極端なスモールラインナップを敷いたロケッツに“次の一手”は残されていない【2020プレーオフ座談会:ウエスト/後編】

極端なスモールラインナップを敷いたロケッツに“次の一手”は残されていない【2020プレーオフ座談会:ウエスト/後編】

トレードでセンターのカペラを放出し、スモールラインナップを敷いたロケッツについてシェリダン氏は、「意外性はあるが、プレーオフで勝ち続けられるとは思わない」と辛口評価。(C)Getty Images

現地在住のNBAライターが今年のポストシーズンを徹底予想する『ダンクシュート』の人気企画「プレーオフ座談会」。今年は3月に開催されたが、当日にNBAからシーズン中断のアナウンスが流れ、記事はお蔵入りに。しかし、今季の回顧と再開後を展望する意味で、“幻の座談会”を一挙公開。ウエスト後編では、LAの2チームの対抗馬やファイナルに進むチーム、そして注目選手を挙げてもらった。

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杉浦:極端なスモールラインナップを採用して話題になったロケッツはどう?

シェリダン:ロケッツはトレード期限前にクリント・カペラを放出して以降、プレーオフどころか、その日に何が起こるかを予測するのも難しくなった。下位チームに大敗することがあれば、強豪に勝ったりする。あれほど極端なスモールラインナップを敷いたチームは過去にも前例ないだけに、プレーオフでニコラ・ヨキッチ、モントレズ・ハレル、イビツァ・ズバッツ、アンソニー・デイビスとマッチアップした時にどうなるかはわからない。意外性はあるからレギュラーシーズンで戦う分には良いだろうが、個人的にはあのスタイルでプレーオフで勝ち続けられるとは思わないな。ポストシーズンまでには研究されるし、短期決戦で何度も対戦したら対策も練られるだろう。
 スプラング:ナゲッツ、ジャズとか、オールスターレベルのビッグマンを持つチームと7戦シリーズで対戦し、ロケッツがどんなプレーをするのかは興味深い。その2チームは速いペースのバスケットに慣れていないし、ラッセル・ウエストブルックを誰がマークするのかという問題もあるから、必ずしもロケッツが絶対不利とは言い切れない。

杉浦:ジャズは今季も派手さはないけど、ロースターのバランスが良いね。

シェリダン:ジャズはオールスター以降は絶好調だ。ルディ・ゴベア、ドノバン・ミッチェルという両輪は良いプレーをしている。依然として注目度が高いとは言えなくて、ミッチェルなんてサンズのデビン・ブッカーよりも知名度は低いくらいだけど、実力は十分だ。

スプラング:ここまで低調なマイク・コンリーが力を発揮し始めれば、ジャズはさらに良いチームになる。ナゲッツ同様、ジャズも実力は確かだと思うから、ウエストの3番手はナゲッツかジャズのどちらかじゃないかな。
 
杉浦:サンダーではクリス・ポールが予想以上に良いプレーをしているのが印象的だ。

シェリダン:今季のポールのパフォーマンスは素晴らしいよ。ポール、シャイ・ギルジャス・アレキサンダー、デニス・シュルーダーというスリーガード体制は、どんなチームもガードするのは難しい。スピードとシュート力を備え、ロケッツ以外のチームは対応に苦しむことになる。それにセンターのスティーブン・アダムズがリバウンダーとしてセカンドチャンスを供給しているのも大きい。
 スプラング:僕はマーベリックスも2番手グループに含めたい。ルカ・ドンチッチ、クリスタプス・ポルジンギスという2人にとっては初のポストシーズンだ。彼らが大舞台でどれだけのプレーができるかも楽しみだね。ウェスタンの3〜7位は実力伯仲で、プレーオフは第1ラウンドから激しいものになるだろう。

杉浦:ここまで7チームの話をしてきたけど、プレーオフ圏内の8位にはどこが入ってくるだろう。現在、8位はグリズリーズ。その後にブレイザーズ、ペリカンズ、キングスが続いている。

シェリダン:グリズリーズがこのまま8位をキープするだろう。新人王候補のジャ・モラントは見事な活躍だったし、魅力のあるチームになった。2月中旬以降のヨナス・ヴァランチュナスはダブルダブルを連発し、リーグ屈指のセンターと呼ばれてもおかしくないほどのプレーをしている。

