“我慢のゴルフ”が形になってきた渋野日向子が、米ツアーで上位争いをするための条件は?

“我慢のゴルフ”が形になってきた渋野日向子が、米ツアーで上位争いをするための条件は?

2週後に出場予定の『ショップライトLPGAクラシック』では、芝と時差の問題をクリアしたい。(C)Getty Images

LPGAツアー『キャンピア ポートランドクラシック』最終日、4バーディ、1ダブルボギーの70で回った渋野日向子は、通算6アンダーの24位タイで3日間を終えた。前日は心の中で“チャー、シュー、メーン”といいながらスイングしたことで、ドライバー、アイアンともにショットの精度が上がったと語っていた渋野。この日もそのチャーシューメン打法を実践したが、「思うように自分の体がいうことを聞かなかった」と、前日ほどの効果は得られなかったようだ。

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 ただ、リズムよく打てなかったといいながらも「ドライバーの飛距離は出ていたし、アイアンも左右にはブレましたが縦の距離は合っていたと思います」とまずまずの手応えを感じることはできた。さらに、この日は前日入らなかったパッティングがピンチを救う。1ピン前後のパーパットを残した場面が6回あったものの、それを全て沈めたのだ。「同じような距離のバーディパットも決められたらよかったと思いますが、ボギーを打たないゴルフをできたことが嬉しかったです」と喜ぶ。
  昨年はメジャーの『AIG全英女子オープン』を制し、国内ツアーでも4勝を挙げて賞金ランキング2位に入った。シーズンオフの調整も順調にいき、万全の状態で今季の開幕を迎えようとしたところ、新型コロナの影響で実戦の場を失った。その間に、自分でも原因が分からないほどの不調に陥り、3試合連続で予選落ちを喫した。

 そのどん底から2試合連続で最終日のプレーを経験したことで、「少しずつですが、昨年自分がどういう感じでゴルフをしていたのかを思い出せてきたように感じます」という。前週の『ANAインスピレーション』では最終日に78とスコアを大きく崩したが、今回は大きく伸ばせなかったものの、アンダーパーで回ることができた。ダブルボギーを叩いた3番パー4で右へ曲げたティショットも、4番ホール以降は修正できた。6番パー4では左足下がりのラフからのアプローチを、15番パー4ではバンカーショットをそれぞれ成功させてパーセーブにつなげた。パッティングも含めて、英国の2試合ではできなかった“我慢のゴルフ”が米国では形となって表れてきたという。
  今季5試合を終えたところで、ようやく本来のゴルフを取り戻しつつある渋野だが、果たして2週後に出場予定の『ショップライトLPGAクラシック』で上位に入ることは可能だろうか。その翌週にはメジャーである『KPMG全米女子プロゴルフ選手権』が控えているだけに、渋野自身も弾みをつけたいが、上位に入るためはクリアしなければいけないポイントがいくつかある。

 まず、芝の問題だ。『ANAインスピレーション』と『キャンピア ポートランドクラシック』は米国西部で開催されたが、次の2戦は東部で開催されるため、芝質が大きく異なる。グリーン上も含めて、いち早く対応できるように準備することが大切になるのは間違いない。また、時差の問題もある。西海岸と東海岸では3時間違うだけに、時差ボケを解消するためにも、早めに現地入りするべきだろう。
  ただ、『ショップライトLPGAクラシック』を翌週に向けての経験の場として割り切れば、2つの問題は解消する。そのためにもしっかりと予選通過して4日間戦っておきたいところ。あとは、渋野が持つ爆発力を待つだけだ。今大会でも上位に入った選手は最終日に大きくスコアを伸ばした選手ばかりだった。渋野が2つ伸ばしたとはいえ、順位は3つ落としている。どちらにせよ、渋野の調子が上がってきているだけに、『KPMG全米女子プロゴルフ選手権』まで結果が右肩上がりでいけることを期待するしかない。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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