レイカーズでコビーを5年間指導したコーチが明かす、スーパースターの“裏の顔”と“最も嫌っていたもの”

レイカーズでコビーを5年間指導したコーチが明かす、スーパースターの“裏の顔”と“最も嫌っていたもの”

コビーは現役時代に朝6時からワークアウトを開始するなど、練習から常に全力投球だった。(C)Getty Images

2016年に現役を引退したロサンゼルス・レイカーズのコビー・ブライアントは、今年の1月26日にヘリコプター墜落事故に巻き込まれ、41歳にして人生の幕を閉じた。2月にレイカーズの本拠地ステイプルズ・センターで行なわれた追悼式では“神様”マイケル・ジョーダンをはじめ、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)や元相棒のシャキール・オニールなど、彼と親交の深かった関係者たちが思い出を語ったが、かつてレイカーズでコビーを指導したコーチが新たに英雄スコアラーの素顔を明かしている。

『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が自身のポッドキャスト“The Woj Pod Show”で、2011-12シーズンから7年間、レイカーズのビデオコーディネーター兼コーチを務めたトム・ビアラシェフスキー氏を直撃。現在、イタリア1部オリンピア・ミラノのアシスタントコーチを務める38歳のアメリカ人指導者は、初めてコビーの練習を目の当たりにした時、驚きを隠せなかったという。

「朝6時のワークアウトには大きな衝撃を受けた。それまでは、メディアが彼のオーラを作り上げるため大げさに書いていると思っているところがあったんだ。でも、そうじゃなかった。彼はみんなに自分と同様にハードに練習することを求めた。だから、それは何ら間違ったことじゃなかったよ」
  2005-06シーズンにクリーブランド・キャバリアーズでインターンとしてビデオコーディネーターの道を歩み始めたビアラシェフスキー氏。サクラメント・キングス、ニューオリンズ・ペリカンズ、Gリーグのリノ・ビッグホーンズを経て、レイカーズではマイク・ブラウン、マイク・ダントーニ、バイロン・スコットと3人のヘッドコーチを陰で支えたが、コビーとはクリップ映像を観ながら会話を交わす機会も多かったと振り返る。

「コビーを尊敬し、意見が違っても良い会話ができた。私が成長するうえで素晴らしい経験だったよ。これまでサポートしてくれたコーチたちに感謝しているが、その関係性はコビーにも当てはまる」

 コビーが誰よりも貪欲に勝利を求め、自分を苛め抜いていたのは周知の事実だが、チームメイトに対する要求が高く、一時期に近寄りがたいイメージを与えてしまうこともあった。そんなストイックの塊のような男が、“最も嫌っていたもの”とは――。
 「彼が最も望んでいなかったのは、周りに“イエスマン”(自分の意見を持たず、何を言われても賛成する人)がいること。自分の信念や意見を持つ人間、相手を侮辱せず、彼が聞きたかったことを言ってくれる人間を求めていた。彼はそれを本当に重要視していたと思う。たとえ彼が相手の話に同意しなかったとしても、その人の準備ができていれば、時間を費やしたことに彼は敬意を払った。逆に、(真剣に)時間を費やさない人間にはそれ(リスペクト)がなかったかもしれない。彼自身が何より全力だったからね」

 ビアラシェフスキー氏には、もうひとつ脳裏に焼き付いている出来事があるという。それが、コビーが左足アキレス腱を断裂した2013年4月12日のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦だ。第4クォーター残り3分8秒、コビーはドライブを仕掛けた際に左足を負傷。激痛に耐えながらフリースロー2本を沈めてコートを去ったことは武勇伝として語り継がれているが、舞台裏では不屈の男も“1人の人間”だと感じさせるシーンがあったようだ。
 「我々(レイカーズ)はシーズン終盤、コビー、パウ(ガソル)、ドワイト(ハワード)、スティーブ(ナッシュ)を擁して調子が良かった。ステイプルズ・センターのロッカールームはビデオルームの近くで、ドアがほとんどの時間で空いている。後ろから(当時)トレーナーのゲイリー・ヴィティが誰かとアキレス腱について話す声が聞こえてきた。意気消沈したのを覚えている。我々は良いタイミングでピークの状態を迎えていた。でも、試合後に目にしたのは、トレーニングルームで娘や妻の横で寝ている彼の姿だった。キャリアが終わるかどうか分からない状態で、ひどく落胆していた。彼の無防備で弱い一面を見たのはそれが初めてだった」

 語り尽きることのない、コビーのバスケットボール選手としての探求心と1人の人間としての素顔。今後も彼が残した功績とともに人々の記憶の中に刻まれ続けるに違いない。

構成●ダンクシュート編集部

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