杉浦:今季のペリカンズに期待するファンは多かったけど、ザイオン・ウィリアムソンのケガによる出遅れが響いたね。

シェリダン:私もペリカンズには期待していたよ。ザイオン、MIP候補のブランドン・イングラム、ロンゾ・ボールといったロースターにはフレッシュな魅力があるし、ドリュー・ホリデーも健在だ。彼らがプレーオフに進み、第1ラウンドでレイカーズと対戦したら、デイビス絡みのトレード時の因縁もあって、大きな話題を呼んだはずだ。まあ今季がダメでも、彼らが将来有望なチームであることに変わりはない。
 スプラング:僕はペリカンズが逆転でプレーオフに進むと大胆予想したい。8位のグリズリーズまで3.5ゲーム差だけど、終盤のスケジュールは極めて容易だ。ペリカンズが勝つべきゲームを確実に勝ち、グリズリーズのモラント、ブランドン・クラークといった若手が不振に陥った場合、プレーオフ争いはわからなくなる。

杉浦:プレーオフの注目選手をそれぞれ挙げてもらえるかな。

シェリダン:レブロンとレナードだ。レブロンに関しては説明の必要もないだろうし、レナードも周囲の選手の仕事を容易にしてくれる選手だ。ウエストの覇権争いに、この2人のスーパースターの活躍が密接に関わってくることは間違いない。3人目を選ぶとすれば、ミッチェルだな。ジャズは本当に良いチームで、シリアスなコンテンダーと捉えられてしかるべきだ。セミファイナルでレイカーズと対戦すれば、多くの人が注目し、ミッチェルの名前も全国区になるかもしれない。

スプラング:クリスはトップチームの選手を選んだから、僕はあえてロサンゼルス以外のチームから挙げよう。まずはナゲッツのヨキッチだ。今季はやや出遅れたけど、好調時には20得点、10リバウンド、7アシストをマークできるレベルの選手。今の順位のままで、プレーオフの第1ラウンドでロケッツ、第2ラウンドでクリッパーズと対戦した場合、両チームにとってヨキッチは悪夢のような存在になる。彼の働き次第で、ナゲッツがカンファレンス・ファイナルまで進んでも不思議はないと思う。
 杉浦:オールラウンドな能力を持つヨキッチは、確かにどこかで番狂わせの立役者になりそうな魅力を感じさせているね。

スプラング:一方、ロケッツがアップセットを起こすためには、やはりジェームズ・ハーデンの爆発が必要だ。これまでのハーデンはプレーオフでビッグパフォーマーとしては認識されてこなかった。ロケッツが超スモールラインナップを敷き、シューターを散りばめたのは、ハーデンの能力を最大限に活かすためだ。もしこのやり方でも上手くいかなかったら、“次の一手”は残されていない。ハーデンはここで結果を出さなければいけない。

杉浦:クリスが本命チーム、シュロモが対抗馬の選手を挙げてくれて、おかげで綺麗にまとまったね。

スプラング:最後にバスケットボールファンとして、注目に値する選手をもう1人選ばせて欲しい。僕はドンチッチのプレーオフデビューを本当に楽しみにしているんだ。第1ラウンドでクリッパーズと対戦したとして、レナード、ジョージといったエリートディフェンダーにどう立ち向かうか。マブズはまだ優勝候補ではなくとも、ドンチッチは決して目が離せない選手だ。
 杉浦:最後にカンファレンス・ファイナルのカードを予想して欲しい。

シェリダン:さっきも話した通り、クリッパーズはレイカーズよりも優れたチームかもしれない。それでも私はレイカーズとレブロンがウエストを制すると見る。クリッパーズとレイカーズが対戦し、4勝3敗でレイカーズだ。

スプラング:僕もレイカーズとクリッパーズだ。でも勝つのはクリッパーズだと思うよ。

杉浦:2人とも今日はどうもありがとう。

文●杉浦大介

【座談会参加メンバー】
杉浦大介/すぎうらだいすけ
ニューヨークを拠点にフリーランスのスポーツライターとして活動。NBA以外にもMLB、NFL、ボクシングを中心に精力的な取材・執筆を行なう。

クリス・シェリダン/Chris SHERIDAN
元AP、ESPNの記者で、現在はスポーツ・ギャンブルサイトのGet More Sportsで健筆を振るうベテランライター。

シュロモ・スプラング/Shlomo SPRUNG
ニューヨーク在住のスポーツライター。主に経済誌フォーブスでNBAの記事を執筆する。

【PHOTO】巧みなステップとドリブルで相手を翻弄!現役最強スコアラー、ジェームズ・ハーデンのキャリアをプレーバック!
 

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