ここ数試合の不振から脱却した八村。指揮官が提示した、さらなる飛躍のための「ふたつのやるべきこと」〈DUNKSHOOT〉

ここ数試合の不振から脱却した八村。指揮官が提示した、さらなる飛躍のための「ふたつのやるべきこと」〈DUNKSHOOT〉

バックスとの一戦で今季最多の29得点を奪った八村。ここ数戦続いた不振から脱却したと言っていいだろう。(C)Getty Images

3月13日(日本時間14日、日付は以下同)、ホームのキャピタルワン・アリーナでミルウォーキー・バックスとの一戦に臨んだワシントン・ウィザーズ。試合は第4クォーター残り41.0秒の時点で119-119と同点に追いついたものの、その後シュートを決められず、最終スコアは119-125、接戦を落とし3連敗を喫してしまった。

 この日、ウィザーズはエースのブラッドリー・ビールが左ヒザの痛みで欠場。八村塁は「ブラッド(ビールの愛称)がいなかったので、チームはスコアラーを必要としていたことはわかっていました。だから自分に自信を持って臨みました」と試合後に話したとおり、序盤から積極果敢に攻め立てた。

 試合開始早々に、アレックス・レンのスクリーンからノーマークとなって右ウイングから長距離砲を沈めると、その後もヤニス・アデトクンボ相手にドライブで切れ込んでからストップジャンパー、クリス・ミドルトンを相手にターンアラウンドジャンパーを立て続けにヒット。さらに右ウイングから3ポイント、そしてフリースロー2本を着実に決め切り、第1クォーターだけで12得点を稼ぎ出した。
  第2クォーターも左ウイングからの3ポイント成功を皮切りに、ドライブからのタフショット、さらにミドルトンとの1対1からプルアップジャンパーを放り込み、前半だけでフィールドゴール7/10(70.0%)、3ポイント3/3、フリースロー2/2で19得点を奪う活躍を見せた。

 迎えた第3クォーターは、開始直後にターンオーバーを犯したものの、残り10分20秒でロングレンジジャンパーをヒット。さらに昨季苦戦したドリュー・ホリデーとの1対1では、ドライブでペイントエリアへ持ち込みジャンパーを沈めてみせた。

 残り8分50秒にはクロスオーバーでアデトクンボを抜き去り、ブルック・ロペスの上から狙った強烈なダンクで相手のファウルを誘うと、獲得した2本のフリースローを確実に成功。そしてディフェンシブ・リバウンドからコースト・トゥ・コーストでレイアップ、さらにはペイントエリアから流麗な動きでターンアラウンドジャンパーをリングへと突き刺し、この12分間で10得点をマークした。
  しかし、大事な第4クォーターでの得点はゼロ。接戦の展開のなか、残り約2分にはミドルトンのディフェンスの前にベースラインジャンパーを打たされ、タイムアウト明けの残り7.6秒に放ったトップ・オブ・ザ・キーからの3ポイントもミスしてしまい、勝利へと導くには至らなかった。

 最終的には38分20秒のプレータイムで29得点、11リバウンド、1アシスト、3スティールをマーク。フィールドゴール11/18(61.1%)、3ポイント3/5(60.0%)、フリースローは4本放ってすべて成功と高確率でショットを沈めた。

 さらにディフェンスでもアデトクンボやミドルトンをノーファウルで阻止し、ボビー・ポーティスにも好守を披露。ドンテ・ディヴィンチェンゾのショットに反応してジャンプボールに持ち込み、ウィザーズボールにするなど守備でも見せ場を作った。
 「ルイは今日、フィジカルに戦わなければいけない。ヤニスは怪物だ。たった2、3回のドリブルでフルコートを走れる。3ポイントラインでボールを拾って、ユーロステップからリムへ一気に到達できるんだ。ルイだけでなく、チームが束になってヤニスを止めないといけない。1人では止められない」

 試合前にスコット・ブルックス・ヘッドコーチ(HC)がそう話していたように、八村はアデトクンボにスクリーンでマークを剥がされ豪快なダンクを浴びた場面もあったが、しっかりとマッチアップした際にはパスアウトさせたり、ディフレクションするなど奮戦。しかし、終わってみればアデトクンボに33得点、11リバウンド、11アシストと、トリプルダブルの活躍を許してしまった。

 ただ、試合前に指揮官が話していた「ルイはここ5試合くらい、不調が続いている。若手に限らず、どんな選手にも5、6試合は不調になる期間はある。当然、そこまで長引いてほしくはないし、今すぐにでも調子を取り戻してほしいが、大事なのはとにかくエナジー全開でやること。ディフェンス面では向上してきたが、成長の余地はまだまだたくさんある。昨日(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦)のリバウンド数ゼロは、本来の彼の姿ではない」という不調状態からは脱却したと言っていいだろう。
  15日にもホームでバックス戦を控えているウィザーズにおいて、八村の奮起はますます必要になってくるはず。指揮官は2年目のフォワードについてこう話している。

「ルイがやるべきことはふたつある。まずは必死にディフェンスし続けること。そうすればリバウンドを奪った後に速攻を仕掛けられる。1試合で7リバウンドくらいは平均で残せるはずだ。そうなればルイがボールプッシュして、自身の得点機会も増える」
 「オフェンス面については、オープンショットがあったら逃してはならない。どの選手も最初の数本が外れると自信をなくすことがある。それはルイも同じだろうけど、我々はルイにどんどんシュートを打ってほしい。1試合のフィールドゴール試投数が5、6本では足りないね。1試合に2桁本数を打ってほしい。彼がどんどん打った時の方が、このチームは強いんだ。彼は賢い選手だから、めったに悪いシュートを選択したりはしない。だけど自分から得点できる形を作る必要もあるね。たくさん映像を観て、おさらいをしている。彼がもっと走れる形を作りたいんだ。速攻だけでもルイは1試合に4~6得点できるはずだよ」

 ビールとラッセル・ウエストブルックに次ぐサードオプションとして八村が安定すれば、ウィザーズのオフェンスがより破壊力を増すのは確実。ディフェンス面を疎かにするのは厳禁だが、今後ガードデュオに対する相手のマークが一層厳しくなることが予想されるだけに、八村のステップアップこそが、ウィザーズが後半戦に巻き返す上で大きなカギとなるのは間違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

【PHOTO】攻守でアグレッシブに躍動!NBA1年目から存在感を放った八村塁の厳選ショット!

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