引退から12年。クリス・ウェバーは殿堂入りに値するか?キングス時代の戦友は「疑いようがない」と全面支持

引退から12年。クリス・ウェバーは殿堂入りに値するか?キングス時代の戦友は「疑いようがない」と全面支持

5度のオールスター選出などリーグ屈指のPFとして活躍したウェバー。今後、殿堂入りを果たせるか。(C)Getty Images

5月20日(日本時間21日、日付は以下同)。NBA通算得点で歴代2位の3万6928点を誇る殿堂入り選手、カール・マローン(元ユタ・ジャズほか)がポッドキャストの『Pardon My Take』へ出演し、こんな発言をしていた。

「カール・マローンという選手よりも才能に恵まれていた男たちを教えよう。クリス・ウェバー(元サクラメント・キングスほか)、デリック・コールマン(元ニュージャージー・ネッツほか)、そしてチャールズ・バークレー(元フェニックス・サンズほか)だ。彼らは俺を上回る才能を持っていた。俺よりもいい仕事をすることはなかったがね」

 2006年に殿堂入りしたバークレーはキャリア16シーズンのうち、11シーズン連続で平均20点、10リバウンド以上を稼ぎ出し、マローンとともにパワーフォワードの概念を変えた選手。実力、実績ともに申し分なく、現役時代のライバルの1人だったこともあり、マローンはこのリストの中に入れたのだろう。
  だがそのほかの2人、特にウェバーは、天賦の才に恵まれながらも真のスーパースターになりきれなかった印象が強い。もちろん、マローンやバークレーらと比べればという話で、残した功績は数知れない。

 206cm・111kgの万能型パワーフォワードとして鳴らしたウェバーは、1993年から2008年まで、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、ワシントン・ブレッツ(現ウィザーズ)、キングス、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、デトロイト・ピストンズの計5球団でプレー。15年のNBAキャリアで新人王を皮切りに、オールスターとオールNBAチームにそれぞれ5度選ばれたほか、1999年には平均13.0本でリバウンド王にも輝いた。

 ヒザのケガなどで通算831試合(うち先発は827試合)の出場に終わったものの、キャリア平均スタッツは20.7点、9.8リバウンド、4.2アシスト、1.44スティール、1.44ブロックという素晴らしいもの。NBAの歴史の中でキャリア平均20点、9リバウンド、4アシスト以上を記録した選手はウェバーを入れて5人しかおらず、残りの4選手はエルジン・ベイラー(元ロサンゼルス・レイカーズ)、ウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズほか)、ビリー・カニンガム(元シクサーズほか)ラリー・バード(元ボストン・セルティックス)と、いずれも殿堂入りしたレジェンドたちばかりだ。
  特にキングスに在籍した98~05年の7年間では平均23.5点、10.6リバウンド、4.8アシスト、1.51スティール、1.47ブロックと大車輪の働きを見せ、チームをプレーオフの常連へと押し上げた。85-86シーズンにキングスが本拠地をサクラメントに移してから進出した10回のプレーオフのうち、7回はウェバーが在籍中のものだ(04-05シーズンは途中移籍)。

 だがこれだけの実績を残しながら、ウェバーは今も殿堂入りすることができていない。

 ウェバーがキングス在籍時に、アシスタントコーチとして2シーズンをともに戦ったバイロン・スコットは、2018年12月に『ESPN』の「The Jump」へ出演した際、教え子の殿堂入りについてこう話していた。

「ウェバーは殿堂入りにふさわしいと思う。私はキングスで、彼の全盛時にコーチする機会に恵まれた。彼は全てをこなすことができたんだ。ポストで素晴らしい働きを見せただけでなく、ミドルポストでも優秀だった。ディフェンダーと正対した状態からでも得点できたし、信じられないほどパスが上手く、リバウンダーとしても素晴らしかった。なにより彼はチームプレーヤーだったんだ」
  スコットの言葉通り、キングス時代のウェバーはリーグ屈指の万能ビッグマンとして多彩な活躍を披露した。インサイドではフィンガーロールやベビーフック、ミドルエリアからは打点の高いジャンパーを沈め、ドライブでもディフェンダーを翻弄。パサーとしても優れており、ノーマークのチームメイトへ鋭いパスで得点を演出するだけでなく、ノールックやビハインドザバックなど、ハイライトシーンに残るような華やかさも持ち合わせていた。

 5月22日に『NBA.com』へ掲載された記事では、当時のチームメイトたちもコメントを寄せている。キングス時代、ゲームの流れを引き寄せるシックスマンとして活躍したボビー・ジャクソンは言う。

「俺からすれば、クリスは(マローンよりも)ずっと才能があったと思うね。カールは自身の才能に、より磨きをかけて殿堂入りするキャリアを送った。でも、ボールハンドリングとシュート力、パサーとしてのスキルといい、クリスはおそらく最も才能に恵まれたビッグマンの1人だった。それに最高のチームメイトでもあったんだ」
 「彼が残してきた数字とキャリアを見れば、殿堂入りする選手だと思う。サクラメントでNBAチャンピオンになることはできなかったけど、俺たちに栄光をもたらしてくれた」

 キングスで主にエースストッパーとして活躍したダグ・クリスティも、ウェバーの殿堂入りを後押しする1人だ。「僕の意見ではあるけど、疑いようがないね」と切り出すと、「チーム全体がアンセルフィッシュになるべく、基準を示してくれたんだ」と評している。
  ウェバー、ジャクソン、クリスティ。さらにはマイク・ビビー、ブラデ・ディバッツ、ペジャ・ストヤコビッチ、スコット・ポラード、ヒドゥ・ターコルーら役者が揃っていた当時のキングスは、リック・アデルマンHC(ヘッドコーチ)の下、流麗なボールムーブメントで選手たちが動き回り、コート上のどこからでも点を取ることができるオフェンスを武器に強豪へのし上がった。

 その中心として得点にアシストにと八面六臂の活躍を見せ、チームメイトたちの力を存分に生かしていたのが、ほかならぬウェバーだった。引退から12年が経った今、殿堂入りへ道のりは険しいかもしれないが、その資格は十二分にあるはずだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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