今季最高の66をマークした渋野日向子が「再認識」したショートゲームの大切さ。“手段を選ばないバーディ“が奪えるようになれば…

今季最高の66をマークした渋野日向子が「再認識」したショートゲームの大切さ。“手段を選ばないバーディ“が奪えるようになれば…

パッティングが冴えわたった渋野は、ショートゲームで7打伸ばした。(C)Getty Images

国内女子ツアーの『大王製紙エリエールレディスオープン』最終日、渋野日向子が6バーディ、1ボギーで回り、ついに今季自己最高の66をマークした。トータルスコアも8アンダーまで伸ばし、やはり今季自己最高となる単独5位でフィニッシュ。2週前の『TOTOジャパンクラシック』を終えたときには100点満点中5点だった自己採点も「60点ぐらいですかね(笑)」と一気に上がってきた。

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 渋野にしてみれば、新しい境地を開くきっかけになったラウンドではないだろうか。6つのバーディを奪ったとはいえ、この日のショットに手応えを感じていたわけではなかった。「ドライバーショットは自分の予想とは全然違う方向に飛んでいったし、アイアンショットは右に飛ぶだけでなく、左へ引っかけることも多かったです」と振り返る。確かに、ピンそばにつけたのは5番パー4で第2打をピンそば30センチにつけた6番アイアンでのショットだけだった。そんな状態を救ったのは、前日から上昇傾向にあるアプローチとパッティングだ。
  前日は後半のハーフで11パットだったが、この日も前半はパターが冴え渡る。1番パー4で3メートルのバーディパットを沈めると、2、3番を寄せワンのパーで切り抜け、6番パー4では12メートル、9番パー5では15メートルのバーディパットを沈めて見せた。またしても11パットでハーフを終えたのだ。「パッティングは自分が思ったところに打ち出せる回数が増えていますし、ボールの転がりも今年一番よかったと思います」と、不安要素が消え、自信を取り戻しつつあることを強調した。

 インに入っても11番パー5で2メートル、17番パー5で3メートルのバーディパットを沈めた渋野。トータルでは28パットと前日よりは2打多いがそれでも今季2番目に少ないパット数だった。ショットの調子が悪かったとはいえ、パーオン率を見れば前日の61・11%から77・78%に上げ、この4日間では最もいい数字をマークした。特筆したいのは、3つあるパー5全てでバーディを奪ったことであり、今季はどの試合でも「パー5でしっかりバーディを奪いたい」と語っていたが、ようやくイメージどおりのゴルフができたともいえる。
  今季の渋野は、どこかきれいなゴルフをしようとしているように見えた。ティショットをフェアウェイに落とし、第2打をピンそばにつけてバーディを奪う。確かに理想的なゴルフではあるが、それを18ホール続けることはほぼ不可能に近い。むしろ、フェアウェイを外した時、グリーンをとらえ切れなかった時に、いかにバーディを奪うか、ボギーを打たないかがスコアメイクのカギを握る。トッププレーヤーほどきれいなバーディを奪う一方で、手段を選ばないバーディを奪っている。理想を求めるのは悪くはないが、それによってゴルフに息苦しさを感じては意味がないだろう。
  決勝ラウンドの渋野はショットに苦しみながらも、ショートゲームでスコアを7打伸ばした。「アプローチとパッティングの大切さを再認識できました」と語っていたが、拾いまくるゴルフにも価値を見出せたとしたら今後に向けて明るい兆しが見えてくるはずだ。

 幸いにも国内ツアーでは最終戦が残っており、全米女子オープンも控えている。どちらも難コースだけにイメージどおりのゴルフを展開するのは難しいだろう。しかし、ショットが悪くても悪いなりにスコアを伸ばせるんだと思えば、ミスをしても前を向くことはできる。この試合での経験を活かす意味でも残り2試合の戦いぶりに注目したい。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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