“ダブル・ニッケル”から25年。ジョーダンの元同僚が語る、2度目の3連覇の前兆となった“神様”の伝説的パフォーマンス

“ダブル・ニッケル”から25年。ジョーダンの元同僚が語る、2度目の3連覇の前兆となった“神様”の伝説的パフォーマンス

復帰直後のジョーダンが、ニックス相手に55得点を叩き出した伝説のパフォーマンスは“ダブル・ニッケル”と呼ばれている。(C)Getty Images

1995年3月28日(日本時間29日、日付は以下同)、1度目の引退からカムバックしたマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)は、復帰5試合目のニューヨーク・ニックス戦で55得点をマーク。バスケットボールの聖地マディソンスクエア・ガーデンで、圧巻のスコアリングショーを繰り広げた。

 この“ダブル・ニッケル”(5セント硬貨のことをニッケルと呼ぶことに由来)と呼ばれる超絶パフォーマンスから25年。当時の同僚だったカナダ出身のビル・ウェニントンが、『NBCスポーツ』の電話インタビューで“神様”との思い出を振り返った。

 ジョーダンの1学年下にあたるウェニントンは、1985年のドラフト1巡目16位指名でダラス・マーベリックスに入団。1990−91シーズンはサクラメント・キングス、1991−92シーズンから2年間はイタリアでプレーし、ジョーダンが引退した1993−94シーズンからブルズに加わった。

 ブルズは同年に55勝をあげながらも、イースタン・カンファレンス準決勝でニックスに力負け。翌シーズンも1991〜93年の3連覇メンバーであるスコッティ・ピッペン、BJ・アームストロングが奮闘したが、絶対的エースの抜けた穴を埋め切れず、65試合を終えた段階で34勝31敗と、苦戦を強いられる日々が続いた。
  そんな状況下で、1995年3月19日にジョーダンが電撃復帰。以降は13勝4敗と一気に巻き返したが、ウェニントンはチームに生じた“変化”をこのように証言する。

「最初の3連覇や当時の練習がどんなものだったか聞いてはいたけど、彼(ジョーダン)が戻って、すぐにすべての話が本当だとわかった。一気にインテンシティの強度が上がったんだ。それまでも、スコッティ(ピッペン)が(ジョーダンから)伝承し、競争力が保たれていたから、私がそれまでプレーしてきたどのチームよりもすでに高かった。だけどマイケルが戻ってきて、それは2倍になったよ」

 ジョーダンも“野球仕様”となっていた身体のキレをすぐに取り戻すことはできなかったが、復帰戦から19得点→21得点→27得点と徐々に数字を上げ、4戦目となったアトランタ・ホークス戦では決勝ブザービーターを含む32得点。そして、続くニックス戦での大爆発に至った。ウェニントンは対戦相手が宿敵ニックスだったことが、ジョーダンの闘争心に火をつけたと述懐する。
 「彼の状態が急激に良くなっていくのを見て、正直驚いた。コートで自分がやりたいことを何でもやってしまったからね。彼は(マディソンスクエア)ガーデンでプレーしたがっていた。ガーデンはプレーする上で素晴らしい場所だと考えていたんだ。特に、ブルズとニックスにはライバル関係があったからね」

 試合は111−111の同点で迎えた第4クォーター残り3.1秒、ジョーダンがジョン・スタークスとパトリック・ユーイングを引きつけてゴール下へパス。決勝点となるダンクを叩き込んだのが、途中出場のウェニントンだった。

「自分の役割を果たし、適切なスペースを保って邪魔をしないようにしなければいけなかった。パトリック(ユーイング)が私から離れたから、ゴール下に向かってリバウンドと、パスを受けられる準備をした。そして、マイケルはパスした。彼は私の頭を軽く叩いて『いいシュートだ』と言ったよ。

 彼はほかの選手に対して厳しいという評判だった。ただ、それは単に周囲に対して自分の役割をこなすことを期待しただけだ。常に勝利にフォーカスしていたからね。彼は私が誰かに得点を許して腹を立てたことは一度もないと思う。でも、ボールから目を離したり、ボールを失ったり、適切なタイミングで適切な場所にいないようなことがあれば、すぐに指摘してきた。それは彼にとって、勝利を求める延長線上にあることだからね」
  ブルズはこの年、カンファレンス準決勝でオーランド・マジックに敗れたが、ジョーダンが55得点をあげたニックス戦が、翌シーズンに当時のNBA新記録となる72勝をあげ、2度目の3連覇へとつながる前兆だったと振り返る。

「その試合は、全員が同じ考えを持っていれば、私たちが本当に良いチームだということに気づくきっかけになった。そして次のシーズン、私たちの考えが一致して、チームとしてひとつになったんだ」

 NBAの歴史に刻まれたジョーダンの伝説的パフォーマンスは、ブルズ復権のターニングポイントとして今後も語り継がれていくだろう。

構成●ダンクシュート編集部

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