トッププロの賞金総額は7億円超え!市場拡大が止まらない世界と日本の「eスポーツ」人気に迫る

トッププロの賞金総額は7億円超え!市場拡大が止まらない世界と日本の「eスポーツ」人気に迫る

2019年8月、上海で行われた「The International 2019」

ここ数年“eスポーツ(Esports)”という用語が社会に広く浸透している。その勢いは「2018年ユーキャン新語・流行語大賞」で”eスポーツ”がトップ10入りを果たしたことからも確認できる。eスポーツは海外で大規模な大会が多数開催され、プロ選手たちは非常に高額な賞金を獲得している。プロ選手だけではなく、ストリーマーやエンターテイナーとして活躍するプレイヤーも多く、ゲーム業界はおろか社会に影響を与えている人物も少なくない。今回はそういったeスポーツの国内外における人気やキャリアについて紹介していく。
 
 まずはeスポーツ大会の頂点と言っても過言ではない「The International(以下、TI)」を紹介しよう。TIとはプラットフォームサービス「Steam」を開発・運営しているValve Corporationが開発したMOBAジャンルのPCゲーム『Dota 2』の世界大会で、2019年に行われた「TI9」の賞金総額は3430万ドル、日本円で約37億円にも上った。これはスポーツの世界大会と比較しても遜色ない規模であり、海外におけるeスポーツ市場の大きさがわかる。

 以前、本サイトでも紹介した『リーグ・オブ・レジェンド』の世界大会「2019 Season World Championship」の賞金総額は222万ドル(約2億5000万円)、日本国内でも活動が盛んな『PlayerUnknown’s Battlegrounds(通称、PUBG)』の世界大会「PUBGGlobal Championship」の賞金総額は400万ドル(約4億円)とTIには劣るものの賞金総額は億単位に設定されている。
  世界で活躍するトッププロ達がどれほどの賞金を稼いでいるのか。プロゲーマーの獲得賞金額を記録するサイト「Esports Earnings」では、Dota2の世界大会「TI」にて2年連続優勝を果たしたヨーロッパの強豪「OG」のN0tail,JerAx,ana,Ceb,Topson選手が世界で最も多くの賞金を獲得したプロゲーマーとして名を連ねている。その金額は歴代1位のN0tail選手が689万ドル(約7億4300万円)、歴代5位のTopson選手が541万ドル(約5億8300万円)だ。

『リーグ・オブ・レジェンド』のプロチーム「T1」に2013年から所属するFaker選手は同サイトにて66位にランクイン、獲得賞金総額は125万ドル(約1億3500万円)。Faker選手は韓国人であれば一度は聞いたことがあるレベルの伝説級プレイヤーで、プロプレイヤーとして引退した際に「T1」の共同経営者になる契約を結んでいる。
  彼以外にも北米のプロチーム「Cloud 9」に所属するSneaky選手や「Team SoloMid」のBjergsen選手など所属するチームの経営者としてセカンドキャリアを約束されているプレイヤーも存在する。16歳頃からプロプレイヤーとして活躍する選手達にチーム側が未来を保証するこの取り組みはプレイヤーやファンから非常に支持されている。

 ここまではeスポーツのプロプレイヤー事情を紹介してきたが、eスポーツ市場を語る上でもう一つ忘れてはならない存在がいる。それが「ストリーマー」だ。

 ストリーマーとは、自身の活動をライブ配信して収益を得ている人物のことだ。その種別はゲームに限らず、雑談や制作活動、料理など様々だが、今回は”eスポーツ”という主題からゲーム配信を主に行っているストリーマーについて触れていく。近年で最も成功したストリーマーと言えば、Ninja氏とShroud氏の2名だろう。
  ゲーム実況配信者であるNinja氏は配信プラットフォーム「Twitch」にて世界最多のフォロワー数を持ち、その数は1470万人に上る。ゲームタイトルは主に『フォートナイト』をプレイし、2018年には約10億円を稼いだと言われている。現在は配信プラットフォームをTwitchから「Mixer」に移し、自身のライセンス事業の拡大に取り組んでいるほか、新たにアディダスとのパートナーシップ契約を結んでいる。

 同じくゲーム配信者であるShroud氏は『Counter Strike:Global Offensive』のプロチーム Cloud 9に所属していた元プロゲーマーで、『PUBG』や『Apex Legends』などを中心にプレイし、Twitchのストリーマーとして活動していた。そのフォロワー数は700万人以上と世界3位。現在はNinja氏と同様、活動の場をMixerに移した。

 さて、海外におけるeスポーツ市場の大きさや成功者について紹介したが、日本国内で”eスポーツ”という市場はどう成長しているのだろうか?

