「この勝利は他のものと異なっている」WRC6度王者のセバスチャン・オジエが今季初優勝も、ラリー開催に疑問

「この勝利は他のものと異なっている」WRC6度王者のセバスチャン・オジエが今季初優勝も、ラリー開催に疑問

WRCのラリー・メキシコで優勝したオジエ(写真右)(C)Getty Images

WRC(世界ラリー選手権)第3戦『ラリー・メキシコ』が3月14日に終了。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエが今季初勝利を収め、ドライバーズランキングでも第2戦終了時点で首位に立っていた同僚のエルフィン・エバンス、ヒュンダイのティエリー・ヌービルを抑えてトップへと躍り出た。

 2日目終了時点で2位に13.2秒差をつけていたオジエが、3日目最初のステージでこの週末初のベストタイムを記録。午前中を終了した時点で差を28.3秒に広げ、その後も安定した走りで首位を譲ることなく優勝を手に入れた。

 当初3月15日まで計4日間にわたって争われる予定だった同ラリーは、新型コロナウイルスの影響で急きょ3日間に日程を短縮して開催された。

 トヨタ加入後、初めての勝者となったオジエは「チームは今週末、素晴らしい仕事をしてくれた」とスタッフの労をねぎらいながらも「この勝利は他のものとまったく異なっている。なぜならこのラリーは行なわれるべきではなかったと感じるからだ。人の命を守ることは、他のどんな事柄より優先されなければならない」とラリーを開催したこと自体にSNSを通じて疑問を呈した。
  これを読んだファンからは「感動的な言葉をありがとう! 私たちは自分だけでなく、すべての人の健康と幸福のために正しい選択をする必要がある」「このような状況の中、あなたはプロとして仕事に徹し、見事メキシコで6回目の勝利を収めた。思慮深い言葉に感謝します」「セバスチャン、あなたはメキシコ人にとって家族です!! このほろ苦い勝利を祝福します」等々、共感および賞賛のコメントが投稿された。

 チーム総代表を務める豊田章男社長も「今回の大会開催にあたっては、主催者をはじめとする地元の皆様が、大会をより安全に開催できるように配慮されていたと聞きました。ファンの皆様にラリーを楽しんでいただけたのも、彼らの懸命な働きによるところだと思います。本当にありがとうございました。また、選手たちはファンといつもより距離を置いて接さざるをえなかったとも聞きました。そんな中でも、ファンに残念な思いをさせまいと、精一杯のファンサービスをしてくれたドライバーたちの姿を大変嬉しく思います。みんなありがとう」と公式コメントを通じて複雑な胸中を覗かせた。
  4月23日〜26日にかけて行なわれる予定だった『ラリー・アルゼンチン』の延期はすでに発表されており、現在のところ、次戦は5月21日〜24日開催の『ラリー・ポルトガル』となる予定だ。


 【ラリー・メキシコ 総合順位】
1位 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(トヨタ ヤリス WRC) 2h47m47.6s
2位 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +27.8s 
3位 テーム・スニネン/ヤルモ・レーティネン(フォード フィエスタ WRC) +37.9s
4位 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(トヨタ ヤリス WRC) +1m13.4s
5位 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン(トヨタ ヤリス WRC) +2m20.5s
6位 ポントゥス・ティディマンド/パトリック・バース(シュコダ・ファビア R5) +10m29.3s
7位 ニコライ・グリアジン/ヤロスラフ・フェドロフ(ヒュンダイ i20 R5) +12m27.0s
8位 マルコ・ブラチア/ジョバンニ・ベルナッキーニ(シトロエン C3 R5) +13m37.5s
9位 ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン(フォード フィエスタ WRC) +13m56.5s
10位 オーレ・クリスチャン・ヴェイビー/ヨナス・アンダーソン(ヒュンダイ i20 R5) +15m32.2s

文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
 

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