クリッパーズのルーHCがコビーとの思い出を語る「『お前抜きに優勝できたかわからない』と言われて…」

クリッパーズのルーHCがコビーとの思い出を語る「『お前抜きに優勝できたかわからない』と言われて…」

コビー(左)との思い出を語ったルーHC(右)。2001年の優勝時にかけられた言葉が励みになったという。(C)Getty Images

2020年1月26日(日本時間27日、日付は以下同)。この日、コビー・ブライアントがヘリコプター墜落事故により帰らぬ人となったことで、バスケットボール界だけでなく、世界中が悲しみに暮れた。

 ロサンゼルス・レイカーズ一筋、20シーズンを戦い抜いた稀代のスーパースターは、5度の優勝に18度のオールスター選出、15度のオールNBAチーム選出、12度のオールディフェンシブチーム選出など、数々の輝かしい実績を残してきた紛れもないレジェンドだ。通算得点も3万3643点、NBA歴代4位にランクしている。

 あれから約1年が経過し、レイカーズでコビーとともに2度の優勝を勝ち取ったタロン・ルーがこの件について回想。今季からロサンゼルス・クリッパーズでヘッドコーチ(HC)を務めるルーは、23日に『ESPN』へ率直な思いを明かしている。
 「(コビーの死を)過去のものにしようとしている。でも彼が亡くなったことを受け止めることが本当にできないんだ。忘れようとはしているんだけどね。私にとってはタフなことであり、特に彼は自分にとって仲の良かったひとりだから……」

 ルーは1998年にドラフト1巡目23位でデンバー・ナゲッツから指名を受け、その日のうちにレイカーズへトレードされた。ケガに苦しんだこともあり、レイカーズに所属したのは3シーズン、出場もわずか61試合のみ。コビーと毎試合プレーしていたわけではないものの、2000、01年と2度のリーグ制覇を経験している。

「彼は素晴らしい男であり、最高の人間だった。オフィスに来た人たちは『コビーと一緒にプレーしてどうだった?』と聞いてくる。今でもそういう質問をしたくなるものなんだよ。だから彼はこれからも生き続けていくんだ」

 コビーへの思いをそう口にしたルーHC。現代はテレビ番組だけでなく、SNSを通じて世界中にコビーのハイライトシーンが拡散されており、多くの人たちがコビーの雄姿を目にする機会がある。

 だがルーHCは「今でさえ、タフなことなんだ。彼の映像や過去のゲーム、コマーシャルを観るのは、私にとっては今でも辛い」と苦しい胸の内を吐露している。
  ルーのキャリアについて、おそらく人々の記憶に最も残っているのは2001年のNBAファイナルだろう。11連勝で頂上決戦まで勝ち上がってきたレイカーズは、アレン・アイバーソン率いるフィラデルフィア・セブンティシクサーズと激突し、4勝1敗でシリーズを制して2連覇を達成した。

「コビーが言ったんだ。『いいか。俺たちはお前抜きにこのシリーズを制することができていたのかわからない』とね。で、『なぜなら、俺はアイバーソンをガードすることに疲れ果てていたんだ。お前は彼に対して本当にすごいプレッシャーをかけていた。だから今回のチャンピオンシップ獲得において、お前はものすごく大きな働きをしてくれた』とも言ってくれた。彼が大げさに言っていたかどうかは関係ない。あの言葉は本当にありがたかったよ」

 そのシリーズで、ルーは“仮想アイバーソン”としてチーム練習に参加。実際のファイナルでもその年のシーズンMVPを相手に、粘り強いディフェンスと思い切りのいい3ポイントで応戦し、チャンピオンチームの一員として輝きを放っていた。シリーズ平均14.7分の出場で3.6点、1.4アシスト、1.4スティールという数字以上に、ロールプレーヤーとして自らの役割を忠実にこなしていたのだ。
  そして現在指揮を執るクリッパーズには、コビーをアイドルとして育ってきたカワイ・レナードとポール・ジョージがいる。カリフォルニア州で生まれ、幼少期からレイカーズの試合を観てきただけに、両選手がコビーに憧れてバスケットボールに打ち込み、NBA入りしたことは言うまでもない。

「あの2人はいつも知りたがっているよ。コビーがどうだったのか、何をしていたのか、どんな練習をしていたのか、このことについてコビーならどうリアクションするか、といったことをね。(コビーについて)話すのは時々タフなことではあるけど、彼らが選手、人間、ビジネスマンとしてコビーがやっていたことを尊敬していることが見てとれるから嬉しいね」とルーHC。

 現役時代にコビーとともにプレーし、チャンピオンシップを勝ち取った経験は、ルーにとって今でもかけがえのない財産となっているのだろう。コミュニケーション能力に長けた“プレーヤーズコーチ”と称されるルーだが、現役時代に11シーズンをプレーしてきた実績も見逃してはならない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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