“史上最高“の豊作年にドラフト4位でNBA入り。サム・パーキンスの平凡な人生を変えた“恩師”との出会い【NBA名脇役列伝・前編】

“史上最高“の豊作年にドラフト4位でNBA入り。サム・パーキンスの平凡な人生を変えた“恩師”との出会い【NBA名脇役列伝・前編】

1984年のドラフトで4位指名を受けたパーキンスは、以降17年に渡ってNBAでプレーした。(C)Getty Images

マイケル・ジョーダン、アキーム・オラジュワン、チャールズ・バークレー……。大豊作だった1984年のドラフトで、4位指名を受けたのがサム・パーキンスだ。華やかな同期生たちと比べれば、NBAに残したインパクトは小さいが、しかし、エゴとは無縁のそのプレースタイルを評価する向きは少なくない。錚々たるスターたちと同じ時代を生きた、ロールプレーヤーの半生を追う。

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 1984年のドラフトは史上最高の豊作と言われている。ジョーダン、オラジュワン、バークレー、ジョン・ストックトンと後世に語り継がれる4人のスーパースターが指名され、また全体2位指名権を持っていたポートランド・トレイルブレイザーズが、ジョーダンではなくサム・ブーイを選び、大失敗したことでも知られる年だ。

 この年の指名選手の中で、キャリア最多出場は1504試合のストックトン、次が1424試合のケビン・ウィリス。そして1286試合で3番目にランクされているのが、4位指名のサム・パーキンスだ。ジョーダンらに比べれば選手としての格は落ちるとはいえ、17年間にわたって第一線でプレーを続け、異なる3つの球団でファイナルに出場したパーキンスもまた、NBA史に刻まれる名選手の一人である。
 ■平凡な人生を変えた出会い高校で眠れる才能が開花

 ブルックリンのゲットーで生まれたパーキンスは、父親が1歳の時に亡くなったため、3人の姉妹とともに母親と祖母のマーサに育てられた。「エホバの証人」の熱心な信者だったマーサのもと、幼い頃から宗教的な訓話を聞かされた彼は、成長すると布教活動の手伝いもするようになる。

 中学生になる頃には身長が190cmを超え、友人から“カリーム(アブドゥル・ジャバー)”のあだ名で呼ばれていたパーキンスだが、必要な成績を収められなかったこともあり、バスケットボールのチームには入っていなかった。優等生でも不良でもなく、学校にも行ったり行かなかったり……。本人曰く「その頃やった一番悪いことは、バスに無賃乗車したこと。一番良いことは、ちゃんと料金を支払ってバスに乗ったこと」だった。
  そんな平凡な人生を変えたのが、コーチであるハーブ・クロスマンとの出会いだった。偶然、長身のパーキンスを見かけたクロスマンが、自分のバスケットチームに勧誘したことから始まった両者の関係は、やがて親子も同然にまで深まるのだが、クロスマンは出会った当時の印象をこう語っている。

「礼儀正しく、反抗的な態度を取ることはほとんどなかった。あの年頃としては、まさにこのように育ってほしいと思える理想的な少年だったね」

 その後、オルバニーに引っ越したクロスマンは、パーキンスが学校へ行かなくなっているとの話を耳にし、法定後見人となって彼をオルバニーに呼び寄せる。のんびり屋でガツガツしたところがない性格から、“イージー”というニックネームを与えたのも、父親代わりのクロスマンだった。

 オルバニーの高校で初めて真剣にバスケットに取り組むと、パーキンスの中に眠っていた才能が一気に開花する。平均25点をあげ、ジュニアワールドカップのメンバーにも選出。この時チームメイトになったジェームズ・ウォージー(元ロサンゼルス・レイカーズ)に誘われ、ノースカロライナ大に進学してからは、名伯楽ディーン・スミスの下でさらなる成長を遂げる。
  長身ながらコートのどこからでも得点できるシュートレンジの広さと、ガードからフォワードまで守れる敏捷性を武器に、1年生から主力として不可欠な存在となった。ジョーダンの“ザ・ショット”でチャンピオンに輝いた82年のNCAAトーナメント決勝では、パトリック・ユーイング(ジョージタウン大)とマッチアップし、10点、7リバウンドで優勝に多大な貢献をしている。

 面倒見のいいパーキンスは後輩たちにも慕われ、1学年下のジョーダンやケニー・スミスとも仲が良かった。最終学年は平均17.6点、9.6リバウンドでオールアメリカンに選出され、さらに84年のロサンゼルス五輪代表チームにも選ばれると、共同キャプテンを務めたジョーダン、そしてライバルだったユーイングらとともに金メダルを獲得した。(後編に続く)

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2014年8月号掲載原稿に加筆・修正。

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