久々の好スタートを切った鈴木愛。“パター不調”から見出した活路は「クロスハンドグリップ」

久々の好スタートを切った鈴木愛。“パター不調”から見出した活路は「クロスハンドグリップ」

久々に好スコアでの発進となった鈴木。ここ最近、不調だったパターもこの日は調子を取り戻した。(C)Getty Images

国内女子ツアーの『デサントレディース東海クラシック』初日、昨年の賞金女王、鈴木愛が66をマーク。首位と1打差の2位タイで好スタートを切った。今季は開幕戦の『アース・モンダミンカップ』では2位に入った鈴木だが、その後の4試合ではトップ20に一度も入っておらず、予選落ちが2回とらしくないゴルフが続いていた。その原因はパッティングにあったという。「今までは打つ前にここはしっかり目に打とうとか、ジャストで打とうと決めていたんです。でも、最近はきちんと決めずに、何となくこれぐらいかなという感覚で打っていたのが原因かもしれません」と分析する。

 確かに数字を見ると今季の1ラウンドの平均パット数は29・3571(20位)で、鈴木にしてはかなり低い数字だ。ちなみに本格的にツアー参戦した14年以降、鈴木が平均パット数で29を超えたのは17年(29・0213)だけであり、パットが武器であることは紛れもない事実である。そのパットが決まらないのだから、イライラは募るばかりだった。2週前の『ゴルフ5レディス』2日目はバーディを1つしか取れず、そのイライラも頂点に達していた。「ずっとバーディチャンスだったのに1つも入らんけん。唯一入ったのが30センチだけ。2メートルを真横から打ってもかすりもしない。そのうちショットがおかしくなってきて……」と悪循環を嘆いていた。
  その鈴木が活路を見出したのが、クロスハンドグリップだ。偶然にも同じピンと契約する渋野日向子が先週のANAインスピレーションで披露したスタイルでもある。通常は構えたときに右手が地面に近くなるが、クロスハンドグリップでは左手が地面に近くなる。より左手メインでストロークできるため、ラインを出しやすいのが特徴だ。

「今週、短い距離を練習したときにクロスハンドで打ったらうまくいったので、クロスでいこうかな」と語っていた鈴木。練習日だった火、水曜日はラウンドを9ホールずつに抑え、ひたすら練習グリーン上でボールを転がした。4時間ぐらいパットの練習を続けながら、やはりノーマルグリップでいこうと決めていたが、フィーリングのいいクロスハンドグリップを捨てきれず、急きょ初日をクロスハンドグリップで臨むことにした。
  試合で試すのは一昨年以来だったが、この日は面白いようにボールがカップに吸い込まれていく。2番パー4で2メートルを決めて、久々にバーディが先行すると、6番パー3ではティショットをピンそば50センチにつけて、2つ目のバーディを奪う。ところが、7番パー4で2メートルのパーパットを残す。ここ最近の試合では間違いなく外していた距離だ。しかも、フックしてからカップ際でスライスするという難しいスネークライン。「上りのラインだったので、あえてしっかり強めに打とうと決めてから打ちました」と鈴木。迷いなくストロークしたボールはカップのど真ん中から消えていった。

 ピンチを切り抜けると、12番から15番まで4連続バーディを奪うなど、完全に好調時のモードに入り、終わってみれば久々に7つのバーディを奪った。面白いもので、パットが入ることで少しずつ運も向いてきた。これまでは少し曲がっただけのボールが木の根に止まったり、フェアウェイに打ったボールが小さなディボットの中に入るなど、運のなさを嘆いていた鈴木だが、この日は15番で池ポチャかと思われた第2打がギリギリ池を避けるなど、思わぬラッキーに恵まれたと笑顔を見せた。
  今大会は優勝こそないものの、過去6回出場して全て予選通過し、トップテンが3回ある相性のいい大会でもある。ウェア契約を結ぶデサントが主催するだけに、今年こそ優勝して恩返しをしたいところだ。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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