山縣亮太、桐生祥秀ら4人のV経験者が不在の男子100m。日本一を手にするのは誰だ!?【日本選手権】
2023年06月03日 06時00分THE DIGEST

昨年トップスリーになった選手たち。左から坂井、サニブラウン、栁田。写真:Getty Images、金子拓弥(THE DIGEST写真部)
ブダペスト世界陸上の日本代表選考会を兼ねる日本選手権が現在、大阪・ヤンマースタジアム長居で行なわれている。「日本最速」を決める男子100mを制するのは誰なのか。
今大会は日本選手権で優勝経験のある山縣亮太(セイコー)、桐生祥秀(日本生命)、ケンブリッジ飛鳥(NIKE)、多田修平(住友電工)は出場しない。男子4×100mリレーで世界大会のメダル獲得に貢献してきたスプリンターが不在のなか、注目すべきは前回のトップスリーになるだろう。
まずは前回王者のサニブラウン・アブデル・ハキームだ。今季は「感覚を戻すような感じ」で2レースに出場。追い風参考ながら10秒13で走っている。そして拠点を置く米国から5月30日に帰国した。
翌日に日本選手権の前日会見に出席すると、「世界のトップに立つ夢を一緒に追いかけたい」と話し、東レとグローバルパートナーシップ契約を締結したと発表。所属も「東レ」となり、新たな気持ちで1年ぶりとなる国内レースに挑むことになる。
「契約後初のレースなので良い姿を見せたいですが、アスリートとしてすべき仕事、競技面では変わらない。日本で走る機会が少ないので、応援してくださっている人たちによい走りを見せたい。地元で走るのは楽しみです」
2020年と2021年はケガに苦しんだが、昨年はオレゴン世界陸上の男子100mで7位入賞。2017年ロンドン世界陸上の男子200mで史上最年少ファイナリストとなった日本陸上界の至宝は、再び世界の“頂点”を目指していく雰囲気になっている。今季は久しぶりにケガなく冬季練習を積めたそうで、課題であるスタートも「平均して練習してきた」という。
オレゴン世界陸上入賞者は参加標準記録(10秒00)を突破した時点でブダペスト世界陸上の代表に内定するが、「仕上げていく過程で、勝手にポンと出るかなくらいの感じ」とあまりタイムは意識していないようだ。一方で、「勝ちたい気持ちはあるので、ラウンドごとにコンディションを上げていきたい」と初の連覇に意欲を示している。
男子100mは本日(6月3日)が予選のみで、明日に準決勝・決勝が行なわれる。サニブラウンは赤と青、左右非対称のカラーリングとなっているスパイクを着用予定。プーマの最新テクノロジーが搭載されたモデルでどんなパフォーマンスを見せるのか。
サニブラウンを脅かすとすれば前回2位の坂井隆一郎(大阪ガス)だろう。
昨季は自己ベストを10秒02まで短縮。今季はオレゴン世界陸上で金メダルに輝いたフレッド・カーリー(米国)らが参戦した5月21日のセイコーゴールデングランプリで存在感を発揮している。予選2組を10秒08(追い風1.7m)でトップ通過すると、決勝は右ふくらはぎがつりそうになりながら、10秒10(追い風0.4m)で3位に食い込んだ。「走りの内容はもう少しでしたけど、去年と比べて地力がついていると感じました。9秒台はコンディションが揃えば狙えるんじゃないかと思っています」と今大会の期待感を漂わせている。
坂井の武器は爆発力のあるスタートだ。後半型のサニブラウンとは対極にあるだけに、前半で前回覇者の走りを崩すくらいのインパクトを与えれば、初優勝のチャンスがあるだろう。逆にサニブラウンは坂井と互角のスタートを切ることができれば、日本選手権では初となる9秒台の可能性がある(※大会記録はサニブラウンが19年に樹立した10秒02)。
前回3位の栁田大輝(東洋大)は大学2年生になり、たくましさを増している。4月29日の織田記念は予選で10秒03をマークした桐生らを抑えて優勝。5月中旬の関東インカレは参考ながら10秒09(追い風3.1m)で連覇を果たした。関東インカレの100m決勝は「スタートから納得いかない部分が多すぎて、不甲斐ない走りでした」と本人は話していただけに、理想のレースができれば面白い。
