47戦無敗のワイルドナイツを支える2人の世界一経験者。南アフリカ代表のレギュラー格が組織の歯車となる脅威
2023年04月15日 11時42分THE DIGEST

ワイルドナイツの快進撃を支えるデアレンデ(左)とデヤハー(右)。世界一を経験した2人が組織の一員として機能できるのが大きな強みだ。(C) Getty Images
いったいなぜ、負けないのか。
ラグビーの埼玉パナソニックワイルドナイツは、公式戦47試合連続で無敗。旧トップリーグ時代から国内タイトル2連覇中で、今季の国内リーグワン1部でも開幕14連勝中で首位に立つ。
日本代表への選出経験者が18人と、分厚い選手層は魅力的だ。ただし特筆すべきは、強烈な個性がチームの文化、戦術に染め上げられていることだ。
つまり、いい選手たちがまとまっている。
特に相手に怖がられるのは、この2人だろう。
ルード・デヤハーとダミアン・デアレンデ。
いずれも、2019年のワールドカップ日本大会で3度目の優勝を果たした南アフリカ代表のレギュラー格だ。
世界一の経験者が、堅守速攻の勝ちパターンを支える。
まず加入1年目で30歳のデヤハーは、フォワード2列目のロックとして身長206センチ、体重127キロのサイズを誇りながら、タックルの低さを意識する。
頭部へのタックルが厳しく判定されるレフリングの傾向、母国よりも小柄な選手の多い日本の状況を鑑みてのことだ。自己改革に余念がない。
4月8日、埼玉・熊谷ラグビー場での第14節。自陣ゴール前で味方と堅陣を敷いたのは、前半34分頃のことだ。
自陣ゴール前で相手走者に刺さる。するとその接点へ、ニュージーランド出身のフランカー、ラクラン・ボーシェーが絡んだ。対するリコーブラックラムズ東京からペナルティーキックをもらった。
この一戦を25—12で制すると、デヤハーは言った。
「いいシステムと、いい人(仲間)がいるからこそ、いいタックルができた」
持てる資質を集団に還元するのは、デアレンデも同じだ。
バックスのインサイドセンターを担う31歳。タックラーを引きずって前に出たり、防御をぎりぎりまで引き寄せて多彩なパスを繰り出したりと、身長190センチ、体重105キロの体躯でチャンスを作る。
守りでも光る。
3月11日の第11節でのことだ。
この日は東京・秩父宮ラグビー場で、昨季の決勝を戦った東京サントリーサンゴリアスに一時14点差をつけられていた。
ただし時間を追うごとに、ワイルドナイツは微修正を施す。向こうの攻め手の並びに、自軍の防御網が符合するよう立ち位置を整えた。
そして7点のビハインドを追っていた後半15分、自陣10メートル線付近でデアレンデが際立つ。
フランカーのベン・ガンターと一緒に相手走者を掴み上げ、球出しを遅らせる。その間、残った防御役が列をなし、サンゴリアスの展開を封じにかかる。
最後はアウトサイドセンターのディラン・ライリーがインターセプト。快足を飛ばす。トライで点差を詰めた。
直後のコンバージョン成功でタイスコアとしたワイルドナイツは、結局、41―29で快勝した。渋く光った防御について、デアレンデは組織の一員として述べた。
「チョークタックル(相手を掴み上げる防御)ができたことでブレイクダウン(接点での球出し)を遅らせ、(チーム全体の)ディフェンスのセットがよくなりました」
4強以上でのプレーオフ行きはすでに決定。日本一を争う5月、2人はさらに真骨頂を示しそうだ。
文句なしの個の力を、文句なしのチームの力に繋げる。
取材・文●向風見也
【動画】後半の組織防御が光った東京SG戦をチェック
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日本代表への選出経験者が18人と、分厚い選手層は魅力的だ。ただし特筆すべきは、強烈な個性がチームの文化、戦術に染め上げられていることだ。
つまり、いい選手たちがまとまっている。
特に相手に怖がられるのは、この2人だろう。
ルード・デヤハーとダミアン・デアレンデ。
いずれも、2019年のワールドカップ日本大会で3度目の優勝を果たした南アフリカ代表のレギュラー格だ。
世界一の経験者が、堅守速攻の勝ちパターンを支える。
まず加入1年目で30歳のデヤハーは、フォワード2列目のロックとして身長206センチ、体重127キロのサイズを誇りながら、タックルの低さを意識する。
頭部へのタックルが厳しく判定されるレフリングの傾向、母国よりも小柄な選手の多い日本の状況を鑑みてのことだ。自己改革に余念がない。
4月8日、埼玉・熊谷ラグビー場での第14節。自陣ゴール前で味方と堅陣を敷いたのは、前半34分頃のことだ。
自陣ゴール前で相手走者に刺さる。するとその接点へ、ニュージーランド出身のフランカー、ラクラン・ボーシェーが絡んだ。対するリコーブラックラムズ東京からペナルティーキックをもらった。
この一戦を25—12で制すると、デヤハーは言った。
「いいシステムと、いい人(仲間)がいるからこそ、いいタックルができた」
持てる資質を集団に還元するのは、デアレンデも同じだ。
バックスのインサイドセンターを担う31歳。タックラーを引きずって前に出たり、防御をぎりぎりまで引き寄せて多彩なパスを繰り出したりと、身長190センチ、体重105キロの体躯でチャンスを作る。
守りでも光る。
3月11日の第11節でのことだ。
この日は東京・秩父宮ラグビー場で、昨季の決勝を戦った東京サントリーサンゴリアスに一時14点差をつけられていた。
ただし時間を追うごとに、ワイルドナイツは微修正を施す。向こうの攻め手の並びに、自軍の防御網が符合するよう立ち位置を整えた。
そして7点のビハインドを追っていた後半15分、自陣10メートル線付近でデアレンデが際立つ。
フランカーのベン・ガンターと一緒に相手走者を掴み上げ、球出しを遅らせる。その間、残った防御役が列をなし、サンゴリアスの展開を封じにかかる。
最後はアウトサイドセンターのディラン・ライリーがインターセプト。快足を飛ばす。トライで点差を詰めた。
直後のコンバージョン成功でタイスコアとしたワイルドナイツは、結局、41―29で快勝した。渋く光った防御について、デアレンデは組織の一員として述べた。
「チョークタックル(相手を掴み上げる防御)ができたことでブレイクダウン(接点での球出し)を遅らせ、(チーム全体の)ディフェンスのセットがよくなりました」
4強以上でのプレーオフ行きはすでに決定。日本一を争う5月、2人はさらに真骨頂を示しそうだ。
文句なしの個の力を、文句なしのチームの力に繋げる。
取材・文●向風見也
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