「深夜3時からワークアウト」「ミスした仲間を20分凝視」コビー・ブライアントの狂気的エピソード〈DUNKSHOOT〉

「深夜3時からワークアウト」「ミスした仲間を20分凝視」コビー・ブライアントの狂気的エピソード〈DUNKSHOOT〉

一般人には理解できないほどの練習量で頂点を極めたコビー。そのこだわりは“狂気”にも似たものだった。(C)Getty Images

コビー・ブライアントは決して天才などではなかった。彼を超一流のプレーヤーたらしめたもの、それは常人には到底不可能な、尋常ならざる練習量にほかならない。コビーの狂気にも似た練習へのこだわりを、周囲の証言とエピソードで浮き彫りにする。

■狂気とも言える熱心さで練習に取り組んだコビー

 現役時代のコビー・ブライアントは、人一倍練習熱心で、凄まじいまでのワークエシック(労働意欲)を持ち、何事にも徹底的にこだわる、そんな選手だった。だからこそ、歴代屈指の技術と強靭なメンタルを会得し、頂点を極めることができたのだろう。

 だが、彼が残した信じがたい逸話の数々は、「練習熱心」や「こだわり」などという生易しい表現の域をはるかに超越しており、その内容は完全に常軌を逸している。我々一般人には到底理解できないレベルだ。

 今回、これまで現地メディアに掲載された数多くの逸話の中から、興味深いものをいくつか拾い集めてみることにした。コビーの異常なまでの練習への取り組みとこだわり、そして突き抜け具合は、ただただ圧巻の一言である。
 ●ローワー・メリオン高校時代のコーチ、グレッグ・ダウナーの証言
「彼はこれまで見たなかで、最もハードに練習する選手だった。週に6回か7回はウェイトルームでリフティングをしていた。私は生徒たちに計画表を渡すが、何人かは従い、何人かは従わない。コビーはそれ以上にやる。

 学校が始まるのは午前7時30分。ある日大雪が降って、学校は9時30分スタートの“レイトオープナー”になった。だがコビーには関係なかった。彼は6時に来て練習を始めてたよ」(L.A. Times, 2001)

●高校時代、コビーと一緒のチームで遊びの3on3をプレーし、ラストショットをミスして試合に負けたロブ・シュワルツの証言
「誰かが自分を凝視しているように感じることってあるだろ? そっちを向く必要はないけど、なんとなくわかるよね? 3on3で負けた後、俺はコビーの視線を20分間感じてた。まるで州大会の決勝でミスしたような気持ちになったよ」(Sports Illustrated, 2008)
 ●チームUSAのトレーナー、ロバート・アラートの証言
「コビーと初めて会ったのは、代表合宿で行なわれた最初のスクリメージの前日だった。私は電話番号を渡し、追加のトレーニングが必要だったらいつでも連絡してくれと伝えた。

 その晩、ホテルの部屋で映画を観たら遅くなり、ベッドに入ったのが深夜の3時30分。眠りに落ちた矢先、電話が鳴った。コビーからだった。なんだろうと思い電話に出ると、『ヘイ、ロブ、迷惑じゃなきゃいいんだけど』。『大丈夫だよ、どうした?』。『いや、ちょっとコンディショニングワークを手伝ってもらえないかなあと思って』。時計を見たら4時15分。『もちろん。少ししたらトレーニング施設で会おう』。

 トレーニング施設に着くと、コビーが1人で待っていた。まるで泳いでいたかのように、全身汗まみれだった。1時間15分コンディショニングワークをして、その後45分間ウェイトルームでトレーニング。そこで終了し、彼はコートにシュートを打ちに行き、私はホテルに戻ってベッドに潜り込んだ。やれやれ。

 全体練習初日の集合時間は午前11時。寝不足の状態でメインの練習施設へ行くと、コビーがジャンパーを打っていた。『今朝はいいトレーニングだったね』と声をかけると、『えっ?』とコビー。『コンディショニングワークだよ』と私。『ああ、ありがとうロブ。助かったよ』。『あの後、何時頃終えたの?』。『終えたって、何を?』。『シュート練習だよ。トレーニング施設を離れたのは何時頃?』。『ついさっき。シュートを800本決めたかったんだ。だから、さっきまでかかったよ』。

 私のあごは床まで落ちていた。マジかよ……」(Ball is Life, 2016)
 ●クリス・ボッシュとドゥエイン・ウェイドの証言
ボッシュ:「俺たちは代表チームのトレーニングキャンプでラスベガスにいて、練習初日にチームの朝食会に顔を出した。コビーがやってくるとヒザにアイシングを施し、トレーナーやスタッフと一緒だった。練習着はすっかり汗だく状態。俺は『おいおい、まだ朝の8時だぜ? いったいどこからやってきやがったんだ?』って思ったよ」

ウェイド:「誰もが起きたばかり。みんなあくびしてんのに、コビーはすでに3時間のフルワークアウトをこなしてた……」(ESPN, 2015)

●2007年夏、全米の高校No.1選手だったOJ・メイヨのエピソード
 コビー主催のバスケットボールキャンプ『コビー・バスケットボール・アカデミー』に招待されたメイヨが、コビーにワークアウトを一緒にしたいと願い出ると、コビーは快諾。「明日の3時に迎えに来る」、そうコビーは言った。

 翌日の午後3時、メイヨはコビーの迎えを待ったが、姿を現わさなかった。次にコビーに会った際、なぜ来なかったのか聞いてみたところ、コビーから返ってきた返事は、「朝の3時だ。午後3時じゃない」(CBS Sports, 2007)

文●大井成義

※『ダンクシュート2021年3月号』(狂気の人、コビー)より一部抜粋。

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