「次の1年で飛躍したい」ピストンズの元“ドラ1”カニングハムが完全復活へ意気込み!「チャンピオンシップを狙えるチームへ」<DUNKSHOOT>

「次の1年で飛躍したい」ピストンズの元“ドラ1”カニングハムが完全復活へ意気込み!「チャンピオンシップを狙えるチームへ」<DUNKSHOOT>

2021年のドラフト全体1位、カニングハムが長期離脱した昨季からの完全復活を誓った。(C)Getty Images

デトロイト・ピストンズは、過去4シーズン連続でプレーオフを逃すなど再建の途上にいる。そのなかでもリーグ最下位の17勝65敗(勝率20.7%)に沈んだ昨季は、フランチャイズ史上ワースト2位という屈辱的なシーズンとなった。

 戦前から再建中のチームがプレーオフに進むと予想する識者は皆無に等しかったとはいえ、ここまでの不振に喘いだ最大の要因は、ケガ人の続出にある。

 米メディア『Spotrac』によると、昨季最もケガに泣かされたチームは、選手の総欠場数が計294試合にのぼるピストンズだった。チームの最重要選手ケイド・カニングハムは、昨年11月中旬に左脛(すね)を疲労骨折したことで手術を余儀なくされ、わずか12試合の出場でキャリア2年目を終えている。

 2021年のドラフトでピストンズから全体1位指名されたカニングハムは、201cm・100kgの大型ガード。1年目はオールルーキー1stチームに選ばれ、昨季もケガを負うまでは平均19.9点、6.2リバウンド、6.0アシストの活躍を見せるなど、再建に向けて不可欠な存在だけに、この男の長期離脱が大打撃となったことは言うまでもない。
  その若きエースは、8月上旬にラスベガスで行なわれた「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」のトレーニングキャンプで、アメリカ代表の練習相手を務めるセレクトチームに選出。時に代表チームを翻弄するほどの見事なプレーで復活をアピールした。

 実際は、アメリカ代表のロスター入りを打診されたものの辞退していたというカニングハム。8月6日に米スポーツ専門メディア『The Athletic』へ公開された記事の中で、その理由を明かしていた。

「そこ(代表活動)には数多くの移動がある。実際のスケジュールや練習、それらすべてに関わってくる。僕としてはこの夏を個人的なもの、新シーズンに向けてフィジカル面、メンタル面で万全になるために費やしたかった。その点が、決断するうえで決め手になった」

 カニングハムは昨季、チームメイトたちの戦いの大部分をサイドラインから見守ってきた。その間にリハビリをこなし、ワークアウトを積み重ねてプレーを再開できるコンディションを取り戻し、セレクトチームでは関係者へ大きなインパクトを与えた。ここまでは上々のプロセスを歩んでいると言えるだろう。 ただ、そこには苦悩もあったと、21日に米メディア『Clutch Points』へ公開されたインタビューで明かしている。

「自分自身、それにチームについてたくさん学べた気がする。それが今シーズンに向けて準備するうえで助けになった。あの期間は辛いものだった。僕はこれまで、あんなケガを味わったことがなかったんだ。長いリハビリを必要とする大ケガを負ったことは、僕にとって間違いなくこれまで経験したことがないものだった」

 司令塔の不在もあってリーグワーストに沈んだピストンズは、ドゥエイン・ケイシーHC(ヘッドコーチ)がフロントへ移動し、前サンズHCのモンティ・ウィリアムズが新たな指揮官に就任。オフにはドラフト5位でウイングのアサー・トンプソンを指名したほか、トレードでガードのモンテ・モリス、シューターのジョー・ハリスを獲得するなど、着実に戦力アップを図ってきた。

 復活するカニングハムと彼ら新戦力に、ベテランシューターのボーヤン・ボグダノビッチ、若手ガードのジェイデン・アイビーとキリアン・ヘイズ、同じく若手ビッグマンのジェイレン・デューレン、ジェームズ・ワイズマン、アイザイア・スチュワートらが嚙み合えば、攻守で躍動感にあふれたエキサイティングなチームになるだろう。
  10月3日にトレーニングキャンプが始まるピストンズは、8日からプレシーズンゲームを4試合こなし、25日のマイアミ・ヒート戦でシーズン開幕を迎える。

 今月25日に22歳の誕生日を迎えるカニングハムは、“3年目の飛躍”に向けて意気込む。

「もちろん、健康体になってチームのために常に出場できる状態を維持することが最大の目標になる。それに最も重要なのは、試合に勝ち続けていくこと。次の1年で、僕は飛躍したい。そしてチャンピオンシップを狙えるチームへ近づきたい」

 昨季の長期離脱からリベンジを期すカニングハム。ピストンズが復活するためには、この元“ドラ1”の活躍が必須となるだけに、どんなパフォーマンスを見せてくれるか、今から楽しみに待ちたいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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