イチロー、青木宣親、内川聖一…21世紀最強のアベレージヒッターを考察
2023年01月19日 07時00分WANI BOOKS NewsCrunch
打率3割以上であれば、好打者と言われる野球。その3割に乗せるのがとても難しい。しかし、そんななかでも軽々と3割を超え、ときには4割に迫ろうかという活躍をみせる打者たちがいる。
今回は、ヒットを積み重ねるアベレージヒッターについてみていこう。
■メジャーでシーズン262安打を放ったイチロー
アベレージヒッターとして一番に名前があがるのは、やはりイチローだ。NPB時代の7年連続首位打者(1994年~2000年)はもちろんのこと、メジャーリーグでも2度の首位打者を獲得。キャリアを通してヒットの印象が強いと思われるが、NPB時代には25本のホームランを(1995年)を放ち、本塁打争いもした。
さらに、メジャー時代も2005年に15本塁打を記録している。ベースとなるパワーは兼ね備えていたが、スラッガー揃いのメジャーリーグでは、ヒットメーカーとして生きる道を選んだ。
200本安打に関しては、10年連続(2001年~2010年)で記録した。常に世界トップクラスの活躍をしていたが、特に2004年のシーズン262安打はアンタッチャブルレコード。一生塗り替えられないと言われている。このシーズンは30歳を迎えており、フィジカル的に全盛期と言える時期だっただろう。

▲2004年、シーズン最多安打記録となる262安打を放ったイチロー 写真:AP/アフロ
だが、そんな2004年シーズンは最初から良い出だしだったわけではない。4月末時点では102打数26安打、打率.255と低調な成績だった。活躍が不安視されていたなかで、5月から一気に調子を上げていく。6月11日には自己タイの38試合連続出塁、6月26日には早くもシーズン100安打に到達する。ただ、この6月も月間打率2割台に終わった。
しかし、7月、8月は4割台(.432、.463)で9月は.373、10月は.419を記録。後半戦の成績は、333打数143安打、打率.429と驚異的な数字を残した。
この年、ストライクゾーンのコースの打率は全て3割を超えており、投手も投げるコースがなくお手上げ状態だった。世界の安打製造機となったこのシーズンは、今でも語り継がれている。
また、WBCで日本代表を引っ張った二大会も印象に残っている人は多いだろう。孤高の天才が日の丸を背負って、あそこまでパッションを見せたことは印象深い。
さらに第二回大会は不調に苦しんでいたが、決勝戦で試合を決めるタイムリーは伝説とも言われている。日本でもアメリカでも、誰よりもヒットを打ったイチローは、間違いなく球史に名が残る選手である。

出典:https://sp.baseball.findfriends.jp/player/result/%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%AD%E3%83%BC/
■日米でヒットを積み重ねる青木宣親
次は青木宣親だ。NPB史上唯一の2度の200本安打と3度の首位打者を獲得。21世紀以降で首位打者を3度獲得した選手は青木のみ。
また、赤星憲広の盗塁王を阻止したのも青木で、全盛期は足でも活躍を見せた。さらに、この青木もイチローと同様にベースとなるパワーは兼ね備えており、NPB時代には20本塁打(2007年)、メジャー時代には10本塁打(2012年)を記録している。
国際大会でも、北京五輪では低迷した野手陣のなかで奮起し、2009WBCではベストナインを獲得する活躍で2連覇に貢献した一方、2009年はキャリアで一番苦しんだシーズンになった。
WBC出場のため、早い段階での調整や他国の投手のフォームの違いなどもあり、前半戦はまさかの打率.249と低迷。しかし後半戦からは、本来の打撃を取り戻して驚異の復活を遂げる。最終的には、3割を超える成績を残した。
メジャーリーグに移籍した際は、日本人野手の苦戦が続いた影響もあり、まさかのテスト入団。メジャーではシーズン3割こそなかったものの、通算で打率.285を記録した。
日本球界復帰後は、2020年にキャリア最高の長打率.557を記録。3割も2度記録するなどの活躍を見せている。

出典:https://sp.baseball.findfriends.jp/player/result/%E9%9D%92%E6%9C%A8%E5%AE%A3%E8%A6%AA/
■右打者最高打率を残す内川聖一
最後は内川聖一だ。この内川は遅咲きの部類かもしれない。若手の頃にイップスになり、苦しんでいたなかで8年目にシーズン右打者最高打率となる.378を記録。
前年にブレイクの兆しはあったものの、本格的に開花した打撃は、このシーズンから球界の安打製造機となる。ここから7年連続打率3割を達成し、通算で8回の打率3割を記録する。この内川もヒットメーカーのイメージは強いが、ベースとなる長打力を兼ね備えており、自己最高は19本塁打(2013年)を記録している。
WBCの大会序盤は、前年の対左へのシーズン打率.439を買われて、相手の先発投手が左投手の試合での起用が多かった。決勝戦はフル出場を果たし、イチローの決勝タイムリーでホームを踏んだ。
ソフトバンクに移籍後には、新しい環境でありながら、統一球元年のシーズンで史上2人目の両リーグ首位打者を獲得。その年のクライマックスシリーズでMVPを獲得してからは、クライマックスシリーズでは3度、日本シリーズでは1度のMVP、優秀選手を獲得するなど短期決戦の強さを発揮。
3大会にわたり出場したWBCも全て打率3割以上を記録。まさに職人芸のような活躍を見せてくれた。

出典:https://sp.baseball.findfriends.jp/player/%E5%86%85%E5%B7%9D%E8%81%96%E4%B8%80/
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日本のアベレージヒッター3名をピックアップしてみた。
日本とアメリカで圧倒的な実力を見せてきたイチローが、現状では21世紀最強のアベレージヒッターであることは間違いない。シーズン最多安打はもちろん、WBCでの鬼気迫る表情など、記録と記憶、両方で名を残す選手だ。
また、いまなおヤクルトの一員としてプレーを続ける青木宣親。21世紀以降、首位打者を3度獲得した選手は青木のみという点からも、ハイレベルなアベレージヒッターということがわかる。高津監督率いるチームで、2023年シーズンもヒットを積み重ねる姿を見せてほしい。
右打者としての最高打率.378という素晴らしい成績を残した内川聖一。短期決戦での勝負強い打撃は、印象に残っている人も多いはず。2023年シーズンはプロ野球独立リーグ・九州アジアリーグに属する大分B-リングスでプレーする。これまでの経験を若手に還元していくのではないだろうか。
■プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
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