今季2度目の無得点と沈黙した八村塁。オフェンス面で不振の理由は“ディフェンスでの貢献を意識しすぎ”?

今季2度目の無得点と沈黙した八村塁。オフェンス面で不振の理由は“ディフェンスでの貢献を意識しすぎ”?

3得点に終わったホークスとの前戦に続き、この試合でもオフェンス面が不調に。無得点と沈黙した八村。(C)Getty Images

3月8日(日本時間9日、日付は以下同)、ワシントン・ウィザーズはホームのキャピタル・ワン・アリーナで、強豪マイアミ・ヒートとの一戦に臨んだ。

 今季の両チームの対戦成績はヒートの2勝1敗。互いにホームゲームを制しており、ウィザーズは昨年12月30日のゲームに123−105で勝利している。その試合ではブラッドリー・ビール、ダービス・ベルターンス、八村塁ら主軸が不在のなかで、ジョーダン・マクレー(現デトロイト・ピストンズ)が29得点に加え8アシストと大暴れ。2WAY契約のギャリソン・マシューズが28得点、イアン・マヒンミも25得点とともにキャリアハイをマークし、イシュ・スミスも19得点、7アシストとチームをリードした。

 40勝23敗でイースタン・カンファレンス4位につけているヒートだが、アウェーでは13勝19敗と負け越しており、なおかつ敵地4連敗中。一方のウィザーズも、残り20試合を切った段階での成績が23勝39敗のイースト9位と、プレーオフ進出に向けて一戦も落とせない厳しい状況が続いている。
  そんななかで迎えた一戦は、ヒート優勢の展開で進んでいく。ヒートはジミー・バトラーがゲームメイクし、バム・アデバヨやダンカン・ロビンソン、ケンドリック・ナンらが着実に加点。対するウィザーズは、ビールとシャバズ・ネイピアー、ベンチスタートのベルターンスがショットを沈め応戦する。

 ヒートは前半で最大10点差をつけるも、徐々に詰められ57−54と3点リードで試合を折り返す。今季オールスターに初選出されたビッグマン、アデバヨが14得点、ロビンソンとナンがそれぞれ11得点とオフェンスを牽引した。

 一方のウィザーズは八村、トーマス・ブライアントの先発フロントコート陣がともに3ファウルに陥ったものの、ビールが20得点、ベルターンスは16得点、ネイピアーも13得点と奮戦。しかし、前半に得点したのはトロイ・ブラウンJr.(5得点)を含め、この4選手のみと攻撃が偏った印象だった。
  前半は両軍ともミスが多く、ヒートは11本、ウィザーズは8本のターンオーバーを記録。その反面ヒートは50.0%(7/14)、ウィザーズも50.0%(11/22)と3ポイントが好調で、個人ではビールが80.0%(4/5)、ベルターンスも62.5%(5/8)と高確率で沈めてみせた。

 八村は両チームトップの20分29秒コートに立ったものの、シュートは3本放って1本も決まらず。4リバウンド、2アシスト、1スティールを記録したものの、無得点に終わった。

 第3クォーターは両チームともショットミスとターンオーバーを多発し、ヒートが15点、ウィザーズが18点とロースコアな展開に。そんな状況下で、第4クォーター序盤を含めてベルターンスとネイピアーが奮闘し、ウィザーズがヒートに食らいついていく。

 対するヒートは、第3クォーターに大黒柱バトラーが左足を痛めて離脱したものの、若手タレントが活躍。高さと速さ、パワーを兼備するアデバヨがウィザーズのペイントエリアを荒らし回り、ロビンソンとナンがアウトサイドシュートを的確にヒット。ゴラン・ドラギッチやケリー・オリニクらベテラン陣が彼らを援護射撃し、アンドレ・イグダーラやソロモン・ヒルといった新顔のタフなディフェンスも光った。
  ホームで勝利を手にしたかったウィザーズだが、終盤に突き放され89−100で敗戦。1月8日のオーランド・マジック戦と並び、今季最少タイの得点に封じられた。

 ウィザーズはネイピアーが27得点、7アシストを奪ったほか、8本の3ポイントを沈めたベルターンスが25得点をマーク。エースのビールは23得点をあげるも、後半はフィールドゴール(FG)成功数が1/14と大乱調で、連続25得点以上の記録は21試合でストップした。

 八村はファウルトラブルに陥りながら39分33秒プレーしたものの、昨年11月6日のインディアナ・ペイサーズ戦に続いて今季2度目の無得点。6リバウンド、3アシスト、1スティールを記録した一方で、FGは0/8、3ポイントも0/2に終わった。
 「前の試合、(ルイの)何が良かったかというと、FGを決められなかったのに試合にインパクトをもたらしたこと。ディフェンスとリバウンドで貢献し、必要な時にオフェンシブ・リバウンドを掴んだ。試合の流れが相手に傾いた時にチームを救ってくれたし、(終盤に)フリースローもしっかり決めた。あとはディフェンスをもっとしっかりやること。前の試合は得点面で苦しんでも、チームに大きく貢献してくれた。今日は得点面でもバウンスバック(挽回)を見たいね」

 ヒート戦を前に、スコット・ブルックス・ヘッドコーチは八村をこう評していたのだが、残念ながら期待に応えることができず。前回無得点だったペイサーズ戦の次の試合では、クリーブランド・キャバリアーズ相手に21得点と見事に復活したものの、3得点にとどまった6日のアトランタ・ホークス戦に続き、この試合でも沈黙してしまった。

 ほぼオープンな状態で放った3ポイントはミスに終わり、ゴール下で放ったショットもブロックの餌食に。イグダーラやヒル、アデバヨといったディフェンス巧者たちの前に、ファウルを誘うこともできず、オフェンス面で残念な結果になったことは否定できない。
  それでも、この試合で27得点、14リバウンド、6アシストと暴れ回ったアデバヨに、最も上手く対応できていたのが八村だったことも事実。ブライアントを圧倒するスピード、モリッツ・ヴァグナーでは対処しきれないパワーを兼備するアデバヨに対し、八村は持ち前の機動力と身体の強さ、そして腕の長さを駆使して奮戦していた。

 ディフェンスでも、ペイントエリアでボールを持った選手、特にバトラーへ素早くカバーに寄ったことで、ターンオーバーやショットミス、さらに相手がパスを選択せざるを得ない状況へ追い込むプレーを何度も見せていた。オフェンスにおけるヒートのファーストオプションを八村が消していたことは、この試合でウィザーズが善戦できた、見逃せない要因のひとつだ。
  得点が伸びず苦しんでいる感は否めないものの、第4クォーター序盤にはファーストブレイクからユーロステップでディフェンダーをかわす鮮やかなムーブを見せるなど、オフェンス面で光るプレーもあった。リバウンド争いから何度もルーズボールに跳び込んだり、ヒートのパスミスを誘発するなど、ハッスルプレーでの貢献ばかりが際立っているだけに、「チームが勝利するために必要なこと」と判断して、ディフェンスに意識を集中しすぎているのかもしれない。
  ここ数試合の八村は、攻撃面において活躍できているとは言い難い。それでも、ディフェンスでの貢献度はチームトップと言っても過言ではないほど、献身的な働きを披露している。シュートタッチが悪いなかでも、自身にできる最高のパフォーマンスを見せているだけに、10日のニューヨーク・ニックス戦では必ずや質の高いプレーでチームの勝利に導いてくれるはずだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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