全英オープンの頃とはまるで別人。渋野日向子がジュニア時代からこなしてきた「チャー、シュー、メーン」で生まれた余裕

全英オープンの頃とはまるで別人。渋野日向子がジュニア時代からこなしてきた「チャー、シュー、メーン」で生まれた余裕

2週連続で予選通過した『キャンピア ポートランドクラシック』2日目は、心の中で“チャー、シュー、メーン”と言いながら、36ホールを回っていた」という。(C)Getty Images

LPGAツアー『キャンピア ポートランドクラシック』2日目、前日に消化できなかった1ホールを加えて計19ホールを回った渋野日向子は、スコアを3つ伸ばし、通算4アンダーでフィニッシュ。前週の『ANAインスピレーション』に続き、2試合連続で予選通過を果たした。

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 結果だけを見れば渋野の第2ラウンドは4バーディ、1ボギーの69だが、ショットの内容的には60台半ばのスコアが出てもおかしくなかった。「今年に入ってショットの内容が一番よかったんじゃないか」と渋野自身が語るように、この日はドライバー、アイアンともにショットの切れ味が増していた。

 実際、フェアウェイを外したのは3回だけで、グリーンをとらえたのは18ホール中14ホールだった。しかも、グリーンを外した4ホールのうち2ホールはピンに近いカラー。もっといえば、パーオンした14ホールのうち、9ホールはピンそば3メートル以内につけていた。いくら今回のコースが6478ヤードと比較的短めだとはいえ、ピンが左右に振られていたことを考えれば、間違いなくショットの精度が高かったといえる。

『AIG女子オープン』の頃と比べると別人のようだし、前週よりも確実に安定感が増している。一体、渋野にどのような変化があったのだろうか。
 「先週から特に何かを変えたところはないですね。ただ、今週はリズムをすごい考えて打っていました。口には出しませんが、心の中で“チャー、シュー、メーン”と言いながら、36ホールを回っていたんです」と渋野。ティショットに限らず、セカンドショットでも“チャー、シュー、メーン”を唱えていたという。「(ショットのときに)他のことを考えず、リズムに集中できたのは、私の頭の中にも心の中にも余裕ができたのかもしれません」と続けた。やはり、『ANAインスピレーション』で今季初めて予選通過できたのは大きかったようだ。

 ただ、リズムを唱えれば誰でもショットの調子がよくなるわけではない。渋野の場合、ジュニア時代から青木翔コーチの下で数多くのドリルをこなしてきたが、その中の一つに “チャー、シュー、メーン”と唱えながら打つドリルがある。ボールから少し離れたところに立ち、そこから歩きながらボールに近づいていき、最後にボールを打つ練習法だ。具体的にいうと、“チャー”でフォロースルーの形をとりながら左足を前に出す。“シュー”で右足を前に出しながらクラブを上げる。そして、“メーン”で再び左足を前に出しながらクラブを下ろしてボールを打つ。
  渋野はプロになってからもこのドリルを続けており、実際に声を出しながらボールを打っていると青木コーチは語っていた。リズム感を養うと同時に、上体が目標方向に突っ込むことも防げるという。そういう下地があるからこそ、“チャー、シュー、メーン”と唱えたことで、好調時のショットの感覚が戻ってきたのではないか。
  どちらにせよ、ようやく渋野の戦闘態勢が整ってきたことは間違いない。「最終日は今日以上のスコアを出していかないと上位争いはできないと思います。あと1日にしかありませんが、伸ばせるところまで伸ばせたらいいですね」と、シーズンが開幕してから初めて前向きなコメントを発した渋野。それだけ今の状態に手応えを感じているのだろう。あとはパッティング次第だが、バーディパットが入らなかったとはいえ、長めのパーパットは2回ほど沈めていた。昨日に続いて3パットはしていないだけに、好転する可能性は十分ある。とりあえず、上位を目指すよりもせっかくつかんだショットへの自信を確信に変えることが最優先課題ではないだろうか。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
 

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