阪神園芸の職人技も! 赤星憲広が教える甲子園球場での外野守備

野球は、球場によって環境が全く違うスポーツ。球場の状態はもちろん、その土地特有の現象や観客もプレーに影響してくると、阪神タイガースで不動のセンターだった赤星憲広氏は語ります。今回は、球場の特徴や地理による環境の違いについて、対策法も交えながら解説します。

※本記事は、赤星憲広:著『中堅手論』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

■イレギュラーしないのは阪神園芸のおかげ

▲整備されてストライプ柄になっている野球場 出典:ストリーム / PIXTA

野球は、球場によってプレーする環境が大きく異なるスポーツだ。ここでは、僕が数多くプレーした阪神甲子園球場の外野守備について触れてみたい。

甲子園はプロ野球でも常に使っている、いわゆる「常打ち球場」。高校野球の聖地でもある。だから、いつもしっかり整備されていて、土の影響でイレギュラーすることは、あまりない。

芝も当然きれいだし、その下の地面もすごくきれい。芝の刈り方については、本拠地の利で、「リクエスト」を出させてもらっていた。

「芝を刈る方向を統一していただけるでしょうか。とりあえず、打球が真っすぐ転がってくるようにカットしてくださるとうれしいです」

阪神園芸さんの仕事の素晴らしさは、もうすさまじい。

ゴルフで説明するとわかりやすいと思うが、芝の「順目」と「逆目」によってボールの転がり方が変わるわけだ。

バックネット側から見て白く見えると、バックネット側からバックスクリーン方向に芝を刈っている。濃い緑色に見えると、Uターンしてバックスクリーン側からバックネット方向に芝を刈っている。だから、甲子園の外野の芝は白と緑、2色のコントラストですごくきれいに見える。

つまりバックネット側からバックスクリーン方向に刈ってあっても、その逆であっても「縦刈り」に統一さえしてあれば、ホーム側からセンター方向に飛ぶ打球は比較的きれいに転がってきて、ゴロ捕球はしやすかった。

それが「ライト側→レフト側、レフト側→ライト側」にUターンして芝を刈られると、芝目が横に向く。すると打球が蛇行して揺れて飛んでくるので、ものすごく怖いのだ。

■甲子園で守るときに気をつけること

▲高校野球でのフライキャッチ イメージ:タッチ / PIXTA

あくまで感覚なのだが、甲子園ではライトからレフト方向へ吹く「浜風」に影響されて、フライの落下速度が遅くなると感じた。ロッテの本拠地・ZOZOマリンスタジアムは風速表示10メートル以上の強風で有名だが、甲子園もかなり強い風が吹く。

高校野球の試合で「イージーフライと思われた打球をまさかの落球」というシーンがときに見られる。普通の感覚でグラブを閉じると、まだグラブまで到達しきっていないということが起こり得るからだ。

だから、甲子園で守るときはフライを「つかみ」にいってはいけない。つかみにいったらフライを落とす。待って、落ち切ってから捕る。フライを捕ってすぐボール回しをしたがる選手は、落とす危険性をはらんでいる。

さらに甲子園には、ネット裏から内野席にかけて観客席を覆う「銀傘」が設置されている。昼間のデーゲームだと、そこに日光が反射して、前方への打球なのか後方への打球なのか、一瞬わからなくなることがある。

そこにプラスアルファ、夏になると白い服を着ている観客が多いので、打球が重なって非常に見えにくくなる。

逆に、ドーム球場だけでプレーしていると守備はうまくならない(ただし、送球エラーに屋内・屋外は関係なく、ゴロ捕球・フライ捕球とは別の話だ)。

土・天然芝・風の影響を念頭に置いて屋外球場でプレーしているのだから、エラーはある程度多いにせよ、阪神の選手は鍛えられて守備がうまくなるはず。「甲子園で守れる」ということは価値があるということなのだ。

▲夏の観客は白い服が多い イメージ:風見鶏 / PIXTA

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