練習中にバチバチのケンカ? 車いすバスケ古澤拓也&鳥海連志が対談
2022年08月11日 07時00分WANI BOOKS NewsCrunch
古澤拓也の著書『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』(小学館)と、鳥海連志の著書『異なれ』(ワニブックス)の発売を記念したオンライントークショーが8月6日、渋谷TSUTAYAで行われた。現在、同じクラブチームのチームメイトでもあり、「レンシ」「タクちゃん」と呼び合う息のあったトークの様子をお伝えする。

▲リラックスした表情で話す二人
■古澤「マッチアップした瞬間にスイッチオン」
1996年5月生まれの古澤と1999年2月生まれの鳥海は学年で2つ違い。初めての出会いは古澤が高校1年、鳥海が中学2年、乗鞍(のりくら)で行われたジュニアの強化合宿でのこと。2017年、鳥海がパラ神奈川SCに移籍してチームメイトになってからは、より濃密な仲になったという。
お互いをライバル視する二人は、チームメイトがけしかけたこともあり、練習中はいつもバチバチのバトルモードに。その空気のまま試合に入って、ケンカになったこともあったという。
古澤 「お互いがマッチアップした瞬間、スイッチオンみたいな感じになっていました」
鳥海 「今でも(練習中の)コートで、普通にスイッチオンになって全然いいプレーをさせてもらえないみたいなときがある」
古澤 「それはお互いさまでしょ(笑)。でも、東京(五輪)が近づくにつれて同じコートに立って同時にプレーすることが増えた。コンビを組むことが多くなって、変わった」
と、ライバルからチームメイトへの変化を語った。
お互いの尊敬している点を尋ねられると、鳥海は「タクちゃんみたいな華麗なプレースタイルは、僕は体現できない。汗ひとつかかずにさらっとやっちゃう感じにあこがれる」と言うと、「アグレッシブなチェアスキル。対峙したときの『圧』や爆発力のあるプッシュがすごい。周りをよく見て合わせることもできる」と古澤も応じ、お互いのプレースタイルへのリスペクトを語った。

▲トークショー後はサイン本のお渡し会も開催
■鳥海「U-23世界選手権で金メダルを!」
書籍の執筆のきっかけについて聞かれた二人は、それぞれ以下のように答えた。
古澤 「12歳で脊髄の病気から車イス生活になり、野球ができなくなったことに絶望していた。北京パラで車いすテニスの国枝慎吾選手が活躍するのを見て、車椅子でもかっこいいんだと感じた。今度は東京パラで銀メダルを取った僕らが先輩たちと同じように、次の世代の子どもたちに『車椅子でもかっこよくなれる』と思ってもらえるときが来たと思った」

▲3ポイントシューターとして活躍する古澤
鳥海 「バスケットを始める前、幼少期からの経験は、きっと誰かの参考になるだろうと思っていた。僕の本というより、僕を育てた母の本でもある。ただ一冊の本にするには壁があったけど、五輪で銀メダルを取ったタイミングで、ここしかないと思った」

▲執筆のタイミングについて語る鳥海
トークショーでのやりとりには、古澤がバスケットとテニスと両方をやっていて、2013年に東京パラの招致が決まったときにバスケットを選択したエピソードや、鳥海がアルペンスキーを体験して冬競技にも関心があることを披露、ファンには興味深い話だっただろう。
今後の展望について、鳥海は「9月にタイでのU-23世界選手権で金メダルを持って帰って、タクちゃんにドヤりたい」と言うと、古澤は「前回のU-23は僕がキャプテンとしてベスト4に導いた。レンシたちはそこで力をつけたのだから、金メダルをとったら僕のおかげ」と笑わせた。
選手でありながら、パラ神奈川のチームメイトとともに大会やイベントの主催や運営も手掛けているという二人。従来の車椅子バスケットの概念を覆すものを企画しているという。未来の車椅子バスケットを担う二人の活躍に今後も注目だ。

▲仲よく自撮りでツーショット撮影
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