「若手がレベルアップしている」元日本代表のトンプソンルーク氏が語るシックス・ネーションズの魅力

「若手がレベルアップしている」元日本代表のトンプソンルーク氏が語るシックス・ネーションズの魅力

シックスネーションズカップ、そして14年間過ごした日本について語ったトンプソンルーク氏。写真提供:WOWOW

現在ラグビー欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」が開催中されている。第1節から熱戦が続き、ラグビーファンの気持ちをよりかき立てる試合ばかりだ。

 特に2月2日(日)に行なわれたフランスvsイングランドは、昨年のラグビーワールドカップ2019日本大会で台風の影響により中止となった試合と同じカード。その時、準優勝という結果を残したイングランドを、ベスト8に終わったフランスが24-17で破るという波乱の幕開けとなった。

 この一戦では、日本代表71キャップを誇りラグビーワールドカップに4回出場したトンプソンルーク氏がWOWOWのゲスト解説を務めた。かつて薫陶を受けたエディー・ジョーンズヘッドコーチ率いるイングランドの敗戦、そして快勝した新生フランスをどのように見たのだろうか。また、14年プレーをした日本について試合後、話を聞いた。

──フランスvsイングランドのゲスト解説を終えて、いかがでしたか?

「すごく楽しかった。解説は初めてじゃないけど、僕は日本語が上手じゃないから言葉のミスもあっただろうし、ちょっと恥ずかしかったね(笑)」

──試合を見た感想は

「とてもおもしろかった。フランスの若い選手がすごくレベルアップしています。イングランドはワールドカップの決勝で良くないプレーをしていたけど、(フランス戦を見た限り)まだ大丈夫。シックス・ネーションズはこれからおもしろくなるでしょうね」
 ──勝ったフランスの印象はいかがでしたが?

「フランスは不安定なチームで、パフォーマンスが良いか悪いかのどちらか。試合前はどっちのフランスが出てくるかなと思っていたけど、素晴らしかったですね。完璧じゃないけど、若いSHアントワーヌ・デュポンとSOロマン・ヌタマックがいいゲームコントロールをしました。フォワードもフィジカルが素晴らしく、ディフェンスは規律もよかった。昔、フランスは規律があまりよくなかったけど、いいフランスになりましたね。でも、来週はどうなるのでしょう(笑)」

──ハーフ団の他にも気になった選手はいましたか?

「若い選手がみんな良かった。たとえばNo.8のグレゴリー・アルドリッドの努力は素晴らしかったですね。2トライしたキャプテンのFLシャルル・オリヴォンはラインアウトもよかった。CTBヴィリミ・ヴァカタワはワールドカップの時から良かったですね。ベンチにいた若い2人のPR(ジェファーソン・ポアロ、デンバ・バンバ)もスクラムで活躍しました。次のワールドカップで、ホスト国のフランスはすごくいいチームになるでしょう」 
 ──一方で、優勝候補の一角だったイングランドがいきなり敗れました

「エディーは残念に思っているでしょうね。来週の練習は厳しくなると思うので、僕なら行きたくないです(笑)。ワールドカップ後最初の試合だったし、選手は残念だったと思いますけど、それでもイングランドはタレントが素晴らしいですね」

──敗れはしたものの、活躍した選手もいました

「WTBジョニー・メイはよかったです。2本のトライはどちらも素晴らしかった。フォワードはスクラムが強かったですね」

──試合を見てあらためて、シックス・ネーションズはどんな大会だと感じましたか?

「シックス・ネーションズは長い歴史を持つすごい大会。ヨーロッパで一番高いレベルの試合が行なわれる、選手もファンもおもしろいと思える大会だと思います」

──昨年のワールドカップで日本はアイルランドとスコットランドと対戦しました。この2チームはやはり強かったですか?

「もちろんです。両方ともシックス・ネーションズで戦っているティア1のチームですから。でもジャパンはワールドカップでその両方に勝ちましたから、よかったです。両チームにとってワールドカップの結果は残念だったと思います。だからこそ、両チームともに次のステージはおもしろくなるでしょう」
 ──アイルランドの強さは、トンプソンさんが2017年に1度対戦した時とワールドカップとで、違いましたか?

「アイルランドはレベルアップしていました。とてもよくなっていた。でも、ジャパンはもっとレベルアップしていました。だから勝つことができたんです」

──強いスコットランドも撃破しました

「あの試合は前の日に台風があり、試合ができるように周りがいろいろやってくれたことがうれしかったですね。ジェイミー・ジョセフ(日本代表ヘッドコーチ)が周りの雑音をブロックアウトして、ゲームプランに集中することができました。ジャパンのスタイルをちゃんと貫けたから、素晴らしい結果になりました」
 ──ウェールズの印象はいかがですか?

「強いチームです。経験ある選手と若い選手のコンビネーションがいいですね。新しいスタイルになってもっとおもしろくなると思います。シックス・ネーションズではイングランドやフランスが注目されがちですけど、たぶんウェールズの方が強いと思います」

──イタリアについては、2018年の日本vsイタリアをテレビで応援していたそうですね

「そう。特に勝った試合(同年6月9日の1戦目)ですね。トニー・ブラウンが作り上げたジャパンのプレースタイルがすごくおもしろくて、また代表でやってみたい、まだできる、と試合を見ながら思っていました」

──昨年、見事に代表復帰を果たし、ワールドカップは4大会出場。母国であるニュージーランド(2011年)と長くプレーした日本(2019年)の両方の大会で活躍されました

「桜のジャージを着る瞬間は毎回誇りに思います。場所はどこであっても関係ありません。でも、その両方の大会に出場できたことはすごくいい経験です。生まれた国と住んでいる国でプレーできたことは素晴らしいメモリーですね」
 ──14年間プレーした日本はどういう国でしたか?

「すごく特別な国です。僕の心は半分日本人です。プレーした三洋電機、近鉄、サンウルブズ、ジャパンに対しては、誇りと感謝の気持ちでいっぱいです。いただけたチャンスの全てに感謝しています。ニュージーランドに帰りますけど、仕事もあるので毎年日本に戻ってきます。それができるのがうれしいです。特に(所属した近鉄の本拠地の)東大阪はたくさんの友達がいる、僕の実家ですからね」

 1月に現役を引退し、生まれ育ったニュージーランドに帰国後すぐに牧場経営の準備を始めるというトンプソン氏。今回はその直前のインタビューとなった。今後も大きく変化していきそうな日本のラグビーはもちろん、これまで対戦してきたシックス・ネーションズ各国の動向も母国ニュージーランドからチェックし、末永く見届けてくれるはずだ。

提供:WOWOW

●構成THE DIGEST編集部

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