「毎ゲーム、新しいシューズをおろして履いている」マイケル・ジョーダンの“シューズへのこだわり”と“母校への愛”

「毎ゲーム、新しいシューズをおろして履いている」マイケル・ジョーダンの“シューズへのこだわり”と“母校への愛”

ジョーダンの代名詞であり、世界的にスニーカーブームを巻き起こした『エア・ジョーダン』。試合ではいつも新品をおろし、履き方にもこだわりがあったという。(C)Getty Images

マイケル・ジョーダンはアリーナに来るとすぐ、決まって『エア・ジョーダン』に紐を通し始める。いつもだいたい左のシューズから手をかける。この習慣は『エア・ジョーダン2』を履き出した頃から続いているのだそうだ。
 
「僕は毎ゲーム、新しいシューズをおろして履いているんだ。ナイキから山ほどシューズをもらっているからそうしている訳ではない。1年の3分の2の間、僕はコートでプレーしなければならない。これだけ同じことを繰り返していると、何かしら自分の中に新鮮なものが欲しくなるんだ。毎日新しいシューズを履き替えていると聞いたら変だと思う人も多くいるかもしれない。でも、僕にとってみれば、新しいものを買いに行く時の気持ちと一緒なんだ。新しいスーツや靴を買いに行く時って気分がいいじゃないか。僕はそういう気持ちで毎試合を迎えたいんだ」

 ジョーダンが履く『エア・ジョーダン』はどれも私たち一般人が買うものと一緒だ。ジョーダンが履くものだけを特別に作っているのではない。ナイキタウンやフットロッカーで私たちが買う時と同じようにジョーダンはシューズボックスを開けて紐を通す。
 「シューズの紐はいつも自分で念入りに通すんだ。毎日同じ履き心地をキープしたいから。時間をかけて念入りにね。試合の前っていうのはいつも慌ただしくて落ち着かないこともあるけど、シューズの紐さえしっかり通しておけば、あとは何もいらない。コートに出て行ってシューティングする必要すらない。シューズの準備が万全なら戦闘態勢はバッチリだ」

 そしてジョーダンは、「つま先が遊ぶぐらいの履き心地が好きだ」と、紐は決してタイトには結ばないという。NBA選手はトレーナーがテーピングで足首をしっかり保護しているから、大きなケガを持っていない限り紐をキツく結ぶ選手は少ない。その中でもジョーダンは極めて緩めに結ぶのだそうだ。

 またジョーダンは、試合や練習で履いたシューズのほとんどは誰かにあげてしまっている。しかし、1986年にプレーオフでボストン・セルティックスから63得点を奪った時の『エア・ジョーダン1』、1990年にキャリアハイの69得点を取った時の『エア・ジョーダン5』、それに優勝した時のシューズは自分で所持しているという。
 「引退後に、息子たちが記念になったシューズをまとめて保管してくれているよ」とジョーダン。またシューズへの思い入れと同じように、ジョーダンは母校ノースカロライナ大学への思いも強く、今でも誇りに思っている。

「本当はサウスカロライナ大に入学するつもりだった。もしそうしていたら今の自分はなかっただろうね。ノースカロライナ大ではプレーの基礎をディーン・スミス・コーチに教わった。コーチが彼ではなかったら全く別の人生だったかもしれない。それだけノースカロライナ大での3年間は僕にとって特別だった」とジョーダンは言う。

 大学時代からNBAに入ったあとも、試合の時はゲームショーツの下に必ずノースカロライナブルーのプラクティスショーツを履く習慣は、ジョーダンの思い入れの強さを表わしている有名な話だ。
 「ノースカロライナ大では試合の勝ち方を学んだ。僕の視野には常にノースカロライナブルーがどこかに残像として残っている。NBAに入ってもこの色をちらっと見るだけで、スピードコントロール、試合の中でいかに自分のペースを作っていくかを気にさせてくれる。最悪の状況下でも安定したプレーができ、そこから這い上がれる。この色は僕の魂のようなものだ」

 全盛期のジョーダンには常に2〜3人のディフェンダーが取り囲んでいた。しかし、「1クォーターで8点ずつあげれば32点。それはそんなに難しいことか?」と言うジョーダンに誰も反論できるものはいなかった。

「スミスコーチは僕にチームプレーを叩き込むために、1試合で20点以上得点させないようにコントロールしていたと言う人がいるが、それは嘘だ。コーチは僕に1試合で37得点するための知識を与えてくれた人だ」とジョーダンは語る。

 栄光を築いたシカゴ・ブルズで、マイケル・ジョーダンがマイケル・ジョーダンであり続けることができた背景には、『エア・ジョーダン』とノースカロライナ大への愛があったからこそなのだろう。

文●北舘洋一郎

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