現代のNBAにフィットする90年代の選手は?海外メディアがセレクトした5人を紹介

現代のNBAにフィットする90年代の選手は?海外メディアがセレクトした5人を紹介

ホーネッツ時代には平均23.5点を叩き出したライス。97年のオールスターではMVPに輝いたが、15年のキャリアで球宴に出場したのは3回だけだった。(C)Getty Images

5月25日(日本時間26日、日付は以下同)、『NBC Sports Washington』のチェイス・ヒューズ記者が、興味深い記事を掲載した。

 この記事のテーマは、1990年代にプレーしていた選手たちの中で、もし現代NBAでプレーしていればさらに活躍していたであろう5選手、というもの。

 当時と現代のNBAで大きく異なるのは2004−05シーズンから適用されたハンドチェックの廃止だろう。ディフェンダーがマッチアップ相手の手や腕に接触するとファウルをコールされるようになったことで、ドライブを得意とする攻撃力の高いプレーヤーは自由自在にコートを暴れ回り、シュートやパスを繰り出せるようになった。

 その結果、リーグはよりオフェンシブな傾向となり、100点前後だったリーグの平均得点がここ2シーズンはいずれも111点を突破。そして3ポイントの試投数は当時よりも2倍以上に増えている(94−95シーズンから3シーズン続いた3ポイントラインの短縮期間を除く)。

 5月17日に『247 Sports』のリモートインタビューに応じたジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)が「もし当時(90年代後期)のマイケル・ジョーダンが現代NBAでプレーしたら?」という質問に対して「ジョーダンは平均45点、あるいは望めばいくらでも取れるだろうね」と話していたことからも、当時と現在のバスケットのスタイルは大きく変わったと言っていいだろう。
  では、『NBC Sports Washington』のヒューズ記者が挙げた5選手を紹介しよう。※チーム名は略称

グレン・ライス(元ホーネッツほか)
 キャリア15シーズンで3度のオールスター、2度のオールNBAチームに選ばれたシューター型スコアラーは、決して過小評価されてきた選手ではない。とはいえ、この男が残してきた成績を考えれば、もっと多くの名声を得るべきだったのではないか。

 ライスは94−95シーズンに平均22.3点、3ポイント41.0%(平均2.3本成功)を残しながら、オールスターに選出されなかったように、キャリアの中で正当な評価を得られなかった年が何度かあった。203pのフォワードは、ホーネッツ在籍時の96−97シーズンに平均26.8点、3ポイント47.0%(平均2.6本成功)、同年のオールスターでは26得点をあげてMVPに輝くなど、素晴らしい成績を残している。キャリアで平均3.9本の3ポイントを放ち、40.0%という高精度を誇っていただけに、現代でプレーしていればもっと多くのシュート機会を得ることができたはずだ。
 デイル・エリス(元ナゲッツほか)
 エリスはキャリア17シーズンのうち、オールスターとオールNBAチームに一度ずつ選出。だがこれだけでは十分とは言えない。86−87から98−99シーズンまでの13年間で、彼は平均17.9点、3ポイント40.6%という好成績を残してきた。

 エリスは多くのカテゴリーでボックススコアを埋めるような選手ではなかったが、その効率性は高く、現代であればもっと頼られる選手だったように思える。

ウォルト・ウィリアムズ(元キングスほか)
“ザ・ウィザード”の異名を持つ男は3ポイントのスペシャリストとして鳴らしたが、当時はその役割の中に収まっていた。もしウィリアムズが今のNBAでプレーしていれば、さらに大きな役割を与えられ、オールスター入りするほどのポテンシャルを発揮できていたかもしれない。203pのフォワードは、ラプターズ在籍時の96−97シーズンに平均6.0本の3ポイントを放ち、40.0%で沈めている。

 インサイドバスケ全盛の90年代ではどっちつかずの“トゥイナー”という評価を与えられることもあったが、現代のポジションレスバスケットには適したプレーヤーだろう。
 モックムード・アブドゥル・ラウーフ(元ナゲッツほか)
 90年のドラフト3位でナゲッツに入団した185p・73sのスコアリングガード。キャリア9シーズンで平均14.6点、3.5アシストを残した小兵は、シュートレンジが広く、全盛時には3ポイントを約40%で沈めていた。09年から11年までは日本の京都ハンナリーズでプレーした経験も持つ。

 95年12月7日のユタ・ジャズ戦では9本の3ポイントを決め、51得点(いずれもキャリアハイ)という大暴れを見せていた。ハンドチェックルールがなければ、もっと多くの点数を稼いでいたと言っていい。現代であればトレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)らと並ぶくらいの選手になっていたのではないか。

トニー・クーコッチ(元ブルズほか)
 クーコッチはブルズが90年代後期(96〜98年)に3連覇を達成した時に、シックスマンを務めた選手として知られている。優秀なロールプレーヤーではあったが、スター選手ではなかった。だがもし現代のNBAで適切な状況でプレーしていれば、当時よりも大きなインパクトをもたらし、オールスターに何度か選ばれていただろう。

 ブルズの王朝が崩壊した98−99シーズン。クーコッチは平均18.8点、7.0リバウンド、5.3アシスト、1.1スティールを残していた。208pの高さを持つオールラウンダーは、現役時代よりも今の方がより高い評価を手にしていたかもしれない。
  ポジションレスバスケットボールとなり、3ポイントが重宝されている現代NBAにおいて、ここまで紹介してきた5選手がどのようなパフォーマンスを見せて活躍できるのかは、あくまで予想に過ぎない。

 ライス、エリス、ウィリアムズはいずれも3ポイントの精度が高いため、キャッチ&シュートからオフェンス面で活躍できるのかもしれない。アブドゥル・ラウーフはスコアリングガードとして、クーコッチはその多彩な能力を駆使して当時よりも良い成績を残す可能性はあるだろう。
  ただし、最初に挙げた3選手が現代NBAで活躍できるのはあくまでシュート力のみ。キャッチ&シュート、あるいはスポットアップシュートを決めることができれば御の字ではないか。というのも、スイッチを多用してミスマッチを何度も作り出す現代で、点を取るためにはボールハンドリングスキルがある程度備わっていなければ厳しい。そうでもなければボールムーブを止めてしまい、オフェンスの流れを止めてしまう“ボールストッパー”になりかねないからだ。

 彼らのハンドリングスキルはマークマンを自由自在に切り崩すほどの脅威ではなかったため、ロールプレーヤー止まりになっている可能性がある。3ポイントとディフェンスに秀でた“3&D”になれる選手は、平均以上のディフェンス力を持ち、身体能力が備わっていたウィリアムズくらいだろう。

 その点、広いシュートレンジとボールハンドリングが備わっていたアブドゥル・ラウーフ、ボールハンドリングに秀でていたクーコッチの方が現代NBAでも通用するのではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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