勝率7割超えのスティーブ・カーHCがコーチとして味わった”最大のチャレンジ”を回顧

勝率7割超えのスティーブ・カーHCがコーチとして味わった”最大のチャレンジ”を回顧

カーは、ウォリアーズの指揮官として15、17、18年と3度の優勝を味わった。(C)Getty Images

現在ゴールデンステイト・ウォリアーズでヘッドコーチ(HC)を務めるスティーブ・カーは、現役時代にシカゴ・ブルズでマイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマンらとともに3連覇(1996〜98年)を達成し、その後移籍したサンアントニオ・スパーズで2度(99、2003年)の優勝を経験した。

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 2014−15シーズンから就任したウォリアーズの指揮官としても、カーは15、17、18年と3度の優勝を味わい、昨季まで5年連続でNBAファイナルへと導いた。

 今季こそリーグワーストの15勝50敗(勝率23.1%)に終わったものの、ここまでの6シーズンでカーが残した戦績は337勝138敗で歴代2位の勝率70.9%、プレーオフでは77勝28敗で歴代1位となる勝率73.3%を残している。
  そんななか、先日行なわれた『Men In Blazers』のインタビューに応じたカーは、ウォリアーズの指揮官として経験した最大のチャレンジについて明かした。それは就任初年度に優勝した後に迎えた15−16シーズンだったという。

「すべてのチーム、すべてのコーチがチャンピオンシップを勝ち取った後に立ち向かってきた。そうした中で、どうやってこの旅路を再びスタート地点から始めてエナジーを見つけ出すことができるか? (頂点に達したのに)再び山の麓から始めなければならず、またそこから登っていくんだ。これまでとは大きく異なるものだった」

 このシーズン序盤、カーは背中の手術をしたことでチームに合流できず、当時アシスタントコーチだったルーク・ウォルトン(現サクラメント・キングスHC)が暫定HCとして指揮を執り、NBA新記録の開幕24連勝を達成。その後もカーが1月中旬に復帰するまでも勝ち続け、39勝4敗という驚異的な成績を記録した。

 カーがHCに復帰後もステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンを中心に白星を量産し、終わってみればNBA新記録のレギュラーシーズン73勝9敗(勝率89.0%)を樹立。

 16年のプレーオフ。ウォリアーズはカンファレンス・ファイナルでオクラホマシティ・サンダー相手に1勝3敗と崖っぷちに陥り、そこから3連勝でファイナルまで勝ち上がった。だが頂上決戦では第4戦を終えた時点で3勝1敗と2連覇へ王手をかけたものの、そこからクリーブランド・キャバリアーズにまさかの3連敗を喫し、最終戦で涙を呑んだ。
 「多くの点で、最初の山登りというのは旅路の中で最も重要な部分を占めている。トップに立つまではね。実際、ほかのどんなことよりも楽しいものさ。でも一度トップに立ってしまうと、素朴さや楽しみというものを失ってしまうんだ。そして相手はフレッシュな状態であり、優勝すべくディフェンディングチャンピオンを倒してやろうと躍起になってくる」

 カーHC率いるウォリアーズは、16年のファイナルに敗れた後、ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)を獲得し、オールスターカルテットを形成。17、18年に連覇を成し遂げた。

 だが昨季はプレーオフに入ってからデュラント、トンプソンが負傷。ベストメンバーでNBAファイナルを戦い切ることができず、トロント・ラプターズの前に2勝4敗で敗退。今季はプレーオフを逃し、現在は来季に向けて巻き返しを図っている。

「私にとって、ウォリアーズのコーチとして最大のチャレンジだったのは最初に優勝した後に迎えたシーズンだった。次のシーズンに向けて、私はチームを調整しようとしてきたんだ。非常に難しかったね。我々が競い合うレベルへと到達し、プロセスを楽しむ状態まで引き上げるのが大変だったんだ」とカーは言う。

 昨年5月のこと。ウォリアーズが3連覇をかけたプレーオフの期間中に、カーは『95.7 The Game』へ選手時代のことを交えてこう話していた。
 「NBAチームで指揮を執ったことがあるコーチならば、誰もがその難しさについて同意してくれると思う。私は現役時代にシカゴで感じたのは、3度目というのは最初の年よりものすごくタフだったということ。すべてのチームが襲い掛かってくるんだからね。ライバルチームは我々を倒すべく計画を練って挑んでくる。2年前、我々(ウォリアーズ)は極めてスムースにプレーオフを駆け抜けることができた。でも昨年は(ヒューストン)ロケッツと第7戦まで戦った。簡単な道のりになることは決してない。ほんの2年前は比較的イージーに見えたかもしれない。でも今、ここまで困難な状況になるとは思い描いていなかったよ」

 今季プレーオフ出場を逃したことで、ウォリアーズは再びチャンピオンとなるべく、新たな旅路をスタートさせることとなる。カーHCをはじめ、カリーやトンプソン、グリーンといった主要選手たちが当初のフレッシュな状態まで戻ることは難しいだろうが、覇権争いへと加わるべく、強固なチームを作り上げると期待したい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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