2戦連続で予選落ちの渋野日向子に、全英女子オープン連覇の目はあるのか?

2戦連続で予選落ちの渋野日向子に、全英女子オープン連覇の目はあるのか?

ツアー再開後は2大会連続予選落ちと不安材料も多い渋野。昨年大会の覇者として全英連覇に臨む。(C)Getty Images

いよいよ女子ゴルフの海外メジャー今季第1戦「AIG女子オープン(全英女子オープン)」が20日から開幕する。注目は、昨年の同大会で42年ぶりにメジャー優勝を飾った渋野日向子だ。「2連覇できるのは私しかいない。かなり楽しみ」と自身が語っていたように、今年も優勝すれば、日本人としては史上初の海外メジャー連覇を達成することになる。そうなれば、新型コロナの影響で閉塞感の強い日本のゴルフ界に、昨年以上のHOTな話題を提供するのは間違いない。ぜひとも大会連覇を実現してほしいところだが、はたしてその可能性はどこまであるのだろうか。

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 残念ながら、連覇への不安材料を挙げるとしたらキリがない。何しろ今季の女子ツアーは国内に限らず、軒並み中止の憂き目にあっていることで、何をやるにしても実践する場が少な過ぎた。渋野にしても現在までに出場したのは、国内女子ツアーの開幕戦「アース・モンダミンカップ」と先週開催された「ASIスコットランド女子オープン」の2試合しかない。どちらも予選落ちしたため、試合でのラウンド数は実質4ラウンドだ。普通に考えれば、ゴルフ勘を取り戻すのはかなり難しい現状といえる。
  また、昨年はイギリスでも内陸にあるウォーバーンGCが会場となったが、今年はリンクスのロイヤルトルゥーンGCが会場になる。リンクスといえば、海岸沿いにあるコースで、海からの風が吹きすさび、天候がクルクルと変わるのが特徴だ。レイアウト的にも日本の河川敷コースのようにフラットなホールが続き、しかもホールをセパレートする林がなく、どこへ向かって打てばいいのか分かりにくい。

 特に、今回のように無観客で行われるとそれが顕著になる。コース内にはヒースと呼ばれる低木と小さいながらアゴの高いポットバンカーが待ち受けるが、どちらも脱出は難しく、アンプレヤブルを宣言したり、後方へ出す選手が珍しくない。渋野にとって初めてのリンクスでの開催だった「スコットランド女子オープン」では、「ポットバンカーに入ったら出すだけでしたし、ラフに入ったらどこに飛んで行くか分からない状態でした」と早速その洗礼を受けていた。
  ただ、リンクスには不慣れな部分があるにしても、全英女子オープンの直前に経験したことで対策を練る時間はあったはず。あとは、シーズンオフや自粛期間中に磨いてきた技がどこまで通用するかだろう。渋野は転がすアプローチにかなりの時間を割いてきたが、まだ手応えを感じるところまでは達していないようだ。実際、「スコットランド女子オープン」2日目、15番パー4で残り30〜40ヤード地点から転がしたが、グリーンを10ヤードほどオーバーしていた。

 転がしの名人であり、リンクスを得意としていた青木功によれば、最近のボールはスピン量が多いため浮きやすく、転がすこと自体が難しくなっていると以前語っていた。そう簡単に身につかないのだとしたら、あえてパターを選択したほうが賢明かもしれない。
  もちろん、不安材料だけではない。現在世界ランキング1位のコ・ジンヨンを筆頭に3位のパク・ソンヒョン、6位のキム・セヨンら上位にいる韓国勢が欠場する。その分、優勝争いに絡む確率は高くなるだろう。さらに、昨年に続いて今回もキャディを青木翔コーチが務める。当然、青木コーチの中には、リンクスへの戦略がデータとして入っているはずだ。「スコットランド女子オープン」を終えた後、渋野としっかりと対応策に合わせた練習を行なっているのは間違いない。渋野にしてみれば、最も信頼できる人間が一番近くで自分のゴルフをチェックしてくれるわけだから、これ以上の心強さはないだろう。

 正直、冷静に分析すればするほど大会連覇はかなり難しいと言うしかないが、何が起こるか分からないのがゴルフでもある。昨年は誰も予想しなかった状況で偉業を達成したし、不利な状況でも期待せずにはいられない何かを持っているのが彼女の持ち味でもある。連覇を期待する気持ちは消せないが、たとえそれが叶わなかったとしても、今回の経験を糧にして大きく成長することを信じ、最後まで自分のゴルフを全うすることに集中してほしいものだ。

文●山西英希

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