「手応えは完ぺきでした」古江彩佳の粘りが生きた“プロ初勝利への一打“。安定感と修正力はすでに「いいお手本」だ

「手応えは完ぺきでした」古江彩佳の粘りが生きた“プロ初勝利への一打“。安定感と修正力はすでに「いいお手本」だ

プロ初勝利を挙げた古江。プレーオフでは「攻めることだけを考えよう」と強気の姿勢で激戦を制した。(C)Getty Images

国内女子ツアーの『デサントレディース東海クラシック』最終日、優勝争いは古江彩佳と東浩子の一騎打ちとなった。首位タイでスタートしたこの日、ともに4バーディ、ノーボギーの68をマークして通算15アンダーでホールアウト。プレーオフ1ホール目で古江がバーディを奪い、ツアー2勝目、プロとしては初勝利を挙げた。

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 昨年の『富士通レディース』で史上7人目のアマチュア優勝を飾った実力は、やはりフロックではなかった。不利な状況でも驚異的な粘りを見せたのだ。

 後半のインコースに入り、東が積極的にピンを攻めるのとは対照的に、古江のショットは思うようにピンに絡まない。「緊張して体が思うように動かなかった」からだ。「ピンを攻めなければいけない気持ちとスコアを守らなければいけない気持ちの間にいたことで、体が固まったんだと思います」というように、最終組には1打でもスコアを落とせば負けてしまうという緊張感が漂っていた。

 そんな状況で古江は必死にパーを拾い続け、17番を終えても東からピタリと離れない。ようやく最終18番パー4では、難しい下りの18メートルを沈めてバーディを奪う。結果論だが、仮にこのパットを決めていなければ、東も7メートルのバーディパットを沈めただけに1打差で敗れていた。
  その粘りがプレーオフに生きる。「もうスコアのことは気にしなくていい。攻めることだけを考えよう」と決めた1ホール目、最終18番ホールが舞台となったが、本戦ではフェアウェイを狙ったティショットが右サイドのラフにつかまっていた。その反省を生かし、今度はしっかりとフェアウェイにボールを運ぶ。

 圧巻だったのは、そこから放ったセカンドショットだ。ピンまで残り114ヤード、ピッチングウェッジで放ったボールはピンに向かって真っ直ぐ飛んで行く。「手応えは完ぺきでしたが、アゲンストがどのように影響するのが心配でした」という古江の不安を一掃するかのように、ボールはピンそばに落ちるとカップの右30センチ弱のところに止まる。東が7メートルのバーディパットを外して、先にパーでホールアウトしていたため、ウイニングパットを沈めた古江が激戦を制した。
  01年生まれで新世紀世代と呼ばれる笹生優花が2勝を挙げ、黄金世代の小祝さくらも優勝。古江が勝ったことで、ようやくプラチナ世代の存在感をアピールできた。しかし、古江自身には、そういった世代間同士の対抗心や個人的な競争心には一切興味がないという。

「ゴルフは自分が頑張るだけですからね。周りのことは考えず、常に自分自身の戦いだと思っています」

 振り返ってみれば、アマチュア時代から同世代に手強いライバルがそろっていた。いちいち相手のことを気にしていたら、自分のゴルフを見失っていたかもしれない。目の前の一打に集中し続けてきたからこそ、ナショナルチームのメンバーとしても活躍し、世代のトップランナーとしての今があるのだろう。
  今大会を終えて、賞金ランキングは6位に浮上した。ちなみに、平均ストロークは3位で、パーセーブ率とリカバリー率では1位。それだけゴルフに安定感がある証拠だ。実際、今大会では3日間54ホールで一つもボギーを叩かなかった。

 その安定感が海外でも通用するのか期待が高まるが、今どきの若手には珍しく、海外ツアーで戦う気持ちは今のところない。それよりも何年も続けて賞金女王の座につくことが目標だという。さらに、小学校時代から憧れる宮里藍のように「ジュニアゴルファーから応援されるようなゴルファーになりたいです」と続ける。ドライバーで飛距離を稼ぐといった派手さはないが、正確なショットと安定感のあるゴルフは、今でも十分ジュニアゴルファーにとっていいお手本であることは間違いない。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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