「快調な前半」と「停滞の後半」に見る渋野日向子の現状。飛距離は出ているが…

「快調な前半」と「停滞の後半」に見る渋野日向子の現状。飛距離は出ているが…

前半は3連続バーディなどでスコアを伸ばしたものの、後半は11番パー4ではボギー、15番パー4ではダブルボギーを叩いた。(C)Getty Images

渋野日向子にとって、今季海外4戦目となったLPGAツアー『キャンピア ポートランドクラシック』。初日は日没による競技順延のため、17ホールでラウンドを終了。1アンダーの暫定39位タイにつけている。

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 米国西部で拡大する山火事による大気汚染の影響で3日間競技に短縮された今大会。プロアマ戦も中止となり、大会前の練習はわずかに1ラウンドしかできない状態で本戦を向かえた渋野。「練習はできませんでしたが、気持ちの切り替えとリフレッシュはできました」と、前週開催された『ANAインスピレーション』最終日に78と崩れたショックも多少は薄れたようだ。
  それを証明するかのように、この日の前半は快調にスコアを伸ばしていく。3番パー4で2.5メートルを沈めて最初のバーディを奪うと、5番から3連続バーディを奪い、一気に4アンダーまでスコアを伸ばす。「過去の大会では、スコアの伸ばし合いになっているので、フェアウェイキープとパーオンを増やして、攻めのゴルフができればいいですね」と語っていたが、前半はフェアウェイを一度も外さなかった。そのおかげで2つあったパー5では2オンに成功。どちらも2パットで楽にバーディを奪う。6番パー4ではピンをデッドに狙うあまり、グリーン奥のラフに打ち込む場面も。ピンまで約10ヤードと距離がない分、難しいアプローチとなったが、58度のウェッジで手前のカラーにボールを落とし、そのまま転がってカップインさせるスーパーショットを披露した。

 本来ならその勢いに乗って後半もスコアを伸ばしたいところだが、思うようにいかないのが、今の渋野だ。11番パー4ではボギー、15番パー4ではダブルボギーを叩く。どちらもティショットで3番ウッドを手にしたものの、右のラフへ打ち込んでしまい、一度フェアウェイに出すことを選択。100ヤード前後の距離からの第3打は11番ではピン手前10メートルにしか乗らず、15番ではグリーン奥のラフに打ち込んだ。この辺りの微妙な距離感をコントロールできないところが課題なのかもしれない。
  ただ、渋野にとっては西海岸での試合は初めての経験である。前週は乾燥した地域にあったため、グリーンが硬く、バックスピンでボールが何メートルも戻ることはなかった。今週は雨の影響もありグリーンが軟らかくなっていただけに、スピンもかかりやすい。日本から米ツアーに参戦した男子プロでさえ、最初のうちはスピンコントロールがなかなかできずに苦しんでいた。渋野がスピン量も含めて距離感をコントロールできるようになるには、やはり慣れが必要なのは致し方ない。
  もちろん、この日は課題を与えられただけではない。17番を終えた時点でフェアウェイを外したのは2度しかなかった。しかも、同伴プレーヤーのジェイマリー・グリーンとほぼ同じ飛距離を稼いでいた。グリーンは昨年のドライビングディスタンスで267・87ヤードをマークして25位だったことを考えれば、飛距離的には渋野が通用することを証明できた。さらに、パッティングでも3パットは一度もなかった。前週から始めたクロスハンドグリップもさらにフィットしてきたようにも見える。初日のスコアは1アンダーだったが、2日目以降、アイアンショットの距離感次第では、ビッグスコアが出る可能性は十分ある。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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