【名作シューズ列伝】バークレーからピッペンへ――。万能戦士がついにブランドの顔となった「NIKE AIR MORE UPTEMPO」

人に歴史あり。バスケにスーパースターあり。スーパースターにシグネチャーモデルあり。シグネチャーモデルにBOXあり! 

 前回までは、1992年に一世を風靡したドリームチーマーのモデルを取り上げてきましたが、今回から96年のアトランタ五輪に出場した選手たちのモデルを紹介します。

 3代目ドリームチーム(94年の世界選手権に出場したのが2代目ドリームチーム)の第1弾、本編17箱目は、96年にリリースされたスコッティ・ピッペンとチャールズ・バークレーが着用した「NIKE AIR MORE UPTEMPO」のお話です。

 ピッペンはシカゴ・ブルズでマイケル・ジョーダンの相棒を務めた歴代屈指のオールラウンダー。96年当時は30歳とキャリアのピークにあり、前回のバルセロナに続き、2大会連続でアメリカ代表に選出されています。

 ジョーダンと同じ84年にデビューしたバークレーは、プロ2年目から11年連続で平均20点、10リバウンド以上をマークしたパワーフォワード。30歳を超えてからは(五輪時は32歳)ケガによる欠場が増えたものの、依然としてリーグ屈指の実力を誇り、こちらも順当にメンバー入りを果たしました。

 アメリカにとって“地元開催”となった大会でバークレーはチームトップの平均12.4点、6.6リバウンド、ピッペンはチーム4位の平均11.0点、3.3アシストと躍動。アメリカは8戦全勝、平均31.8点差をつけ、2大会連続で金メダルを獲得しました。
  チームには彼らのほかにも若手のシャキール・オニールやアンファニー・ハーダウェイ、バルセロナ五輪にも出場したカール・マローンやジョン・ストックトンもいましたが、マジック・ジョンソン、ラリー・バード、ジョーダンというカリスマ性のあるスーパースターがいた前回と比べると、チーム自体の人気は今ひとつでした。

 それでも、オリンピックモデルは初代ドリームチームと同等のインパクトをスニーカー市場に与えています。その筆頭が「NIKE AIR MORE UPTEMPO」です。

 ミッドソールに君臨する「Maximum Volume Air Sole Unit」は大幅にAirを増量。“フライト系”のピッペンと“フォース系”のバークレーが着用することで、“アップテンポ系”という新たなカテゴリーが誕生しました。
  サイドに大きく入った「AIR」の白い文字とベースとなる紺地の大胆なコンビネーション。金色が上品に添えられナショナルカラーにまとめられたアッパー。ソールも華やかにツートンに色分けされ左右対称のスウッシュが目を引きます。



 もうひとつの注目ポイントはかかとのナンバリング。「8」はアメリカ代表でピッペンが着用した番号で、サンプルにはなかったナンバリングが市販品に入っています。バークレーの「4」が入ったモデルは一般に市販されなかったため、NIKEがバークレーからピッペンに次のバトンを託したことが見受けられます。



 BOXはNIKEデフォルト。前回のNIKE五輪モデル同様、通常BOXから変化はなく、ブラックのスウッシュ、側面の上部はブランドのアイデンティティであるオレンジ、下はブラックで締められています。
 

 シューズに力を注ぎすぎてBOXまで手が回らなかったのか?予算の問題か?それともシューズのクオリティだけで勝負したかったのかは不明ですが、当時からNIKEは世界的なブランドだっただけに、BOXにもひと手間を加えてほしかったです。

 とはいえ「NIKE AIR MORE UPTEMPO」自体はその後、有名ブランドとのコラボ、OG復刻版、多彩なカラーウェイでリリースされるなど、NIKE屈指の人気モデルとなりました。

 神様ジョーダンのAIR JORDANシリーズと同様、歴史的な一足は、時代のちょっとしたタイミングに突然現われ、定番商品になっていくことを思い知らされました。

●西塚克之

【著者プロフィール】
西塚“DUKA”克之/日本相撲協会公式キャラクター「ハッキヨイ!せきトリくん」の作者として知られる人気イラストレーター。入手困難なグッズやバッシュを多数所有する収集家でもあり、インスタグラム(@dukas_cafe)では、自身のシューズコレクションを公開中。ダンクシュートでは名作シューズ列伝『SOLE&SOUL』を連載している。

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