それから前回4位で9秒98の自己ベストを持つ小池祐貴(住友電工)も忘れてはならない存在だ。桐生と同学年の28歳は25歳以下の3人を相手に先輩の意地を見せるだろう。100mの日本一決定戦は今回も間違いなく盛り上がる。
取材・文●酒井政人
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まずは前回王者のサニブラウン・アブデル・ハキームだ。今季は「感覚を戻すような感じ」で2レースに出場。追い風参考ながら10秒13で走っている。そして拠点を置く米国から5月30日に帰国した。
翌日に日本選手権の前日会見に出席すると、「世界のトップに立つ夢を一緒に追いかけたい」と話し、東レとグローバルパートナーシップ契約を締結したと発表。所属も「東レ」となり、新たな気持ちで1年ぶりとなる国内レースに挑むことになる。
「契約後初のレースなので良い姿を見せたいですが、アスリートとしてすべき仕事、競技面では変わらない。日本で走る機会が少ないので、応援してくださっている人たちによい走りを見せたい。地元で走るのは楽しみです」
2020年と2021年はケガに苦しんだが、昨年はオレゴン世界陸上の男子100mで7位入賞。2017年ロンドン世界陸上の男子200mで史上最年少ファイナリストとなった日本陸上界の至宝は、再び世界の“頂点”を目指していく雰囲気になっている。今季は久しぶりにケガなく冬季練習を積めたそうで、課題であるスタートも「平均して練習してきた」という。
オレゴン世界陸上入賞者は参加標準記録(10秒00)を突破した時点でブダペスト世界陸上の代表に内定するが、「仕上げていく過程で、勝手にポンと出るかなくらいの感じ」とあまりタイムは意識していないようだ。一方で、「勝ちたい気持ちはあるので、ラウンドごとにコンディションを上げていきたい」と初の連覇に意欲を示している。
男子100mは本日(6月3日)が予選のみで、明日に準決勝・決勝が行なわれる。サニブラウンは赤と青、左右非対称のカラーリングとなっているスパイクを着用予定。プーマの最新テクノロジーが搭載されたモデルでどんなパフォーマンスを見せるのか。
サニブラウンを脅かすとすれば前回2位の坂井隆一郎(大阪ガス)だろう。
昨季は自己ベストを10秒02まで短縮。今季はオレゴン世界陸上で金メダルに輝いたフレッド・カーリー(米国)らが参戦した5月21日のセイコーゴールデングランプリで存在感を発揮している。予選2組を10秒08(追い風1.7m)でトップ通過すると、決勝は右ふくらはぎがつりそうになりながら、10秒10(追い風0.4m)で3位に食い込んだ。「走りの内容はもう少しでしたけど、去年と比べて地力がついていると感じました。9秒台はコンディションが揃えば狙えるんじゃないかと思っています」と今大会の期待感を漂わせている。
坂井の武器は爆発力のあるスタートだ。後半型のサニブラウンとは対極にあるだけに、前半で前回覇者の走りを崩すくらいのインパクトを与えれば、初優勝のチャンスがあるだろう。逆にサニブラウンは坂井と互角のスタートを切ることができれば、日本選手権では初となる9秒台の可能性がある(※大会記録はサニブラウンが19年に樹立した10秒02)。
前回3位の栁田大輝(東洋大)は大学2年生になり、たくましさを増している。4月29日の織田記念は予選で10秒03をマークした桐生らを抑えて優勝。5月中旬の関東インカレは参考ながら10秒09(追い風3.1m)で連覇を果たした。関東インカレの100m決勝は「スタートから納得いかない部分が多すぎて、不甲斐ない走りでした」と本人は話していただけに、理想のレースができれば面白い。
それから前回4位で9秒98の自己ベストを持つ小池祐貴(住友電工)も忘れてはならない存在だ。桐生と同学年の28歳は25歳以下の3人を相手に先輩の意地を見せるだろう。100mの日本一決定戦は今回も間違いなく盛り上がる。
取材・文●酒井政人
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