トレード候補からチームに不可欠な戦力に――プレーオフ絶好調のヒートを支えるゴラン・ドラギッチ

トレード候補からチームに不可欠な戦力に――プレーオフ絶好調のヒートを支えるゴラン・ドラギッチ

ドラギッチはセルティックスとの初戦で29得点、第2戦でも25得点を奪取。34歳のベテランの活躍でヒートは2連勝を飾り、ファイナル進出まであと2勝に迫っている。(C)Getty Images

マイアミ・ヒートの勢いが止まらない。今季はイースタン・カンファレンス5位の44勝29敗(勝率60.3%)でレギュラーシーズンを終えると、プレーオフに入って怒濤の快進撃を見せている。

 1回戦でインディアナ・ペイサーズをスウィープ(4連勝)で下すと、2回戦では2年連続MVPのヤニス・アデトクンボ率いる第1シードのミルウォーキー・バックスを4勝1敗で撃破。さらにカンファレンス決勝では、前シリーズで前年王者のトロント・ラプターズを下したボストン・セルティックス相手に2連勝と、ここまで通算10勝1敗(勝率90.9%)と驚異的な戦績を残している。

 ロースターにはオールスターデュオのジミー・バトラー、バム・アデバヨという攻守両面でゲームに強烈なインパクトを与える実力者がいるが、ゴラン・ドラギッチの活躍も見逃せない。

 キャリア12年目をプレーする34歳のコンボガードは、先発起用となったプレーオフでここまで平均22.2点、4.5リバウンド、4.6アシスト。フィールドゴール47.7%、3ポイント39.5%、フリースロー78.9%はいずれもプレーオフ自己ベスト。彼が20点以上あげた試合でチームは8戦負けなしだ。

 9月17日(日本時間18日、日付は以下同)に行なわれたセルティックスとのイースタン・カンファレンス・ファイナル第2戦では、終盤に貴重なショットを決め、ゲームハイの25得点に3リバウンド、5アシストで勝利に大きく貢献した。

 スロベニア出身のレフティーは、独特のタイミングと緩急をつけたドライブからフローターや絶妙なアーチを描いたレイアップを次々にヒット。熟練のスキルから繰り出すプルアップジャンパーや3ポイントも効果抜群で、エースのバトラーとともにセルティックスのディフェンス陣を崩す貴重な働きを見せている。
  しかし『The Athletic』の報道によると、ヒートは今季開幕前にドラギッチをダラス・マーベリックスへのトレードを画策していたそうだ。だがマブズは30歳を過ぎ、ヒザの手術を受けているベテランには興味を示さず、チーム残留となった。

 結果論ではあるものの、ヒートがドラギッチをチームに残したことがここにきて大きな効果をもたらしていると言える。

 今季からエリック・スポールストラ・ヘッドコーチの方針の下、ドラギッチはシックスマン(先発は新人のケンドリック・ナン)へと転向。ヒート加入6年目で新たな役割をこなすことになったが、レギュラーシーズンでは平均16.2点、3.2リバウンド、5.1アシストをあげ、2年ぶりのプレーオフ返り咲きをサポートした。

「このチームでの役割について、僕はまったく心配していない。それは自分たちがどのようにして仕事をするかでもないし、このチームが構築されるためのやり方でもない。コーチが僕に何を求めているのか。それこそが自分の仕事であり、それをこなすだけさ」

 9月14日に公開された『NBA.com』のセコウ・スミス記者とのインタビューで語ったドラギッチの言葉からは、スポールストラHCと良好な関係を築き、彼に全幅の信頼を置いていることがうかがえた。
  シックスマン転向についても、ドラギッチは「僕のキャリアにおいて、自分自身を助けることになると思ってね。それに、特にスポ(スポールストラ)は僕を正しいポジションへと配置してくれる。まったく心配してなかったし、新たな役割でプレーするのは簡単だったよ。今の僕はコートで楽しむことができている」と明かしていた。

 ちなみに、イースト決勝の第2戦が行なわれた9月17日はドラギッチにとって記念すべき日でもあった。今から3年前、2017年の同日にドラギッチはスロベニア代表としてルカ・ドンチッチ(現マブズ/当時はレアル・マドリーに在籍)らとともにセルビア代表との「FIBAユーロバスケット」の決勝を戦い、93−85で制して大会初優勝を果たしたのだ。
  その試合でドラギッチは35得点(第4クォーターに9得点)をマークし、大会MVPとベスト5に名を連ねた。本人は「あの時とまったく同じ感覚さ。最高の日になったよ」と、当時と比較しながら、NBAという世界最高の舞台で活躍していることを喜んでいた。

 ドラギッチにとってフェニックス・サンズ在籍時の2010年以来、10年ぶりとなったカンファレンス・ファイナルでは、ここまで両軍トップの平均27.0点と絶好調。今後セルティックスがマークを厳しくしてくることが予想されるが、心身ともに充実している今のドラギッチならば、老獪なスキルを駆使して得点を重ねていくだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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