再開シーズン初戦を控えた八村塁が掴んだ“確かな手応え”と、指揮官が与えた“3つの課題”

再開シーズン初戦を控えた八村塁が掴んだ“確かな手応え”と、指揮官が与えた“3つの課題”

八村はスクリメージ3試合でいずれもチーム最多得点をマーク。ベテラン選手たちと対峙することで、守備でも着実に成長を見せている。(C)Getty Images

7月30日(日本時間31日、日付は以下同)。NBAがフロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内にある“バブル”(リーグによって隔離された空間)で、約4か月半ぶりにシーズンを再開させた。

 無観客試合とはいえ、さすがは世界最高のプロバスケットボールリーグ。この日行なわれたユタ・ジャズ(ウエスト4位)対ニューオリンズ・ペリカンズ(ウエスト10位タイ)、ロサンゼルス・クリッパーズ(ウエスト2位)対ロサンゼルス・レイカーズ(ウエスト1位)のシーディングゲーム(順位決定戦)2試合はいずれも終盤までもつれた末に2点差での決着と、再開初日から見応え十分の展開となった。

 そして翌31日には日本が誇る至宝、八村塁が所属するワシントン・ウィザーズ(イースト9位)がウエスト13位のフェニックス・サンズ相手にシーディングゲーム初戦に挑む。

 3試合のスクリメージ(練習試合)で平均17.3点、7.3リバウンドを記録し、チームのトップスコアラーとなった八村は29日の練習後、「(長い中断期間を経て)NBAのスペーシングにも慣れてきました」と頼もしい言葉を残している。
  この3試合で八村はポール・ミルサップ(デンバー・ナゲッツ)やカワイ・レナード、マーカス・モリス(ともにクリッパーズ)、マーキーフ・モリス(レイカーズ)らとマッチアップ。歴戦のベテランたちとの対戦は、攻守両面で貴重な経験となったようだ。

「リーグでずっと活躍してきている選手たちをこの3試合でガードして思うのが、身体つきもそうですし、身体の使い方も上手いなぁと。どういうところでファウルをもらうかとか、シュートセレクションとかも完璧ですし、テレビで観ているのと実際やるのとでは違うので、今はそういうところを学ぶことができていると感じます」

 プレーオフ進出へ向けた初戦の相手はサンズ。昨年11月27日の試合では140−132で勝利したものの、八村自身は技巧派のダリオ・シャリッチやストレッチ5のフランク・カミンスキーらと対峙し、フィールドゴール25.0%(2/8)の6得点に終わっている。さらにサンズはその試合で2人の屈強なビッグマン、ディアンドレ・エイトンとアーロン・ベインズが欠場。両選手がラインナップに加わる次戦は、前回以上に厳しい戦いが予想される。
  それでも八村は「ボールプッシュをする時も、もっと余裕を持って(コート全体を)見れるようになってきている」と、確実に自身の成長を感じているという。「どういうところで攻めて、どういうところでファウルをもらったりとか、余裕を持ってできるようになってきている。スペーシングがよくなっている成果が出てきてるんじゃないかなと思います」とポジティブな姿勢を貫いた。

 一方、第二幕で八村にエースとしての働きを期待するスコット・ブルックスHC(ヘッドコーチ)は、練習試合のクリッパーズ戦後にディフェンス面での成長を高く評価した。

「すごく向上したと思うね。MVP級の選手(カワイ)を相手に堂々としたプレーぶりだった。カワイもショットをいくつか外したが、ルイが常に邪魔をしていた。チャレンジにしっかりと立ち向かったんだ。カワイは簡単にディフェンスできるような相手じゃない。ルイのディフェンスは確かに向上した。メンタル面でも余裕ができてきた。4か月間の中断を経て、まるで2年目みたいだ。ルイにもチームにも成長の余地はまだまだあるが、毎日いい方向へと進んでいると断言できる」
  その八村に対して、指揮官がオフェンス面で挙げた課題は3つ。

「まずは3ポイント。自信を持って打ってほしいね。(得意なエリアで)しっかりと決め切りたい気持ちは分かるが、決めるためにはまず打たないといけないんだ。もう1つはドリブルからのアタック。ドリブルを2回突いてプルアップジャンパーを放つことはいいが、ドリブルを3回してから相手陣内に割って入ってレイアップを決めるプレーも見たい。ここ2試合はそれができている。そのあたりを向上させてほしいね」

「3つ目の課題は自分がシュートを打てない場合にしっかりとパスを出すこと。今はまだドリブルをやめてからパスのターゲットを探してしまう傾向にある。手が大きいから、何とか(ターンオーバーを)免れてるけどね。この3つを向上させることができれば、彼もチームもレベルアップすると思う」
  3ポイントについて、八村は「僕としては別に3ポイントシューターという意識は全然ないので。ただ単に、3ポイントは僕のゲームじゃないので、あんまり打ちたいとは思わないだけ」とさほど問題視していない様子。「ほかの部分でできることがいっぱいあるので、そこをもっと意識してトレーニングしてますし練習にも臨んでるので、3ポイントを無理して打とうとはしてません」と語っている。それでも、ゲームの流れやスペーシングを保つうえで、“打たなければいけない”場面は今後も確実に出てくるだけに、その時は迷わず練習の成果を発揮したいところだ。

 ウィザーズはジョン・ウォールにブラッドリー・ビール、ダービス・ベルターンスら主軸が再開シーズンを欠場。飛車角落ちの布陣でイースト8位のオーランド・マジックを5.5ゲーム差で追いかけるというタフな状況にもかかわらず、ブルックスHCはこれからの8試合を「絶好の機会」と捉えている。
 「周囲は『苦難に直面するだろう』と言っているが、私はそうは思っていない。選手たちが厳しい挑戦をするいい機会だと見ている。ベストなバスケットボールをする以外、許されないゲームが始まろうとしている。何とかプレーイン・トーナメントへとたどり着きたいね。それと同時に、若い選手たちを評価するいい機会でもある。彼らがこの期待にどう応えるのか。残り8試合でゲーム差を縮められるか。そんなテストになる。他のチームが負けなければいけないから、(プレーオフへ出場するためには)多少の運も必要。でも経験が浅い我々の選手にとってはいい機会だし、コーチ陣も彼らを評価できる」

 4か月以上も中断していたこともあり、この第二幕について「どちらかというと2年目のような感じがします」と口にした八村。ウィザーズは、31日から8月13日までの約2週間で8試合を戦い、8位チームと4ゲーム差以内まで縮めることができれば、プレーイン・トーナメントへと持ち込まれ、そこで2連勝すれば2年ぶりのプレーオフ出場権を獲得できる。再開初戦は日本時間で早朝5時に始まることを受け、八村は日本のファンに向けてこんなメッセージを送った。

「時差があるので大変だと思うんですけど、僕らもプレーオフへ向けてチーム一丸となっていきます。僕らの速攻の速さとか、見どころがあると思うので、皆さんぜひ観てください」

文●秋山裕之(フリーライター)

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