石川佳純が全日本優勝で証明したこと。20年間培ってきた対応力で進化

 女王に返り咲いた瞬間、その目からは涙が溢れ出た。

 1月17日に行なわれた卓球女子の全日本選手権決勝で、東京五輪代表の石川佳純が同代表の伊藤美誠を4−3のフルゲームの末に破り、5年ぶり5度目の女子シングルス優勝を果たした。


全日本選手権で5年ぶりに女子シングルスを制した石川

 最後に日本一になった2015年以降は、伊藤や平野美宇、早田ひなといった2000年生まれの"黄金世代"が頂点に君臨してきた。その中で石川は、今年2月で28歳と、卓球選手としてベテランの域に達しつつあるが、若い力、年齢の壁をも跳ね返してみせた。

 第1ゲームが終了した時点では、石川が勝利を掴むのは厳しいと思った人も多かったかもしれない。それほど序盤から、伊藤の速い打点、ピッチから放たれるスマッシュやミートに対応できずにいたからだ。

 伊藤とは日本代表として共に過ごす時間が長い分、プレースタイルや戦術もよく知る間柄。加えて準決勝では、伊藤もラケットの裏面に付けている「表ソフトラバー(回転よりスピードを重視したラバー)」を使用する木原美悠と試合をしている。そのため同ラバー独特の、ナックル気味の球質に慣れた状態で決勝に臨んでいたはずだった。

 しかし、捉えることができない。それほど伊藤は、ラバーやラケットの使い方、相手を混乱させる戦術が多いということ。石川自身も「1ゲーム目は(伊藤の)スピードにまったくついていけなかった」と試合後に振り返っている。

 先にゲームを奪われた石川だが、切り替えの早さを見せる。台から少し距離を取り、中陣でのプレーを選択したのだ。伊藤が得意とする表ソフトでの強打は、回転がかかったドライブに比べて初速は速いものの、すぐに失速してしまう特徴がある。そのため少し後ろに下がることで、伊藤のバックの強打を、威力が落ちた状態で対応することが可能になる。卓球歴20年の豊富な経験、引き出しを持つ石川だからこその戦術だ。

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