タレント揃いも戦前の期待を大きく裏切ったシクサーズ。誤算続きだったチームの未来は?

タレント揃いも戦前の期待を大きく裏切ったシクサーズ。誤算続きだったチームの未来は?

大黒柱のエンビートはシモンズや新加入のホーフォードと上手く共存できず、今季は平均23.4点と伸び悩んだ。(C)Getty Images

「期待外れのチーム(Underachievers.)」。今季ここまでのフィラデルフィア・セブンティシクサーズ(シクサーズ)の戦いぶりを振り返った時、彼らがそんな風に評されてしまうのは仕方ないのだろう。

 昨季のシクサーズは後にファイナル制覇を果たすトロント・ラプターズをプレーオフのカンファレンス・セミファイナルで苦しめ、敵地での第7戦でも逆転勝利の一歩手前まで迫った。ジョエル・エンビード、ベン・シモンズという若きスーパースターデュオを擁するチームが、オフにアル・ホーフォード、ジョシュ・リチャードソンを加え、今季に向けた前評判も抜群に高かった。

 ところが――。

 開幕5連勝を飾った時点では下馬評通りにミルウォーキー・バックスの対抗馬として浮上するかと思われたが、その後は停滞。特にアウェーで10勝24敗と弱く、強豪チームを相手に接戦で勝ちきれないゲームも多かった。

 結果として、コロナショックによってシーズンが中断される前までの時点で39勝26敗。イースタン首位のバックスに14ゲーム差をつけられ、このままいけばプレーオフ第1ラウンドのホームコート・アドバンテージも手に入らないカンファレンス6位。開幕前には地元ファンも“ファイナル進出以外は失敗”と期待を寄せていたことを考えれば、低調と見られても仕方がない。
  誤算の多いシーズンだった。26歳の主砲エンビードはコンディションがベストに見えず、合計21戦に欠場。23歳のシモンズもオフの間に3ポイントを練習したと報道されたにもかかわらず、実戦でなかなか打とうとしない姿勢に疑問が呈された。この2人は個人成績も昨季と同等かそれ以下にとどまっており、伸び悩んでいる感は否めない。特にMVP候補の声もあったエンビードに対して、昨年12月、『TNT』の番組でレジェンドセンターのシャキール・オニールが苦言を呈したこともあった。

「『(エンビードには)君は凄い選手になれるのに、そのためにハードにプレーしていない』と伝えたい。平均22点じゃ次のレベルには到達できない。特別な存在になりたいか、単にいい選手で終わりたいのか。いい選手で良いなら22点でも構わないが、凄い選手になりたいなら28〜30点をあげないと」
  また、昨オフに4年9700万ドルで新加入したホーフォードは、エンビード、シモンズとはフィットしなかった。3人が一緒にプレーした場合のオフェンシブ・レーティングは99.3止まり(ホーフォード不在時は116.6)。33歳のホーフォードは2月11日に一時、スタメン落ちを告げられるなど、衰えも指摘された。

 誤算はこの3人だけに限らず、ロースター全体のバランスの悪さがシーズンを通じて指摘され続けた。確かにタレント揃いではあるのだが、ドリブルからシュートに持っていき、フリースローを稼げる選手は不在。ゴー・トゥ・ガイと信頼性の高いシューターが確保できなかったという点で、昨季限りでチームを去ったジミー・バトラーとJJ・レディックの移籍がもろに響いた感がある。

 そういった意味で、選手だけではなく、エルトン・ブランド・ゼネラルマネージャーまで含め、オーガニゼーション全体が期待を裏切ってきたという考え方もできるのだろう。このままプレーオフでも迷走を続け、早期敗退した場合、ブレット・ブラウン・ヘッドコーチの去就も怪しくなっていたのかもしれない。
  ただ……長いNBAシーズンの中では変化はあるものだ。今季のシクサーズは確かに不安定ではあったが、シーズン終盤、プレーオフを前に調子を上げても不思議はなかったという見方もある。実際にチームは一昨年の終盤に攻守が噛み合い、怒涛の16連勝でレギュラーシーズンを終えた実績がある。

 特に今季のチームは守備力には定評があり、ディフェンシブ・エフィシエンシー(100ポゼッションにおける失点)ではリーグ7位、エンビードがフロアにいる時間帯は同2位。相手チームの3ポイント成功率の低さではリーグ1位タイというスタッツも心強い。このディフェンス力に加え、ホームゲームでは29勝2敗という地元での圧倒的な強さを考えれば、プレーオフで厄介な存在になる可能性はあったはずだ。

 さらにいえば、今季がいずれ再開すると仮定した場合、3月からシーズン中断していることはシクサーズにはプラスに働くかもしれない。それぞれ腰痛、左肩痛に苦しんできたシモンズ、エンビードは今夏には健康体に戻っているだろう。とかく故障者が多く、ケミストリー不足が囁かれてきたチームにとって、再開までにチーム練習の時間があれば、それもポジティブな要素になるに違いない。

 繰り返すが、2019−20シーズンのシクサーズがファン、メディア、関係者の期待を裏切ってきたことは否定できない事実だ。そしてご存知の通り、コロナ渦の中でNBAシーズンがこのまま終了となる可能性はもう低くない。

 しかし、今季がたとえプレーオフだけでも再開されたと仮定した場合、東のタレント集団は依然として怖いチームになるポテンシャルを秘めている。スケールの大きなスターたちが、短期間で一丸となる姿を見てみたいと考えているのは、フィラデルフィアのファンだけではないはずである。

文●杉浦大介

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