レイカーズファンを歓喜に誘った全盛期コビーの劇的ブザービーター【コビー・ブライアント名勝負:Part.6】〈DUNKSHOOT〉

レイカーズファンを歓喜に誘った全盛期コビーの劇的ブザービーター【コビー・ブライアント名勝負:Part.6】〈DUNKSHOOT〉

レイカーズファンが固唾を飲んで見守るなか、コビーは躊躇なくシュートを放ち、ブザーと同時にボールはネットを通過。その瞬間、会場は蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。(C)Getty Images

2020年1月26日、世界中が悲しみに暮れたロサンゼルス・レイカーズのレジェンド、コビー・ブライアントの事故死。あれから約1年……。コビーの肉体は滅びたが、その勇姿はファンの心に永遠に刻み付けられている。ここでは彼の20年の激闘譜のなかから、後世に語り継ぐべき名勝負を紹介する。

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■2006年4月30日 vsフェニックス・サンズ(プレーオフ1回戦第4戦)

 2年ぶりにプレーオフの舞台に帰ってきたコビーは、このシーズンにキャリアハイの平均35.4点を記録し、スコアリングという点では絶頂期を迎えていた。対するサンズは、前年にMVPに輝いた司令塔のスティーブ・ナッシュや、万能フォワードのショーン・マリオンを中心にウエスト3位の54勝をあげた優勝候補の一角。ところが、シリーズは3試合を終えて第7シードのレイカーズ(45勝 37敗)が2勝1敗とリード。コビーは平均22.7点と“控えめ”だったが、7.0リバウンド、5.7アシストとチームプレーヤーとして着実に勝利をもたらしていた。
  シリーズ突破に王手をかけたいレイカーズ、何とかして戦績を五分に戻したいサンズという、両チームの思惑が交錯するなかで行なわれた第4戦は、序盤からサンズが主導権を握る。コビーには主にラジャ・ベルとリアンドロ・バルボウサがマッチアップ。リーグ最高のスコアラーに対してダブルチームを仕掛け、7つのターンオーバーを誘発した。

 サンズは第4クォーター終盤にティム・トーマスが3ポイント、ボリス・ディーオウがフリースローを1本沈めて、残り12.6秒で5点のリードを奪った。レイカーズはタイムアウト明けにスマッシュ・パーカーの3ポイントで2点差に詰め寄り、直後のディフェンスではパーカーがナッシュから値千金のスティール。ディビアン・ジョージのパスを受けたコビーは、残り0.7秒にリング下へ踏み込んでから高い弧を描くレイアップを決め、オーバータイムに持ち込んだ。
  だが延長でも主導権を取ったのはサンズ。レイカーズは残り1分16秒にラマー ・オドムの3ポイントプレーで同点とするも、残り49.8秒にナッシュが3ポイントを放り込み、サンズが再び抜け出す。しかし諦めないレイカーズはコビーが残り11.7秒にレイアップを決めて1点差とすると、ナッシュに対してルーク・ウォルトンが好ディフェンスを見せ、残り6.1秒でジャンプボールに。

 ウォルトンがティップしたボールを手にしたコビーは、センターコート左側から5回ドリブルして右側へ入り込む。そしてディーオウとベル越しにプルアップジャンパーを放ち、終了のブザーと同時にリングに突き刺したのだ。
  劇的な勝利に会場は大盛り上がり。チームメイトが駆け寄るなか、コビーは左の拳を強く握り、誇らしげに振る舞うと、勝利の雄叫びを上げてファンと勝利を分かち合った。キャリアを通して数多くのクラッチシュートを沈めてきたコビーだが、この試合で見せたショットは格別だったと言っていい。

 レイカーズファンを歓喜へと誘った決勝弾は、リングへ綺麗に吸い込まれるというよりも、コビーの勝利への強い思い、そして絶対に逆転してやるんだという執念が合わさり、ボールが自らの意志によってリングをくぐり抜けたような芸術的な一発だった。

文●秋山裕之(フリーライター)

※ダンクシュート『コビー・ブライアント追悼号』原稿に加筆・修正

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