デュラント、アービングに次ぐスターを獲得するか、現有戦力で勝負に出るか。球団史上最も重要な2シーズンに挑むネッツの“ベストチョイス”は?

デュラント、アービングに次ぐスターを獲得するか、現有戦力で勝負に出るか。球団史上最も重要な2シーズンに挑むネッツの“ベストチョイス”は?

今季は勝ち星を伸ばせなかったネッツだが、デュラント(左)とアービング(右)の2大エースが揃う来季こそ勝負のシーズンとなる。(C)Getty Images

昨オフにケビン・デュラント、カイリー・アービングを加えて一躍注目チームになったネッツだったが、今季はシーズン中断時点で30勝34敗という不本意な成績に終わった。かろうじてイースタン・カンファレンス7位でプレーオフ圏内に入ってはいるが、もともとの話題性を考えれば“成功のシーズン”とは言い難い。今後にシーズンが再開されたとしても、プレーオフでの苦戦は必至だろう。

 もっとも、アキレス腱断裂からリハビリ中のデュラントはもともと全休が確実だっただけに、今季のネッツが苦しむのは予想されていたことではあった。加えてアービングもケガに泣き、出場は20戦のみ。だとすれば苦戦は想定内であり、勝負はやはり来季以降ということになるのだろう。

 昨オフにネッツはデュラント、アービングとそれぞれ4年契約を結んだ。4年目はプレーヤーオプション(選手がFAになれる権利を持つ)であることを考えれば、2、3年目にあたる来季からの2シーズンが勝負。優勝の現実的なチャンスがあるという意味で、フランチャイズ史上でも最も重要な2年間といっても大袈裟ではない。
  それほど大事なシーズンに向け、来るべきオフは重要な時間となる。まずは今季途中にケニー・アトキンソンHCが辞任(事実上の解任)した後で、後任の指揮官を決めなければならない。アトキンソンが去った後に暫定HCとなったジャック・ボーンにチャンスが与えられるか。タロン・ルー、トム・シボドーといった実績あるHC経験者を招聘するか、あるいは無名でも評判の良いアシスタントコーチ陣の中から人材を登用するか。そういった新指揮官の選定以外にもう1つ、大切な決断がある。デュラント、アービングに続く、“第3のスター”の獲得を目指すか否かが今オフ最大のポイントとなりそうなのだ。

「ネッツにはとても良い選手が揃っている。ただ、僕やKD(デュラント)、DJ(ディアンドレ・ジョーダン)、GT(ギャレット・テンプル)、スペンス(スペンサー・ディンウィディー)、キャリス(ルバート)を補完するためのピースがもう1つ、2つ足りないのは明らかだ」

 1月中旬、アービングがこのように語って物議を醸したことがあった。なかなか勝ち星が伸びない責任を転嫁するような発言によってアービングは批判もされたが、絶対必勝の2シーズンに臨む前に、ネッツにはまだ補強が必要なのも事実。もう1人のスターを獲得して“ビッグ3”を確立できれば、来季はバックス、ラプターズ、セルティックス、76ersといった強豪を撃破するチャンスも大きくなる。

 今オフはFAマーケットこそ不作だが、ネッツはディンウィディー、ルバート、ジャレット・アレンといった他のチームが興味を持ちそうなトレード要員を豊富に抱えている。このうちの何人かとドラフト指名権を放出すれば、大物の獲得も可能かもしれない。
  グリズリーズの元バスケットボール部門副社長で、現在は『The Athletic』で記者として健筆を振るうジョン・ホリンジャー氏は、ネッツにはルディ・ゴベア、ブラッドリー・ビールがフィットすると指摘していた。

 ゴベアは確かに今のネッツに必要な守備の要になれる人材で、現状では同ポジションのジョーダン、アレンより攻撃力も上だろう。来季が契約最終年で、しかも新型コロナウイルスの一件で同僚のドノバン・ミッチェルとの間に亀裂が生じたという報道もあっただけに、トレード交渉の余地はありそうだ。

 ビールはプレースタイル的に、デュラント、アービングとのフィットは悪くないはず。特に今オフにFAになるジョー・ハリスが移籍した場合、26歳とキャリアのピークを迎えつつあるビールのシュート力はネッツにとって魅力的に映るに違いない。

 これらのスター選手を手に入れようと思えば、交換要員としてディンウィディー、アレン、ルバートのうちの少なくとも2人と、複数のドラフト1巡目指名権が必要になるだろう。ネッツのフロントは補強にそれだけの価値があるとみて、出血覚悟で積極的に交渉を仕掛けるか。あるいはもう一段下のラマーカス・オルドリッジ、バディ・ヒールドといった選手たちに狙いを定めるか。
  ただしその一方で、「ネッツはトレードを目論む必要はない」と指摘する声も出ていることは付け加えておきたい。なぜそんな意見があるかというと、今季キャリアハイの平均20.6点を残してきたディンウィディー、伸びしろの大きなルバートは、チームNo.3の座が務まるだけのポテンシャルを感じさせてきたからだ。特に残り3年で5260万ドルという手頃な契約を残しているルバートは、面白い素材に思える。今季は故障もあったが、先発復帰した2月3日以降は16試合で平均24.1点、3ポイント成功率41.3%、5.3アシスト、4.8リバウンドという堂々たる成績をマーク。3月3日のセルティックス戦ではキャリアハイの51得点、6日のスパーズ戦ではトリプルダブルを達成するなど、ハイレベルでプレーしていた。

 直近の2シーズンで67試合を欠場した故障の多さ、デュラントとの役割の被りに不安はあるものの、その将来性は魅力ではある。ネッツはまずは来季、デュラント、アービング、ルバート、ディンウィディーといった主軸が、一緒にどんなプレーするかを試してみるのも良いだろう。守備よくケミストリーが生まれれば、そのまま突っ走る可能性もある。アービングとディンウィディー、デュラントとルバートのポジションの被りがマイナスに働くようであれば、来季途中にトレードを考えればいい。

 絶対必勝のシーズンを前に、2人のスーパースターを擁するネッツはフレキシブルなチーム作りが可能な位置にいる。だからこそ、ショーン・マークスGM以下、フロントの仕事は極めて重要になってくる。先のシーズンを見据えてどのような決断を下し、どんな選手を獲得するか。その動向からしばらく目を離すべきではないだろう。

文●杉浦大介

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