「世界No.1ホース」イクイノックスを本命に“二強対決”の図式。大逃げを打つ馬が現れるとすれば――【天皇賞(秋)】

「世界No.1ホース」イクイノックスを本命に“二強対決”の図式。大逃げを打つ馬が現れるとすれば――【天皇賞(秋)】

世界No.1ホースの称号を頂くイクイノックス。天皇賞(秋)連覇でその強さを見せつけるか。写真:産経新聞社

10月29日(日)、第168回 天皇賞(秋)(GⅠ、東京・芝2000m)が行なわれる。出走数は11頭と少ないものの、秋の古馬中距離戦線の頂点を決める一戦にふさわしい豪華メンバーが揃った。

 注目は何と言っても昨年の日本ダービー以来、2度目の対決となるイクイノックス(牡4歳/美浦・木村哲也厩舎)とドウデュース(牡4歳/栗東・友道康夫厩舎)の直接対決であろう。

 28日(土)早朝の前売り単勝オッズで上位人気馬をピックアップしてみる。
 1番人気:イクイノックス(1.7倍)
2番人気:ドウデュース(2.5倍)
3番人気:プログノーシス(13.3倍)
4番人気:ダノンベルーガ(14.0倍)
5番人気:ジャックドール(15.4倍)

 オッズが10倍を切っているのはイクイノックスとドウデュースの2頭のみ。あとは10倍以上で、最終的にどの馬が3~5番人気を占めるのかは混沌とした状況だ。
 つまり、ことしの天皇賞(秋)は“二強対決”の図式で、実績的にも当然のことだと言えるだろう。

 筆者は東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅡ)の際に実馬と、その鮮烈なレース内容を見て以来、一貫してイクイノックスのファンであるから、以下の文章はいくらか割り引いて読んでもらったほうがいいだろうが、あらためて今回もイクイノックスを不動の主役と評価する。

 簡単にイクイノックスの足跡を振り返ってみる。
 いくらか線の細さを残した状態での出走となった昨春のクラシックでは、皐月賞がジオグリフの2着、日本ダービーがドウデュースの2着といずれも僅差で苦杯を飲まされた。しかし、ひと夏を越して馬体に実が入ってたくましさを身に着けた彼は、天皇賞(秋)で上がり3ハロン32秒8という鬼脚を繰り出して大逃げを打ったパンサラッサを捉えて優勝。続く有馬記念でも2着に2馬身半(0秒4)もの差を付けて快勝。事実上、この時点で国内No.1の座に就いた。

 満を持して感慨遠征に臨んだのは、ことし3月末のUAE、ドバイ。ここドバイシーマクラシック(G1)で意表を突く逃げを打つと、そのまま鞍上のクリストフ・ルメール騎手の手がまったく動くことなく、最後は流してゴールしたにもかかわらず、2着に3馬身半差もの差を付けていた。

 このレース結果を受けてIHFA(国際競馬統括機関連盟)が発表した「ロンジンワールドベストレースホースランキング」で世界No.1(129ポンド)の評価を受けた(最新版の本ランキングでも1位をキープしている)。

 ドバイからの帰国後は、ファン投票で史上最多得票(21万6379票)を得て宝塚記念に出走。木村哲也調教師が「(海外遠征のダメージもあって)完全な状態ではない」としつつも、直線9番手から抜け出して先頭に立つと、のちに凱旋門賞で4着に入るセブンスルーシーズの猛追をクビ差退けて優勝。国内外を股にかけてGⅠレース4連勝を達成した。

 それから約4カ月。放牧でじゅうぶんに疲労を取り、またしっかりと乗り込んで仕上げられたイクイノックスは、1週前追いでルメール騎手が跨ってコミュニケーションを取ると、最終追い切りで体の軸がぶれず、明らかに肉付きがよくなったトモを原動力に繰り出す力強いフットワークを披露し、記者たちを唸らせた。

 100%とは言わずとも、現時点で全能力を出し切れる態勢が整った”世界No.1ホース”に逆らう理由はない。 一方のドウデュースは、ライバルとかなり違った道を進み、秋は凱旋門賞を目標にフランスへ遠征して2戦を経験。ことしは2月の京都記念を圧勝してドバイ遠征に臨んだが、左前脚の跛行によってドバイターフ(G1)への出走を取り消して、レースを使えないまま帰国。今回はそれ以来、約7カ月ぶりの実戦となる。
  JRA競馬学校での検疫を経て北海道で放牧。当地も熱かったことから、8月6日に栗東トレセンへ帰厩して、じっくりと調整を積んできた。当初は「間に合えば天皇賞へ」という予定だったというが、じっくりと調整して友道調教師も納得する仕上がりまで持ってきた。

 追い切り後には、
「まわりの馬を威嚇するような感じで、すごく元気いっぱいでした。戦闘モードに入ってきたような感じです」
 とコメントし、”ダービー馬”としての失地を回復するべく大一番へ臨んできた。

 人気とはいえ、現役屈指の名トレーナーである友道調教師が渾身の仕上げを施したドウデュースを「対抗」のポジションに置かないのは失礼というものだろう。

 ただし、3番手以下をどう評価するかは難渋を極める。

 菊花賞、天皇賞(春)を制したジャスティンパレス(牡4歳/栗東・杉山晴紀)、札幌記念(GⅡ)を楽勝したプログノーシス(牡5歳/栗東・中内田充正厩舎)、昨秋の天皇賞でイクイノックスと僅差の3着に入ったダノンベルーガ(牡4歳/美浦・堀宣行厩舎)という実績馬たち。このなかでは札幌記念で道悪の影響を受けて4着に敗れ、今回は人気を落とし気味のダノンベルーガを推したい。

 もう一つ気になるのは、レース展開のことだ。

 絶対的な逃げ馬がいないメンバー構成となったレースで、大逃げを打つ馬が現れることは珍しいことではない。そのような見方から気になるのが、今春の大阪杯を逃げ切ったジャックドール(牡5歳/栗東・藤岡健一厩舎)である。

 昨年は札幌記念を勝ち、天皇賞(秋)でもイクイノックスに0秒3差の4着に粘り込んだ実績がある。久々に藤岡佑介騎手へと手が戻って思い切った逃げを打ち、後続と差を広げて直線へ向くような展開になれば、激戦が予想されるレースはよりスリリングなものになるだろう。
<了>

文●三好達彦
【動画】豪快な末脚でイクイノックスが差し切った2022年の天皇賞(秋)

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