「自分のゴルフには安定感がない」米ツアーの怖さを知った渋野日向子、残り3試合で試されるのはメンタルの強さだ

「自分のゴルフには安定感がない」米ツアーの怖さを知った渋野日向子、残り3試合で試されるのはメンタルの強さだ

渋野はこの4日間で70、75、67、78といい日と悪い日が交互にきていた。(C)Getty Images

渋野日向子にとって海外メジャー2戦目となったLPGAツアー『ANAインスピレーション』最終日、前日に今季初の60台となる67をマークしただけに、どこまで順位を上げるのか期待されたが、78と大きくスコアを崩し、通算2オーバーの51位タイに終わった。

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「前半のハーフをパープレーで耐えていたのに、後半のハーフで6打も落としたのは本当に情けないです」と、試合後に悔しさをにじませた渋野。この4日間を振り返ると、初日から70、75、67、78といい日と悪い日が交互にきていた。初日のゴルフを見たときには、『AIG女子オープン』のときよりも格段に内容がよくなっているように映ったが、やはり、試行錯誤の段階では、メジャーでアンダーパーを4つ並べることは難しいのだろう。渋野自身も、今回のゴルフを振り返って、次のように語っている。

「まず自分のゴルフには安定感がないですし、爆発力もそんなにありません。飛距離もスピン量も全然足りないと思います。そこが上位の人や名前のある人とは違うところです。もちろん、経験も必要だなと感じました」
  さらに、今回は暑さにやられたこともあるが、最終日のバックナインでスコアを崩したのは体力にも課題があったといえる。それこそ優勝争いをでもしていれば、気力でカバーできたかもしれないが、下位で戦ったことで改めて体力不足を痛感していた。

 ただ、昨年の『AIG全英女子オープン』でいきなり優勝したことで、渋野に対するハードルが高くなり過ぎていないだろうか。本格的にツアーデビューして2年目の選手が、初めて出場した米国での試合、しかもメジャーでしっかり予選通過したのだ。1日だけとはいえ、5アンダーの67をマークした。硬くて微妙なアンジュレーションのある高速グリーンはイギリスでも経験しているが、バミューダ芝のラフは初めて経験だった。予想以上に芝の抵抗が強く、イメージどおりのボールを打てなかった場面も何回かあった。そんな状況で4日間戦えたことを評価してもいいと思うのだが……。
  確かに同学年の畑岡奈紗は最終日もしっかりとスコアを伸ばし、通算9アンダーで7位タイに入った。4日間のフェアウエーキープ率は75パーセントでパーオン率は79・17パーセントと恐ろしいほどの安定感だ。その畑岡にしても今年が米ツアー4年目で、芝への対応や攻め方も慣れている。今大会でのコースの攻め方を見ても、これまでの経験を十分生かしていた。その畑岡を引き合いに出すのはナンセンスではないか。

 おそらく、渋野は今大会を4日間戦ったことで、さらなる課題を見つけたはずだ。ラフからの打ち方やグリーン周りでこの状況ではこういう打ち方が適しているなど、今後は具体的なテーマを掲げて練習に取り組むだろう。パッティングにしても、今回から取り入れたクロスハンドグリップのスタイルがある程度通用することが分かったが、最終日は「上り・下りでのタッチや、フック・スライスでのタッチが合っていませんでした」とどこかに問題があることを理解していた。当然、次戦に向けて微調整し、精度を上げてくるのは間違いない。
  あえて不安なところを挙げるとするなら、メンタルだろう。「一つのミスを引きずってしまうというか、切り替えようと思ってもなかなか切り替えられなかった」と言うように、集中力が切れた状態で後半のハーフはラウンドしていた。

 メジャーはもちろんだが、平場の試合でも集中力が切れたら、すぐにボギーやダブルボギーになるのが米ツアーのコースセッティングでもある。怖さを知れば知るほど、メンタルの強さが試されるが、そこをどう乗り切るかによって、今後飛躍できるかどうかの期待度が変わってくる。どちらにせよ、帰国するまでにまだ3試合残っている。3試合目の全米女子プロゴルフ選手権に向けて、少しでも経験値を上げておきたいところだ。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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