「今のチームが大好き」と“ウィザーズ愛”を語ったウォール。一方で補強の必要性にも言及

「今のチームが大好き」と“ウィザーズ愛”を語ったウォール。一方で補強の必要性にも言及

「今のチームが大好き」と語ったウォール。その一方で「優勝を狙うにはベテランが必要」と補強の重要性も説いた。(C)Getty Images

マット・バーンズ(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)とスティーブン・ジャクソン(元ゴールデンステイト・ウォリアーズほか)がMCを務める人気コンテンツ『ALL THE SMOKE』。その最新エピソードが、4月30日(日本時間5月1日、日付は以下同)にYouTubeで公開された。

 4月13日に収録されたこのエピソードに、ワシントン・ウィザーズの司令塔ジョン・ウォールがゲスト出演。2018年12月末に左かかとにある踵骨棘(しょうこっきょく)の修復手術を受け、その1か月半後に今度は左足アキレス腱を部分断裂したウォールは現在もリハビリ中で、約1年半近く実戦から遠ざかっている。

 新型コロナウイルスの影響でシーズン中断が続いているが、もし今後再開されたとしても、ウォールが今季コートに立つことはないとウィザーズのトミー・シェパードGM(ゼネラルマネージャー)は明言しており、ウォール自身も来季に万全なコンディションで復帰することにフォーカスしている状況だ。
  今季のウィザーズはブラッドリー・ビールを中心に戦い、ウォールは非公式アシスタントコーチとしてベンチでチームメイトたちの奮戦を見守ってきた。ここまでの戦いぶりについて、ウォールはポジティブな見解を示している。

「俺は今のチームが大好きなんだ。素晴らしい選手が何人かいて、若手もたくさんいるからね。彼らはほかのチームでは決して手に入れられないかもしれないチャンスを得てプレーしているんだ」

 ウォールとビール、イアン・マヒンミ、イシュ・スミス、途中加入のシャバズ・ネイピアーを除くと、ウィザーズのロースターにいる選手たちはいずれもキャリア3年以下。フロント陣は2枚看板に次ぐ軸となる選手を育てるべく、我慢のシーズンを送ってきたと言っていいだろう。

 若手の育成に力を入れた一方で、ウィザーズが再びプレーオフへと駒を進め、リーグ制覇を目指すにはチームに何が必要かという点について、ウォールはこのように話していた。

「もし俺たちが(優勝争いできる)チームの一角に入りたいのであれば、自分の役割を理解してプレーできるベテラン選手を加えなきゃいけないと感じている。過去数年というもの、ウィザーズにはそういったプレーヤーがいなかったからね」
  今季、フロントコートで主にスターターを務めた八村塁とトーマス・ブライアントはともに22歳、アイザック・ボンガも20歳という若さであり、経験不足は否めなかった。育成に重点を置いていたため仕方のない部分でもあるが、ウォールが指摘したように、来季から覇権争いへの参戦を目指すのであれば、今夏のフリーエージェント(FA)戦線で頼れるベテランを獲得し、ロースターに厚みを加える必要がある。

 とはいえ、来季のウィザーズはウォールとビールの2人だけで約7000万ドル(約74億2000万円)もの超高額年俸を支払わなければならず、契約下にあるスミスやブライアント、八村といった選手たちの年俸も合わせると、すでに1億300万ドル(約109億1800万円)に到達。キャップスペースには余裕がないのが現状だ。

 そして今オフに完全FAとなるダービス・ベルターンスやマヒンミ、ネイピアーとも再契約を結ぶと仮定すれば、新たな戦力をロースターに加えるのは厳しいと言わざるを得ない。

 となれば、戦力の底上げを図るにはドラフトで有望な新人を指名するしかない。現在はイースタン・カンファレンス9位とプレーオフ圏外にいるため、もしこのままシーズン中止となればロッタリーピックを手にすることができ、即戦力ルーキーを獲得できる可能性もある。
  だが、それだけでプレーオフ当確のレベルとなれるかは微妙だ。オフェンス面はスコアラー兼プレーメーカーのウォール復帰で爆発力が増し、ビールや八村、ブライアントのパフォーマンスも向上しそうだが、最大の懸念はディフェンスにある。

 今季の平均失点はリーグワースト2位の119.7点、ディフェンシブ・レーティング(100ポゼッションあたりの失点)に至っては同ワーストの115.0。オールスター後に限れば同20位の113.9まで改善されているが、各チームとも10試合前後のサンプルのため、あまり参考にはできない。

 となると、ペリメーター守備で頼りになる守備職人、ペイントエリアでアンカーとなれるビッグマンをロースターに加えたいところ。先日、『Fansided』に掲載されていた“来季に向けてチームの修正が期待できる4人のFA”には、モーリス・ハークレス(ニューヨーク・ニックス)、ジェイ・クラウダー(マイアミ・ヒート)、ポール・ミルサップ(デンバー・ナゲッツ)、トリスタン・トンプソン(クリーブランド・キャバリアーズ)の名前が挙がっていた。
  全員が今オフに完全FAとなるのだが、これはもちろん“低年俸で獲得できれば”という条件付き。クラウダーは今季途中に加入したヒートと再契約したい意向を示しているため、スウィングマンで補強候補となるのはハークレスか。複数ポジションとマッチアップできるコンボディフェンダーで、今季ウィザーズがスモールフォワードとして起用してきたボンガやトロイ・ブラウンJr.、ジェローム・ロビンソンよりも守備に勝るため、獲得できれば大幅なディフェンス力アップが期待できそうだ。

 ナゲッツの守備を向上させたミルサップ、リバウンダーとしてペイントエリアで存在感を放つトンプソンのどちらかを獲得できれば、ウィザーズのフロントコートは確実に戦力アップする。だが、トンプソンはエージェントが『Klutch Sports Group』の大物代理人リッチ・ポールだけに、少なくとも1000万ドル(約10億6000万円)程度を要求してきそうなため、やや厳しいか。
  一方でミルサップは、トンプソンよりも獲得できる可能性がある。201p・113sの体格を誇るキャリア14年目のベテランパワーフォワードは、ポジションで見れば八村やベルターンスといったウィザーズのコアメンバーと被っているが、リーダーシップを発揮でき、メンター(助言者)役として経験不足のフロントコート陣の成長を後押ししてくれる存在になるかもしれない。

 35歳という年齢もあり、長時間のプレーはできなくとも、ベンチで貴重な役割を果たしてくれるに違いない。スモールラインナップで八村をセンターに起用した際、フロントコートの相棒としてミルサップのような選手がいれば心強いだろう。

 また、ウォールのケンタッキー大時代のチームメイトであるデマーカス・カズンズ(無所属)にアタックしてみるのもひとつの手段だ。メディアを経由して双方が「いつかNBAでも一緒にプレーしてみたい」と口にしており、低年俸で獲得できる可能性は十分にある。

 はたして、今オフにウィザーズはどのようなロースターを完成させるのか。今後の展開に期待したいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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