結婚後もハードコアマッチで味わう「生きてる感じ」。ハイパーミサヲは「らしくあらねばならない」という概念を破壊し続ける

■『今こそ女子プロレス!』vol.8
ハイパーミサヲ 後編

(前編:壮絶な過去を告白。大学時代に青山霊園から緊急搬送されるなど「どん底でした」>>)

 大学を卒業し、引きこもり生活を送っていたハイパーミサヲ。ある日、母親の付き添いで東京ビッグサイトの「ハンドメイドインジャパンフェス」に行った。死ぬ気力もない。生きる気力もない。なんの感情もない。曰く「無風みたいだった」ミサヲはそこで、プロレスと出会う――。


2021年12月のハードコアマッチで、頭から画びょうをかぶるハイパーミサヲ(写真提供:東京女子プロレス)

 2014年7月19日、DDTは東京ビッグサイトで路上プロレスを開催。高木三四郎&葛西純vs伊橋剛太&佐々木大輔vs彰人&HARASHIMAvsマサ高梨&坂口征夫による「エニウェアフォール4WAYタッグマッチ(時間無制限1本勝負)」。

 エニウェアフォールマッチは、文字どおり、リング外でのフォールも認められている「なんでもあり」の試合形式だ。屋外のステージに設置されたリングで試合がスタートするも、選手たちはすぐさま屋内のブースに乱入。割れ物のハンドメイド作品が陳列されているすぐそばで、激しい試合を繰り広げた。

「絶対、そんな場所で暴れちゃいけないんですよ。でも"やっちゃいけないことをやっている大人"というのが新鮮で。こうだからこうしなきゃいけないっていうのは関係ないんだなって、感動したんですよね。闘う姿が人生と重なって見えたんです」

 あとから調べると、高木はDDTの社長だということがわかった。大の大人で、しかも社長が、一番やってはいけないことをしている。それまで枠のなかでしか選択してはいけないと思っていたミサヲは、衝撃を受けた。すぐにDDTビアガーデンプロレスを観戦し、翌月、両国国技館大会に足を運んだ。

 東京女子プロレス提供試合。自分と変わらないような普通の女の子たちが、熱い闘いを繰り広げている。女子もプロレスをやっていいんだ――。その日のうちに入門を決意し、東京女子プロレスの甲田哲也代表にメールを送った。とんとん拍子に話が進み、9月上旬には練習生になった。

 それまで親の仕送りで生活していたが、自活することにした。自分なんかが働ける場所なんてない、と思っていたが、プロレスに出会って「なんでもいいからお金を稼げば生きていける」と前向きになった。両親には「このまま何もしなかったら、私はたぶん本当に何もできない。将来、別の何かをするにしても、プロレスを挟まないと次の一歩を踏み出せない」と説得した。

「それまでの人生は、ファミレスのメニューのなかから選ぶみたいなイメージだったけど、プロレスに出会ってからは『シャトーブリアン食べたいから、出して!』みたいな(笑)。急に強気になるっていう。初めて誰の影響も受けずにした選択がプロレス入門でした」

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