羽生結弦vsネイサン・チェン、世界選手権ではどちらが勝つ?日米両王者を最新エレメンツで比較すると…

羽生結弦vsネイサン・チェン、世界選手権ではどちらが勝つ?日米両王者を最新エレメンツで比較すると…

国内選手権を制した羽生(左)とチェン(右)。世界選手権は、3月にスウェーデンでの開催が予定されている。写真:羽生=森田直樹/アフロスポーツ、チェン=Getty Images

ともに至宝。ともに天賦の才を持ち、なおかつ努力を惜しまない2人。男子フィギュアスケート界を牽引する羽生結弦とネイサン・チェンが、今シーズンのそれぞれのナショナルチャンピオンシップを終えた。日米両王者の最新エレメンツはどのようなものだったか。

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 2020年12月25、26日に開催された全日本選手権。15年のNHK杯で史上初の300点超えを記録した思い出の地・長野ビッグハットで演じられた羽生のショートプログラム(SP)は、4回転サルコージャンプから始まった。続くコンビネーションジャンプは4回転トーループ+3回転トーループ。スピンにまさかの「0点」をつけられたが、得意の3回転アクセルを華麗に決め、103.53点で首位に立った。

 「天と地と」の曲に乗ったフリーでは戦国時代無敗の“軍神”であり、敵に塩を送った“義の武将”でもある上杉謙信の世界観を存分に見せつけ、フリー215.83点、合計319.36点で5年ぶり5度目の優勝を飾った。
  チェンは1月16、17日にネバダ州ラスベガスで開催された全米選手権で5連覇を果たした。ルッツ、フリップ、サルコー、トーループの4種類の4回転ジャンプを駆使。SPでは破格の113.92点を出して首位に立ち、フリーでは冒頭の4回転ルッツの着氷が乱れて両手をつく珍しいミスがあったが、その後きっちりと立て直して208.36点。2位のヴィンセント・ゾウに30点以上の大差をつける合計322.28点をマークしている。

 国内選手権の点はISU非公認のため一概に比較できない。そこで両者のエレメンツを比べてみた。

◆羽生 SPのエレメンツと基礎点(×は演技後半で1.1倍)
1:4S        9.70
2:4T+3T     13.70
3:FCSp3     2.80
4:3A        8.80×
5:CSSp      0
6:StSq4     3.90
7:CCoSp4     3.50
合計          42.40

◆羽生 フリーのエレメンツと基礎点
1:4Lo       10.50
2:4S        9.70
3:3A+2T     9.30
4:3Lo       4.90
5:FCCoSp4    3.50
6:StSp3     3.30
7:4T+3T     15.07×
8:4T+1Eu+3S 15.73×
9:3A        8.80×
10:ChSp4     3.00
11:FCSSp4    3.00
12:CCoSp3V    2.25
合計          89.05

 今回、羽生はSPのスピンが異例の「0点」とされた。大会後に発表された理由は、「足換え後に2回転連続した姿勢が成立していないから」ということだった。仮にこのエレメンツでレベル4を取っていれば基礎点は3.00。合計45.40点だった。
 ◆チェン SPのエレメンツと基礎点
1:4Lz       11.50
2:3A        8.00
3:CSSp4     3.00
4:FCSp4     3.20
5:4F+3T     16.72×
6:StSq4     3.90
7:CCoSp4     3.50
合計          49.82

◆チェン フリーのエレメンツと基礎点
1:4Lz       11. 50
2:4F+3T     15.20
3:3Lz       5.90
4:4S        9.70
5:CCSp4     3.20
6:FCCoSp3V   2.25
7:StSq4     3.90
8:4T+1Eu+3F 16.83×
9:4T+3T     15.07×
10:3A        8.80×
11:ChSq1     3.00
12:CCoSp2V    1.88
合計          97.23

 このようにエレメンツの基礎点ではチェンがリードしている。4回転ジャンプに長けているチェンの演技の醍醐味だ。しかし、演技構成点に目を向けると羽生の強さが光る。あくまで非公認だが、全日本選手権の羽生と全米選手権のチェンの演技構成点を比較すると、

 羽生のSP      47.32
 羽生のフリー     97.22
 羽生の演技構成点の合計 144.54

 チェンのSP     47.70
 チェンのフリー    94.00
 チェンの演技構成点の合計141.00

となるのだ。 
  五輪2連覇中の羽生と、平昌五輪以降に無敗を続けているチェンが最後に同じ舞台に立ったのは、19年12月のグランプリファイナル。2人は過去に8度、同じ大会に出場しており、4勝4敗の五分という成績だ。

 羽生もチェンも、コロナ禍でイレギュラーな状況が続いている今季はさまざまな困難があり、ともに国内選手権では取りこぼしがあった。一方、北京五輪に向けてさらに高難度のジャンプやコンボをポケットに隠し持っていることも2人の共通点である。

 あらゆる要素に秀でている2人は、互いに互いを認め合う間柄でもある。3月にスウェーデンで予定されている世界選手権が無事に開催されれば、1年4か月ぶりに両雄が覇を競うことになる。それぞれの持ち味がぶつかりあう氷上の競演に期待が膨らむ。

文●矢内由美子

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