現地記者が激論!リーグ最高勝率を記録するバックスを倒す可能性があるチームは…【2020プレーオフ座談会:イースト/前編】

現地記者が激論!リーグ最高勝率を記録するバックスを倒す可能性があるチームは…【2020プレーオフ座談会:イースト/前編】

シェリダン氏はアデトクンボ率いるバックスについて「バックスには弱点らしいものがほとんど見当たらない」と高く評価した。(C)Getty Images

新型コロナウイルスのパンデミックがなければ、 本来であればNBAはプレーオフの佳境を迎えている時期だった。しかし3月11日以降、2019−20シーズンは中断されたままだ。中断から約2か月が経過した5月には一部地域の練習施設の閉鎖が解除。現在NBAは7月からのシーズン再開を目指しているが、プレーオフは本来の日程やフォーマットと違う形で行なわれる可能性が高い。

 時を遡ること3月11日、ニューヨークでNBAに精通した3人のライターによる『ダンクシュート』の人気企画「プレーオフ座談会」が開催されていた。収録も大詰めに差し掛かった頃、NBAからシーズン中断が発表され、記事はお蔵入りになった。

 しかし、今季の回顧と再開後を展望する意味で、ここで“幻の座談会”を一挙に公開したい。第1弾はイースタン・カンファレンス編だ。

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杉浦大介(以下杉浦):ここまでリーグ最高勝率を残しているバックスは、やはり今季のベストチームだと思う?

シュロモ・スプラング(以下スプラング):NBAのベストチームかどうかはわからないけど、間違いなくイースタン・カンファレンスのベストチームだとは思う。今季のバックスはとにかく選手層が厚く、大黒柱のヤニス・アデトクンボが休んだゲームですらも強い勝ち方をしているからね。
 クリス・シェルダン(以下シェリダン):バックスには弱点らしいものがほとんど見当たらず、シーズンの得失点差が+11.2というのは驚異的だ。中でもクリス・ミドルトンはもっと高く評価されてしかるべきだ。あえて懸念材料を探すなら、アデトクンボのフリースローくらいかな。プレーオフに入ったら相手チームはペースをスローダウンさせ、アデトクンボはファウル責めに遭うだろう。若い頃のレブロン・ジェームズと同じように、重要な場面でフリースローを打つ機会は多いはずだ。今季、彼のフリースロー成功率は63.3%。プレッシャーのかかるプレーオフで確率を上げられるかどうかも見どころになる。 

スプラング:オープンコートでアデトクンボがボールを持つと、スペースが広がり、バックスは圧倒的な強さを見せる。プレーオフでは緊張感のあるスローペースの展開でも同じように力を出せるか、ハーフコートでも良いプレーができるかがポイントかな。

杉浦:バックスの対抗馬を選ぶとすればどこのチームだろう?

シェリダン:私はヒートを選ぶ。ヒートは3月2日にバックスに勝ち、今季の直接対決は2勝0敗とした。素晴らしいシステムが確立されたヒートに対して、バックスは相性が悪いように思える。エリック・スポールストラはNBAで最も過小評価されているヘッドコーチ(HC)だし、ジミー・バトラー、バム・アデバヨと軸がしっかりしている。ゴラン・ドラギッチはシックスマン賞の候補になっても良いプレーを見せており、2月にアンドレ・イグダーラを獲得したのも適切な補強だった。今季のヒートはアウェーゲームを苦手(14勝19敗)にしているが、それでもプレーオフでバックスを倒す可能性があるとすれば彼らだろう。
 スプラング:ヒートはバックス戦の話をする前に、1回戦でペイサーズかシクサーズに勝たなければいけない。それは決して簡単なことではないよ。僕はバックスに勝つチャンスがあるのはラプターズだと思う。昨季、ファイナルを制覇したコアメンバーの大半が残っているし、ニック・ナースという優れたHCに率いられている。スポールストラが最も過小評価されているHCだとすれば、ナースは2番手だ。パスカル・シアカムが大きく成長し、ディフェンスでアデトクンボを苦しめるだろう。カンファレンス・ファイナルで両チームが対戦したら面白いシリーズになるんじゃないかな。

シェリダン:ラプターズは依然として王者の誇りを失っていないから、私もシュロモの意見は否定しない。イーストには好チームが3つあって、私から見てもラプターズはバックス、ヒートに次ぐ3番手だ。ただ、去年はカワイ・レナードというゴー・トゥ・ガイがいたが、今のラプターズには終盤にボールを託し、勝利に導いてくれる選手がいない。シアカム 、カイル・ラウリー、フレッド・ヴァンブリートといったあたりが候補になるんだろうけど、まだ未知数だ。
 杉浦:現在イースト3位のセルティックスはどうだろう?

シェリダン: ジェイソン・テイタムはファンタスティックなプレーを見せている。シーズンを通じて見ると、大抵の選手はほぼ同じレベルでプレーし、中には今季のジェームズ・ハーデンのように下降線を辿ってしまう選手もいた。そんな中で、テイタムのように絶えず向上を続ける選手は珍しい。テイタム、ケンバ・ウォーカー、ジェイレン・ブラウンと、セルティックスには平均20点超えを果たしている選手が3人もいるし、マーカス・スマートという凄いディフェンダーもいる。総合的に見て、セルティックスはイーストのXファクターかな。これだけ戦力が揃っていながら、なぜ後半戦でスランプを経験したのか私には理解できない。

スプラング:テイタムはあとキラー・インスティンクト(土壇場での勝負強さ)があれば、プレーオフでもクローザー役が果たせるかもしれないね。そうなったら、セルティックスは一躍イーストの優勝候補に浮上する。今の順位のままシーズンが終われば、プレーオフ第1ラウンドはシクサーズとの対戦だ。近年のセルティックスはシクサーズと相性が良いだけに面白くなるだろう。
 杉浦:今季に関しては、セルティックスはサイズ不足だからシクサーズやバックスが相手だと厳しい気もするけど。 

シェリダン: 確かに主力ビッグマンがエネス・カンター、ダニエル・タイス、グラント・ウィリアムズでは厳しいな。杉浦:2人ともイーストのトップ4がバックス、ラプターズ、ヒート、セルティックスというのは同意かな?この4強に割り込んでくるチームがあるとすれば、やはりシクサーズ? 

シェリダン:シクサーズはベン・シモンズ、ジョエル・エンビードが故障に悩まされてきたし、ケミストリーがなく、シュート力も不足している。ジョシュ・リチャードソンは良い選手だが、ピュアシューターではない。昨季は試合終盤にジミー・バトラーが切り札になったが、今季のチームにはそういったクローザーがいないのは致命的だ。

スプラング:タレントは豊富にいるから、ケミストリー次第だよね。戦力だけを見ると、ファイナルに進んでも不思議はないよ。今季加入してやや期待を裏切っているアル・ホーフォードが彼らしいプレーをすることも重要になりそうだ。 

(後編へ続く)


文●杉浦大介

【座談会参加メンバー】
杉浦大介/すぎうらだいすけ
ニューヨークを拠点にフリーランスのスポーツライターとして活動。NBA以外にもMLB、NFL、ボクシングを中心に精力的な取材・執筆を行なう。

クリス・シェリダン/Chris SHERIDAN
元AP、ESPNの記者で、現在はスポーツ・ギャンブルサイトのGet More Sportsで健筆を振るうベテランライター。

シュロモ・スプラング/Shlomo SPRUNG
ニューヨーク在住のスポーツライター。主に経済誌フォーブスでNBAの記事を執筆する。

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