【名作シューズ列伝】コンバースを牽引したバードの“最後の相棒”。機能面は平凡も、モデル名にレジェンドへの愛が凝縮

人に歴史あり。バスケにスーパースターあり。スーパースターにシグネチャーモデルあり。シグネチャーモデルにBOXあり! 

 初代ドリームチームのシグネチャーモデル第7弾、本編12箱目は、“レジェンド”ことラリー・バードが着用したモデルのお話です。

 インディアナ州のウエストバーデンで生まれたバードは、高校まで順調に選手としてのキャリアを積み上げ、大学は名称ボビー・ナイト率いるインディアナ大へ。しかし、新しい生活に馴染むことができず、入学からわずか1か月で退学し故郷に戻ってしまいます。

 結婚と離婚、父親の自殺とコート外での問題も抱えていたバードですが、バスケットの才能は本物で、インディアナ州大のコーチに勧誘されて1975年6月に同大へ入学します。4年時の79年にはシーズン無敗でチームをNCAAトーナメント決勝に導き、ネイスミス賞とウッデン賞をダブル受賞。最後の相手は、のちにロサンゼルス・レイカーズへ入団するマジック・ジョンソン擁するミシガン州大でした。バードは大一番で19得点、13リバウンドをマークするも、インディアナ州大は64対75で敗れて優勝はならず。ただ、彼にとってマジックという一生涯のライバルを得ることになりました。
  同年にボストン・セルティックスに入団すると13年間のキャリアで優勝3回、シーズンMVP3回、ファイナルMVP2回、オールスター出場12回と輝かしい実績を残しました。特に印象的だったのは、オールスターの3ポイントコンテスト。第1回大会から3大会連続で頂点に立っており、その勝負強さは圧巻でした。

 キャリアの晩年は足の負傷や腰痛によって欠場が増え、出場した試合でもベンチに座らず、フロアに横になって身体を休ませる姿がよく見られました。34歳で迎えた1991−92シーズンは45試合の出場にとどまり、いよいよ引退かと覚悟を決めたことを思い出します。

 五輪を1年後に控えた91年のオフ、バードにアメリカ代表からのオファーが届きました。健康問題もあって当初は出場に難色を示していたものの、ライバルのマジックからの誘いや、セルティックス関係者からの説得によって参加を決意したのです。
 「BIRD OLYMPIC MID」のベースは「U.S.PRO STAR MID」。

 マジックモデルと同様に、シュータンにラバー製のアメリカ代表オフィシャルロゴが輝き、くるぶしに背番号7が刺繍されています。NBA入り後、バードはずっとブラックのシューズを着用していたので、ホワイトを基調としたカラーパターンは新鮮でした。

 ただ、シューズには目立った機能が搭載されていません。腰や背中を痛めていたバードのことを考えれば「Energy Wave」や「REACT」といったテクノロジーを採用しても良いと思いましたが、アメリカチームにはマイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、チャールズ・バークレーなど、NBAの最前線で活躍しているエリートが揃っており、バードが毎試合全力で頑張る必要はありませんでした。ファンとしてはやや物足りなさを感じたものの、本人はそれで良かったのでしょう。



 BOXは前回紹介したマジックと同じCONVERSのデフォルト。上面には、赤のCONVERSロゴ。「CHEVRON」が横に流れるスピード線。側面には、「STAR」が入っています。
  シールで貼られた名前の部分は、こちらもマジックモデルと同様に「U.S.PROSTER MID」ではなく、「BIRD OLYMPIC MID」と表記されており、ブランドのバードに対するリスペクトと愛が感じられます。



 大学時代からバードとマジックと常に比較され、それはプロ入り後も続きました。セルティックスとレイカーズ、白人と黒人、同じ206cm、抜群の勝負強さと支配力……。ファンにはたまらない2人のライバル関係は、バルセロナオリンピックで結実したのです。

 五輪で金メダル獲得後、バードは静かに引退。引退セレモニーにはマジックも駆けつけ、ライバルであり友人でもあるバードの功績を称えました。結果的に「BIRD OLYMPIC MID」は、彼の“最後の相棒”となったのです。

 ちなみに、ドリームチームでコンバースのモデルを履いていたのはバードとマジックのみ。ブランドはこの2人を広告塔に長年バッシュ界を牽引してきましたが、彼らの引退、そしてナイキやフィラなどの台頭によって勢いを失い、契約選手は徐々に減少していきました。

文●西塚克之

【著者プロフィール】
西塚“DUKA”克之/日本相撲協会公式キャラクター「ハッキヨイ!せきトリくん」の作者として知られる人気イラストレーター。入手困難なグッズやバッシュを多数所有する収集家でもあり、インスタグラム(@dukas_cafe)では、自身のシューズコレクションを公開中。ダンクシュートでは名作シューズ列伝『SOLE&SOUL』を連載している。

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