【有馬記念】ファン投票1位のクロノジェネシスは万全!牡馬の意地をかけたフィエールマン、 ラストランのラッキーライラックが迫る

【有馬記念】ファン投票1位のクロノジェネシスは万全!牡馬の意地をかけたフィエールマン、 ラストランのラッキーライラックが迫る

宝塚記念で圧巻の勝利を飾ったクロノジェネシス。武豊騎手をして「(前に)バケモノがいました」と言わしめた。写真:産経新聞社

いよいよ2020年の中央競馬を締めくくる大一番、有馬記念(中山、GT・芝2500m)が目前に迫ってきた。ジャパンカップの劇的な勝利を最後に”女王”アーモンドアイが去ったGTステージで頂点に立つのはどの馬か。2回に分けて出走馬の勢力図を分析していきたい。まず第1回は『主役編』として、ファン投票上位、人気の中心となるであろう3頭についてお届けする。

 今回で65回目を迎えるグランプリレースのファン投票において、栄えある1位に輝いたのはクロノジェネシス(牝4歳/栗東・斉藤崇史厩舎)だった。

 昨年の秋華賞馬が今年残した戦績は「素晴らしい」というひと言に尽きる。牡馬との初対戦となった今季緒戦の京都記念(GU)は2着に2馬身半を付ける圧勝。続く大阪杯(GT)こそ、ほぼ手中にしかけた栄冠をすんでのところでラッキーライラックに奪われたが、その差はわずかに「クビ」。そして迎えた宝塚記念(GT)が圧巻だった。4コーナーで先頭に並びかけ、絶好の手応えで直線へ向くと、あとはワンサイドゲーム。追うキセキをどんどん突き放し、ゴールではなんと6馬身もの差を付けていた。キセキの武豊騎手をして、「(前に)バケモノがいました」と言わしめるほどの強さだった。
  夏場を休養に充て、GTの天皇賞(秋)へは”ぶっつけ”での参戦。スタート後、他馬に進路を塞がれる不利がありながら、”絶対女王”アーモンドアイを「1/2+クビ」差の3着まで際どく追い詰め、あらためてその能力が牡牝を問わず現役屈指のものであることを証明した。

 斉藤崇史調教師が言うように、馬場状態が重かろうが速かろうが、コースがどこであろうが、いつも全力走り切って結果を出してきたのがクロノジェネシスという馬である。稍重の宝塚記念の大勝で”タフな馬場が得意”というイメージが強いが、天皇賞(秋)で上がり3ハロン32秒8という切れ味を見せたことで固定観念を振り払って見せた。

 レース間隔を空けたほうが良績の多いクロノジェネシスにとって、天皇賞(秋)から2か月弱を休養・調整に充てたのも好材料。今回が中山への初参戦となるが、脚質に自在性がある彼女なら、それが不安材料にはならないだろう。首位争いは必至と見る。
  芝の牡牝混合GTで牝馬の大攻勢が際立つ現況において、牡馬の大将格として気を吐いているフィエールマン(牡5歳/美浦・手塚貴久厩舎)はファン投票4位。今年はまだ2戦しかしていないが、天皇賞(春)は激闘を制して2連覇を達成。春秋制覇を目指した天皇賞(秋)では、彼にとっては不当とも思える5番人気という低評価を覆し、上がり最速(32秒7)という驚異的な末脚を繰り出して、アーモンドアイを半馬身差に追い詰めた。それも、クロノジェネシスと同様、レース序盤に不利を受けてのことであり、改めてGT3勝の底力を見せつけることになった。

 昨年の有馬記念は終いの伸びを欠いて4着に敗れているが、これは凱旋門賞遠征からの帰国初戦という負担が影響した公算が大きい。23日に行われた最終追い切りのあと、手塚貴久調教師が「状態は去年より格段にいい。申し分ない出来」とコメントしているように、前回のような不安は見られない。

 天皇賞(秋)の2000mから2500mに距離が延びるのは、3000m以上のGTを3勝している彼にとっては間違いなく有利だし、鞍上にリーディングを独走するクリストフ・ルメール騎手が戻ってくるのもプラス材料。こちらも上位争いするのは間違いないだろう。
  ファン投票でクロノジェネシスに次ぐ2位にランクされたのは、このレースがラストランとなるGT3勝のラッキーライラック(牝5歳/栗東・松永幹夫厩舎)。アーモンドアイと同期生だったたけに、3歳時には大舞台で頂点に立つことができない無念を味わった。

 しかしこのシーズンの最終戦となったエリザベス女王杯(G)では、逃げ込みをはかるクロコスミアをきっちり差して、手から喉が出るほど熱望したGT初制覇を達成。今年は中山記念の3着を経て臨んだ大阪杯(G1)でクロノジェネシスを際どく降し、初の牡牝混合GT制覇を成し遂げて、名実ともにトップホースの仲間入りを果たした。下半期も、8月末の札幌記念ではノームコアの3着をステップとしてエリザベス女王杯(GT)では、またもクロコスミアの逃げを捉えて同レース2連覇を達成している。

 以前は「最後は怪我なく無事で」という意識が強く、調整でぎりぎりまで攻めなかったためか、引退レースで凡走する馬がまま見られた。しかし先頃のジャパンカップでのアーモンドアイや、昨年の有馬記念のリスグラシューの例でも分かるように、状態をびしっと仕上げて勝負をかけてくるのが当為となっている。22日の最終追い切り後、松永幹夫調教師は「前走を使って完全に仕上がってきた。いい感じです」と胸を張る。クロノジェネシスとの直接対決は2勝1敗。最後となる手合わせでライバルを降し、自ら引退の花道を飾る算段はできている。
(第2回目『伏兵編』は土曜日にリリース予定)

文●三好達彦

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