復活の原動力となった。
  スペイン出身の万能ビッグマンは2014年までレイカーズに在籍。約7シーズンで平均17.7点、9.9リバウンド、3.5アシスト、1.41ブロックの成績を残し、オールスター選出3回(キャリア通算6回)、オールNBAチームにも3回(同4回)名を連ねるなど、実績を積み上げた。

 晴れて永久欠番となるこの日、シックなスーツ姿にチャンピオンリングを左右の手にはめて会場入りしたガソルは、試合前の会見で「人生というのはものすごく早く進んでいくよね。学校で友達とバスケットボールをプレーしていた少年だったのに、瞬く間に、突然夢を実現しているんだから」と語り、さらにこう続けた。

「でも今夜は私にとってどんな夢や期待よりも勝るものであり、すごく重要な意味を持つ。そしてもちろん、コビーが天国から見守ってくれている。それが悲しみと喜び、痛みと楽しみを足している。そこにはいろんな思いがあるんだ」 この日の会場にはラマー・オドムやデレック・フィッシャーといった当時のチームメイトたちに、弟のマルクをはじめホセ・カルデロンやファン・カルロス・ナバーロらスペイン代表の戦友たち、さらにはシカゴ・ブルズでともに戦ったジミー・バトラー(マイアミ・ヒート)も会場に駆けつけてガソルを祝福。

 さらにはレイカーズ時代の指揮官フィル・ジャクソンも姿を現わすと、ガソルは「フィル、あなたは唯一無二の特別な存在です。選手たちを導くために勇気づけてくれてありがとう。私たちを今この瞬間に引き合わせてくれてありがとう。あなたのことはずっと大好きです」と恩師へ感謝を述べていた。

 レイカーズで苦楽をともにしたコビーは2020年1月末に帰らぬ人となったものの、彼の妻のヴァネッサはビデオメッセージで、「パウはコビーにとって、チームメイト、友人として特別な存在でした」とコメント。また、18年のアカデミー賞の際に、コビーがガソルについて語っていた映像も流れた。

「議論する必要はない。パウが引退したら、彼の背番号は自分の隣に飾られることになるだろう。現実として、パウなしで私は2つのチャンピオンシップを勝ち獲ることはなかった。パウがいなければ、LAの街に2つのチャンピオンシップが掲げられることはなかったんだ」
  最後にガソルも、アリーナに集まった大勢のファンを前に「兄弟(コビー)が私を成長させ、刺激し、より良い選手、より良い人間になるべく導いてくれました」と語り、盟友への想いを打ち明けた。

「彼がいなくて寂しい。多くの皆さんと同じように、私も彼のことが恋しい。ジジ(コビーとともに亡くなった次女)と一緒に彼がここにいてくれたら…。ですが、彼は私のことを誇らしく思ってくれていることでしょう。それに彼はこの瞬間を楽しみにしてくれていました。大好きだよ、兄弟」

 21年の東京五輪を最後に現役を引退したガソルにとって、今年は特別な1年となっている。レイカーズの永久欠番入りに加え、今年のバスケットボール殿堂入りも確実視されており、8月中旬の式典後に開催されるFIBAワールドカップではグローバルアンバサダーとして大会の盛り上げ役を担う。

 NBAとスペイン代表を長きにわたって牽引し、バスケットボール界に多大な功績を残してきたガソル。今後もその経験と人柄で、多くの人たちへ好影響を及ぼしていくに違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?