カリーはシューティングを重視したナッシュ?2人を指導したドン・ネルソンが現No.1シューターについて言及

カリーはシューティングを重視したナッシュ?2人を指導したドン・ネルソンが現No.1シューターについて言及

ナッシュ(左)はカリーと同様、抜群のシュート力を誇ったプレーメーカー。キャリアで平均20点を超えたシーズンは1度もなかったが、パサーとして試合を支配し、2度のMVPを獲得した。(C)Getty Images

今季でキャリア11年目を迎えたゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーは、元NBA選手でシャープシューターのデル・カリー(元シャーロット・ホーネッツほか)を父に持つサラブレッドだ。

 2009年のデビューからウォリアーズ一筋でプレーしてきたカリーは、3度の優勝、2度のシーズンMVP受賞に加え、オールスターとオールNBAチームにそれぞれ6度選ばれたスーパースターとして知られている。

 カリーと言えば、3ポイントシューターのイメージが強い。プロ入り後、すべてのシーズンにおいて平均2本以上成功。今季はケガのため5試合の出場にとどまっていたこともあり、成功率は24.5%に沈んでいるが、昨季までの10シーズンすべてで成功率41.0%以上をマークしている。

 レギュラーシーズンにおける通算3ポイント成功数は2495本で歴代3位、成功率でも43.5%で歴代6位につけている。なお、プレーオフ(470本)、ファイナル(121本)の成功数ではどちらも歴代トップで、レギュラーシーズンにおける記録でも1位に浮上すれば3ポイントにおける“三冠”となり、文句なしに歴代最高の3ポイントシューターという称号を手にすることだろう。
  もっとも、元NBA選手を父に持つカリーのキャリアは決して平坦ではなかった。“デル・カリーの息子”という言葉が先行し、シャーロット・クリスチャン高校でも全米級の知名度はなかった。デイビッドソン大3年時に全米トップの平均28.6点を叩き出し、脚光を浴びたとはいえ、2009年のドラフトで7位指名されたことを疑問視する声があったのも事実。

 だが、カリーのルーキーシーズンにウォリアーズのヘッドコーチ(HC)を務めたドン・ネルソンは違う見方をしていたという。

「(周囲は)あの男がリーグのMVPになるなんて考えてもみなかっただろう。でも私はオールスターのポイントガードになれるかもしれないと思っていたよ」

 ネルソンは4月8日(日本時間9日)に公開された『95.7 The Game』の電話インタビューに応じ、カリーについてこう続けた。

「私はシューティングを重視したスティーブ・ナッシュのようになるだろうと見ていた。スティーブにとって(スコアリングより)アシストすることがもっと重要だったんだ。いつもスティーブにはもっとシュートするように言ってたよ。でもステフに関しては全く心配していなかった。オープンになれば、すぐさまショットを放つ準備ができていたからね」
  NBAで30年以上にわたって指揮官を務めてきたネルソンは、通算2398試合で1335勝1063敗(勝率55.7%)とNBAのヘッドコーチとして歴代最多勝を記録する名将。

 オフェンス重視、いわゆる“ラン&ガン”にプライドを持っていたネルソンが指揮したチームにおいて、ベストなポイントガード(PG)と言えばナッシュだろう。相手ディフェンダーの意表を突くドライブやパス、リング下をドライブで通り抜けて繰り出すアシストで観衆を沸かせたレジェンドは、正確無比なシュート力も兼備していた。

 ナッシュは1996年にフェニックス・サンズでデビュー。2年プレーしたのち、98年にダラス・マーベリックスと契約しネルソンの下でプレーした。2004年にサンズへ復帰すると、05、06年と2年連続でシーズンMVPを受賞。18シーズンのうち7シーズンで平均2桁アシストを残し、歴代3位の通算1万335 本でキャリアを終えている。

 だがネルソンが話したように、ナッシュのシュート力は歴代PGの中でも最高級の精度を誇っていた。ナッシュは1シーズンを通してフィールドゴール50%、3ポイント40%、フリースロー90%以上を記録する“50-40-90”クラブに歴代最多の4度入っており、勝負どころでは最も危険なシューターとして相手チームから恐れられていた。
  だが意外なことに、ナッシュは引退後に「私はスマートだったとは言えない。1試合で20本ショットを放つべきだったかもしれない。今ではポイントガードのプレーがちょっと違うんだ。まずはリングへアタックすることが最初のポイントになっている。欠点として、私はちょっとファシリテーター(ゲームの進行役)としての要素が多くを占め過ぎていたんだろうね」と語っていた。

 キャリアを通して、ナッシュは平均20点超えを記録したシーズンは一度もなく、自己ベストは05−06シーズンの18.8点、1試合の平均シュート試投数は13.6本だった。もし本人が振り返ったように、毎試合平均20本のショットを放っていれば、平均25点前後は軽々とクリアしていたに違いない。

 一方で、カリーはキャリア4シーズン目から8年連続で平均20点超えをマーク。平均20.2本のショットを放った15−16シーズンには平均30.1点で得点王に輝き、ウォリアーズを歴代最多の73勝9敗へと導く立て役者となり、満場一致でMVPを手にしている。

 両選手のキャリアを見ていると、ネルソンがカリーのルーキーシーズンに悟った“シューティングを重視したスティーブ・ナッシュ”という選手像は、あながち間違いではなかったと言っていいだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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