“史上最高の欧州出身選手”に名乗りを上げるヨキッチ。レジェンドのノビツキーが自身との比較論に見せた意外な反応とは?

“史上最高の欧州出身選手”に名乗りを上げるヨキッチ。レジェンドのノビツキーが自身との比較論に見せた意外な反応とは?

今やリーグ最高のビッグマンへと上り詰めたヨキッチ(左)。正確無比なシュート力はレジェンドのノビツキー(右)と比較する声も。(C)Getty Images

2009年のプレーオフ、デンバー・ナゲッツはカーメロ・アンソニー(現ポートランド・トレイルブレイザーズ)とチャンシー・ビラップスを中心とした布陣でカンファレンス・ファイナルへと進出。だが、コビー・ブライアント率いるロサンゼルス・レイカーズの前に2勝4敗で敗れて涙を呑んだ。

 あれから11年が経過した2020年。ナゲッツは1回戦、カンファレンス準決勝をいずれも第7戦までもつれる大激戦の末に勝ち上がり、再びレイカーズとNBAファイナルの切符をかけて競い合っている。

 現在のチームの根幹となっているのが、入団5年目のニコラ・ヨキッチだ。セルビア出身のビッグマンは、2014年のドラフト2巡目41位でナゲッツから指名されると、徐々に頭角を現わし、今ではリーグ有数の実力者へと成長を遂げた。

 公称213cm・129kgの体躯を誇る25歳は、得点・リバウンド・アシストと3拍子揃ったセンターとしての地位を確立しており、昨年から2年連続でオールスター選出、オールNBAチームにも2シーズン連続で名を連ねている。
  自身2度目となったプレーオフではさらに存在感を増し、レイカーズとの第4戦終了時点で平均24.7点、10.0リバウンド、5.8アシストと大車輪の活躍を披露。レイカーズが誇るアンソニー・デイビス、ドワイト・ハワード、ジャベール・マギーといった大柄かつ屈強なビッグマンたちを相手に堂々と渡り合っている。

 3ポイントラインから難なくショットを沈め、パサーとしてもチームメイトたちの得点機会を演出。さらに、今年のプレーオフではミドルレンジからフェイダウェイ気味に放つワンフットジャンパーでナゲッツの窮地を何度も救っている。ダブルチームを仕掛けられても冷静に判断し、矢のようなパスを繰り出すなど、相手チームの脅威になっていることは間違いない。

 そんなヨキッチに対して、『ESPN』が9月24日(日本時間25日)に報じた比較対象は、ダラス・マーベリックス一筋21シーズンをプレーしたレジェンド、ダーク・ノビツキーだった。
  ドイツ出身のノビツキーは、213cm・111kgというサイズに加え、コート上のどこからでも得点を奪えるシュート力を武器に通算3万1560点を積み上げ、NBAの歴史に名を刻んだ。これは外国籍出身選手として歴代最多の数字であり、リーグ歴代6位の大記録だ。

 そのノビツキーを稀代のスコアラーへと昇華させた必殺技が、ヨキッチも多用するワンフットジャンパーだった。片足を曲げてマッチアップ相手との間にスペースを作り出し、もう片方の足でフェイダウェイ気味にジャンプして放つジャンパーは、ほぼブロック不可能。この技を武器にマブズに数多くの勝利をもたらし、2011年にはフランチャイズ史上初優勝に導いている。

 現在、引退後の自由な生活を満喫しているノビツキーは、自身がヨキッチと比較されたことについて“意外な”リアクションを見せた。

「ヤバいな。それはお世辞ってやつだよ。私にも彼のようなスキルセットがあればと思うね。彼のパススキルは本当にすごい。もうジョークみたいなものだ。でも残念なことに、私は常に点を取ることに集中していたから、パスすることはなかった」
  本人が語るように、ノビツキーはスコアラーとしてキャリア平均20.7点を残した一方で、平均アシスト数は2.4本と平凡なもの。キャリアハイの数字を残した2007−08シーズンでも平均3.5本と、アシストの面ではヨキッチと比較にならない。

 ノビツキーはチームの絶対的なエースとして得点を稼ぐのが何よりの仕事であり、司令塔的な役割もこなすヨキッチとはタイプが異なる。それでも、多彩なシュート力を誇る外国籍ビッグマンとして、2人は今後も比較され続けていくだろう。その上でヨキッチが“史上最高の外国籍選手”という評価を得るためには、ノビツキーのようにシーズンMVPを獲得し、チームを優勝に導くことが必須となる。

 24日に行なわれたレイカーズとのシリーズ第4戦で、ナゲッツは108−114で惜敗。3カード連続で1勝3敗と窮地に立たされたナゲッツは、再び奇跡を起こすことができるのか。そのカギを握るのは、間違いなくヨキッチだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!

関連記事(外部サイト)