【トップリーグ】大物外国人の序盤戦の出来は?「暫定MVP」はバレットでもレイドローでもなく…

【トップリーグ】大物外国人の序盤戦の出来は?「暫定MVP」はバレットでもレイドローでもなく…

レイドロー(左)やバレット(右)も秀逸だが、ペレナラ(中)のパフォーマンスはその出来、精度、勝利への貢献度という点で傑出している。(C)Getty Images

はちきれんばかりの期待感とともに開幕したジャパンラグビートップリーグ(以下トップリーグ)2021シーズンは、コロナ禍にあっても十分な感染対策のもとに進み、全16チームが無事に3試合を終えた。

 日本代表として活躍した選手たちが久しぶりに躍動する場であると同時に、サントリーのSOボーデン・バレット、神戸製鋼のユーティリティーBKベン・スミス(以上ニュージーランド代表)、NTTコムのSHグレイグ・レイドロー(元スコットランド代表)といったワールドクラスの選手が集結し、期待に違わぬ活躍を見せている特別なシーズンともなっている。

 今季来日したビッグネームは3月6日の第3節までにひと通りトップリーグデビューを果たしたわけだが、本稿ではそんな1年目の “大物外国人選手”の貢献度を見定め、勝手ながら「暫定MVP」を決定したい。
  ただ、選手を個別に見ていく前に結論が先になってしまうが、現時点ではっきりと言えるのは、暫定MVPはNTTドコモのSH、TJ・ペレナラ(ニュージーランド代表)でファン、関係者問わず満場一致であろう、ということだ。

 前述のボーデン・バレット、ベン・スミス、グレイグ・レイドローらも世界屈指の高いスキル、安定したパフォーマンスを見せていることは間違いない。現にプレースキッカーのバレットは第3節終了時点で52得点を挙げており、快勝の立役者となっている。トライにアシストにと随所で機能しディフェンスも冴え渡るベン・スミス、1トライ6ゴール3PGを決めているレイドローも然りである。

 ただ、ペレナラのパフォーマンスはその出来、精度、勝利への貢献度という点で傑出している。一瞬の判断やプレー選択がチームにモメンタムをもたらし、開幕3連勝に直結させているのだ。第3節、東大阪市花園ラグビー場で行なわれたNTTドコモのホームゲーム、リコー戦は象徴的な試合と言えよう。
  開幕から3試合連続で先発したペレナラは、前半からリコーの周到なアタックに対しディフェンスで貢献し、36分にはリコーLOデーモン・レエスアスのインゴールへのグラウンディングを阻止。17−10とリードして迎えた後半32分には、自陣ゴール前まで攻めてきたリコーに対しラックでジャッカルを成功させた。これだけでリコーのトライチャンスをふたつ潰したことになる。

 圧巻はフルタイム間際、17−17でドローになる寸前だった後半39分だ。自陣ゴールから30mほどの位置のラックから、ペレナラはこの試合がトップリーグデビューとなったWTBマカゾレ・マピンピ(南アフリカ代表)が走る左大外に向けて鋭いパスを通すと、マピンピから内側のFBトム・マーシャル(元U20ニュージーランド代表)に、そしてさらに内側を追走していたペレナラへとラストパスが渡り、ペレナラは約50mをノンストップで走り切って左隅にトライ。22−17とし、開幕3連勝の立役者となった。
  他にも相手ペナルティー直後の素早いタップキックからのリスタート、鮮やかなインターセプト、相手ディフェンスの裏側へと的確に落とすキックなど、80分間有効なプレーを連発し続けた。この一戦のみならず開幕戦のキヤノン戦、第2節のNEC戦でも勝利に直結するプレーを見せている。マン・オブ・ザ・マッチに輝いたのは終盤に2トライを決めたNEC戦のみだが、3試合すべてで受賞していても不思議ではない圧倒的なパフォーマンスである。

 こうしたペレナラの一つひとつの判断やプレーに、周りの選手が即座に呼応している点も見逃せない。ペレナラがチームを動かしているのは確かだが、チームもペレナラらキーマンをサポートし、最後に再びペレナラ、あるいはリコー戦でトップリーグ初トライを決めたマピンピらによるフィニッシュへと結び付けている。こうした好循環、そして勝利という結果がペレナラの活躍をさらに際立たせているというわけだ。
  もちろん彼らだけではない。大差で3連勝中のパナソニックで早くもチームマンとして機能しているLOジョージ・クルーズ(イングランド代表)とCTBハドレー・パークス(ウェールズ代表)、精度の高いタックルやジャッカルで連勝に貢献中のトヨタ自動車FLマイケル・フーパー(オーストラリア代表キャプテン)、第2節宗像サニックス戦の勝利に貢献した三菱重工SOコリン・スレイド、第3節でトップリーグデビューした神戸製鋼SOアーロン・クルーデン(以上元ニュージーランド代表)らもさすがというべきパフォーマンスだ。

 チームとしては勝てない試合が続いているものの、Honda HEATのLOフランコ・モスタート(南アフリカ代表)やNECのSOアレックス・グッド(元イングランド代表)もさらにインパクトのある働きでチームに勝利をもたらすはずだ。
  また、サントリーCTBサム・ケレビ(オーストラリア代表)、クボタHOマルコム・マークス(南アフリカ代表)やSOバーナード・フォーリー(オーストラリア代表)、トヨタ自動車FL/NO8キアラン・リード(元ニュージーランド代表キャプテン)、そして神戸製鋼LOブロディ・レタリック(ニュージーランド代表)といった来日2シーズン目の「大物」が今シーズン押し並べて高いパフォーマンスを見せていることからもわかるように、1年目の選手もさらに試合を重ねチームにフィットする期間が長くなるほどその活躍度を増していくだろう。

 本稿が選んだ「暫定MVP」TJ・ペレナラを筆頭に、残りのリーグ戦、そしてプレーオフトーナメントにおいても彼らの出色のパフォーマンスが見逃せない。

文●齋藤龍太郎(楕円銀河)

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