 株式会社KADOKAWA Game Linkageが発表した2019年の日本国内におけるeスポーツ市場の動向によると2019年の日本eスポーツ市場規模は約61.2億円とされている。”eスポーツ元年”と称された2018年から2019年にかけて、大手企業の参入が相次ぎ、市場の伸長が続いているとのことだ。
  KADOKAWA Game Linkageはこの調査において、2020年から2023年までの年間平均成長率は約26%と予測。高速・大容量化、低遅延、多数端末接続が特徴の次世代モバイル通信「5G」が開始されることで、モバイルのeスポーツが活発化。また、家庭用ゲーム機・PC向けeスポーツタイトルが今後モバイル端末でも展開されることが見込まれ、スマートフォンが普及している日本において、さらにeスポーツ市場が拡大すると予測した。

 2019年の日本eスポーツファン数(試合観戦・動画視聴経験者)は約483万人と発表。今後、大会数の増加や「5G」による動画視聴の機会が増えることで、eスポーツファンがさらに拡大することが見込まれている。

 海外では『Dota 2』や『リーグ・オブ・レジェンド』などMOBAジャンルのゲームや『Counter Strike:Global Offensive』など長い歴史を持つFPSが人気を持ち、業界の中でも大部分を占めている。一方、国内では『ストリートファイター』シリーズや『鉄拳』シリーズなど、「2D対戦型格闘ゲーム」で活躍するプロが非常に多い。”ウメハラ”こと梅原大吾氏の名前は、ゲームに詳しくない人でも聞いたことがあるだろう。
  1994年から同じジャンルのゲームをプレイし続け、2010年から現在までプロとして活躍しているウメハラ氏は日本国内における伝説級プロゲーマーと呼べる存在だ。

 国内eスポーツ市場において長い歴史を持ち、現在も圧倒的な人気を誇るものと言えばFPSゲーム『Alliance of Valiant Arms(通称、AVA)』で多大なる実績を残し、現在は複数のゲームでプロゲーミングチームとして活動している「Detonator」だ。

 Detonatorは2009年にAVAのプロゲーミングチームとして発足された。2010年から2015年までに開催された公式大会で40回以上の優勝を果たしているほか、国際大会でも優勝経験を持つトップクラスのプロゲーミングチームである。AVAの他にも『Overwatch』や『PUBG』で公式大会優勝、日本代表を排出など輝かしい経歴を持つ。Detonatorに所属していたプロプレイヤー達も現在ストリーマーとして活躍しており、Stylishnoob,Shaka,SPYGEA,Yamaton氏の4人がTwitchチャンネルのフォロワー数1位から5位を占めている。残り1人は先ほど紹介した伝説級プレイヤー、ウメハラ氏だ。
  また、2019年の9月にソフマップとの共同事業でアパレルブランド”DETONATOR”を立ち上げるほか、スタジオレンタル業を手掛けるクローク共同事業で専用のスタジオ”DETONATOR BASE 恵比寿”のオープンを発表した。eスポーツ業界だけの活動に留まらず、一社会の一ブランドとして躍進していく彼らこそ、国内eスポーツ市場において最も成功している集団と言えるだろう。

 冒頭で述べたように、“eスポーツ”という用語はもうコンピュータゲームだけの枠に収まらず、社会に多くの影響を与えている。新型コロナウイルスの影響で多くのイベントや娯楽が中止されている中、バスケ、野球などのリアルスポーツでもeスポーツが新たなコンテンツとして配信されている。
  2020年3月にシーズン中断が決まったNBAでは「NBA 2K プレイヤー・トーナメント」と称してNBA公式ビデオゲーム「NBA 2K20」を使ったNBAの現役選手16名によるeスポーツ大会を実施し、「NBA 2K20」の日本公式アンバサダーである八村塁も参戦した。

 プロ野球ではシーズンの開幕戦延期が確定した代わりに、NPBとKONAMIが共催でeプロ野球”バーチャル”開幕戦2020を実施した。eスポーツのプロプレイヤー同士が「実況パワフルプロ野球」で対戦し、その様子にプロの実況解説を加えて動画配信するという企画だ。実際に開幕戦で予定されていた対戦表が再現されている。この模様はYouTubeのKONAMI公式チャンネルなどで視聴可能だ。またNPBは「eBASEBALL プロリーグ」という「実況パワフルプロ野球」を使用したプロ野球eスポーツリーグを2018年から開催しており、2020年の1月には2回目の「SMBC e日本シリーズ」が行われた。

 日本サッカー協会(JFA)も今年からeサッカー日本代表というカテゴリーを新設。
サッカーゲーム「FIFA2020」で開催されているeスポーツ・サッカーの世界大会に向け、精力的に取り組んでいく方針を発表した。

 社会やリアルスポーツにおいても注目され始めた”eスポーツ”の動向に今後も目が離せない。
 

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