黄金世代で一二を争う「努力家」。小祝さくらが2年連続でトップ10入りできた理由【黄金世代の歩み】

黄金世代で一二を争う「努力家」。小祝さくらが2年連続でトップ10入りできた理由【黄金世代の歩み】

小祝は2年続けて全試合に出場し、現在77試合連続出場中だ。(C)Getty Images

黄金世代では8番目にツアー初優勝を飾った小祝さくらだが、生涯獲得賞金額では同世代のトップとなる1億6005万円5113円を稼いでいる。1勝しか挙げていないにも関わらず、複数回優勝を飾っている畑岡奈紗や渋野日向子、勝みなみを上回っているのだ。それだけ上位に入る回数が多い証拠だが、どのようなゴルフ人生を歩んできたのだろうか。

 97年4月、北海道北広島市で生まれた小祝は母親の影響で8歳からゴルフを始める。小学生時代から北海道ではほぼ無敵状態であり、北海道ジュニアや北海道女子アマなど数々の大会で優勝を飾る。高校を卒業した17年のプロテストで一発合格を果たすと、その年の最終予選会では9位に入り、翌年のツアー出場権を獲得。全38試合に出場し、未勝利ながら賞金ランキング8位となる。特筆すべきはトップテン入りの回数で、なんと13回を数える。実に3試合に1回の割合でトップテンに入ったのだ。しかも、2位が4回あり、いつ優勝してもおかしくなかった。
  その小祝がついに念願のツアー初優勝を飾ったのが、昨年のサマンサタバサガールズコレクションレディスだ。首位と2打差でスタートした最終日、前半で1打差に迫ると、後半の10番ホールで逆転。そのまま1打差で逃げ切った。相手がツアー5勝を数える実力者のイ・ミニョンだったが、前年度の優勝争いをした経験が生きた形だ。不思議なことにこのシーズンもトップテンに入った回数は13回で賞金ランキングも8位だった。ただ平均ストロークは71・5191から71・1037に上がっている。年々レベルが上がる女子ツアーだけに、同じ成績を残すためには自分も前年よりもレベルアップしなければ難しいのだろう。

 2年連続で賞金ランキングのトップテンに入るのはそう簡単なことではない。しかし、数字だけ見ると、小祝に突出したものはない。主要な部門別ランキングで10位以内に入っているのはパーセーブ率(9位)ぐらいだ。ただし、パーオン率(15位)、平均パット数(16位)、平均バーディ数(15位)、ドライビングディスタンス(15位)は20位以内に収まっており、穴のない選手であることは確かだ。その強さの秘密はどこにあるのか、アマチュア時代から彼女を指導する辻村明志コーチに聞くと、努力し続ける才能がすごいというのだ。
 「一つの技術を習得するのに時間はかかりますが、一度身につけたらまずミスしませんね」と辻村コーチ。例えば、パッティングの距離感と出球をコントロールするために、ホームセンターで購入した幅5センチ、長さ1メートルの薄い鉄板を与えたことがある。その上にボールを乗せてストロークするが、なかなか最後まで転がり切れない。「フェースの芯でとらえなければ真っ直ぐ転がらず、最初のうちはすぐに落ちてしまいました。相当イライラしましたね」と小祝は言うが、ラウンドの前後はもちろん、宿泊先のホテルなどで暇さえあればボールを転がし続けた。その結果、最後までボールが転がるようになり、結果的に2.5メートルぐらいの距離を入れる確率が一気に増したのだ。
  また、昨年1月に約1カ月間行ったハワイ合宿では、バンカーの目玉を打つ練習を辻村コーチから指示されると、毎朝2時間始めることから1日がスタートしていたという。バンカーショットだけではなくアイアンショットの練習にも通じるらしいが、単調な練習を続けることを苦にしないところが小祝の強さでもある。まさに“継続は力なり”を地でいくタイプなのだ。

 2年続けて全試合に出場し、現在77試合連続出場中の小祝。「欠場すると過酷な練習が待っている分、試合に出たほうが楽なんです」というが、どれだけハードな練習をしているのか想像すらつかない。今季は新型コロナの影響でシーズン開幕が遅れているが、来るべきXデーには技術的にも体力的にも一段と成長した姿を見せてくれるだろう。

取材・文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

【PHOTO】2019年にツアー初勝利!賞金ランクも8位につけた小祝さくらの厳選フォトギャラリー!

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