ピルロとカンテと森脇良太-カカロニ・すがやの“熱”Football Watch!-

■脳裏に焼き付いている生で見たスゴい選手たち

僕はW杯をブラジル大会から3大会、合計21試合を生観戦しています。Jリーグはおそらく100試合以上は見てるはず。高校サッカー、大学サッカーも好きなので、そこそこの試合数は見てきてるはずです。

たくさんのスタジアムで見てきた選手たちが、僕の脳裏に焼き付いています。

ブラジルのフォルタレーザで見た、サイドバックなのに必ず1人かわして味方にパスを出す(それも相手が切りにきてるコースを平気で通す)マルセロ。

西が丘で見た、中学2年なのにプロ内定の高校生に混ざってガンバユースの試合で大活躍する宇佐美貴史選手。

信じられないくらい速かったし、ボールを取られると守備に戻るより先に、全然ほどけてない靴紐を結ぶフリをしてシューズのせいにするエメルソン。駒場。

天皇杯で駒澤大をパスサッカーでチンチンにして、あと少しでFC東京のトップチームと東京ダービーできるとこまでいくも、大学生のパワープレー一発の前に沈んだ東京ヴェルディユースのリケルメだった小林祐希選手。西が丘。

50m6.0秒で僕の大学の最速ドリブラーの縦突破を、余裕で身体を入れて止めていた元U-18日本代表で国士舘大学のセンターバックの大久保翼さん(しかも怪我明けの調整ということでスパイクすら履いてなかった)。国士のグラウンド。

僕が見に行くと、どんなスタジアムでも必ずベンチ外のイニエスタ。

カテゴリー問わず、たくさんの選手が興奮を与えてくれました。

そんななかでも、今回は僕が生で見ることで、よりスゴさを感じることができた選手を紹介したいと思います。

この連載を始めるにあたって、そういう題材で書いてみては? と言っていただいたのでぜひお付き合いください。

■ピッチ上の全員が見えているピルロ

1人目はアンドレア・ピルロ(元イタリア代表MF)です。

僕が見たのは、ブラジルW杯のイタリア対ウルグアイの一戦。

世間的に印象的なシーンで言うと、ウルグアイのFWスアレスがイタリアのDFキエッリーニに噛みついた試合です。あのときのスタジアムの雰囲気は良かったなぁ。

観客席ではいろんな国の言葉が飛び交うんですが、なんとなく伝わる、各国語の

「あれ? スアレスやらかしたんじゃね?」

と言ってる空気。

試合後、レストランに行ったのですが、試合映像のハイライトで繰り返し流されるスアレスの噛みつきシーン。

それに頭を抱える敗れたイタリアサポーター。

そして爆笑するブラジル人。

その奥で頭を抱えるウルグアイ人。

という非常に面白いコントラストでした。

そんな試合を僕は2階の最後列で見ました。せっかくこんな全体が見える席だから、ちょっと特別な楽しみ方をしてみよう! と思い、僕はその試合、ピルロだけを追いかけて予測しながら見てみました。

すると、僕が「次ここに出すかな」と予想した遥か上をいくアイデアの数々とその精度。

「これはダイレクトで下げるな」と上から見ていても思ってしまうような場面で、「いつ見たんだよ」っていうロングパスを上からでも見つけられない対角線の裏に通す。それも何度も。

これはテレビでは味わえない贅沢な楽しみ方でしたね。

ああ、本当に22人全員見えてるんだ……っていう。

ピルロは上から見ている僕より、さらに上から見えてるんだなぁと感動した記憶があります。

■ポジショニング抜群のカンテ

あと、ワールドカップで印象に残ったのはエンゴロ・カンテ(フランス代表MF/チェルシー)です。

僕はフランスの試合を実質2試合、現地で見ています(2018のフランス対デンマークという、お互い0-0なら勝ち上がりだから、ずっとちんたらボール回してた試合も見たけど、あれは観戦というよりデンマーク人とビール飲んでただけという感覚なのでノーカン)。

ちなみに、僕が見た2試合でエンバペ(フランス代表FW/パリ・サンジェルマン)が合計3点決めてるんですが、「いい選手だなぁ」と印象に残るのはどちらの試合もグリーズマン(フランス代表FW/アトレティコ・マドリード)であり、2018に見たカンテでした。

いや、エンバペのロングスプリントとかも上から見るとより陸上競技みたいにスゴくて、衝撃的なんですけど。

でも、グリーズマンがフランス代表だと本当にいいんですよ! いつもバランス取りながらチャンスに絡み、守備でもコースを切るのが抜群に上手い。

そして、そのグリーズマンと連携してことごとくボールを奪うのがカンテでした。カンテも生で見てなお、スゴさがわかる選手だと思います。

守備範囲とボール奪取技術で有名な選手なのですが、ポジションが抜群なんです! 危険なコースをことごとく封鎖して対戦相手・ペルーのボールを次々と奪っていく。

そして一試合のなかで、数回「あれ? これ縦のコース空いてない?」という場面もあるんですが、これがものの見事に全部カンテの罠なんですよ!

そこに出した縦パスを、待ってましたとばかりにカンテが奪っていく。運動量が売りで、守備が好きな僕には一番憧れるプレーヤーでした。

■どんな試合も絶対に折れない森脇良太

そして最後は、愛媛FCでプレーしている森脇良太選手です。

いや、オチとかじゃなくて。

僕は浦和レッズ時代の森脇選手を何度も見ているのですが、今の妻と付き合うようになってからは、ゴール裏よりもレッズシートという選手の声が聞こえるくらいピッチから近い席で見る機会が増えました。

すると、誰よりも声が聞こえるのが森脇選手。

僕の中にムードメーカー論というのがあって、それは「チームがうまくいってるときに、盛り上げたり引き締めるのは『ムードメーカー風』であり、極論、誰でもできる」ということです。

本当にチームに必要なのは、うまくいってるときではなく、自分がミスしたあとや、チームが全くうまくいってない、空気が悪いときに奮い立たせることができる選手であり、それが本当のムードメーカーだと思っています。

森脇選手は僕が見てきたなかで、それを誰よりも体現した選手でした。

「これは、ほぼほぼ負けるな」という「他の選手もちょっと折れちゃってるかな?」という試合で響いてるのは、いつも森脇選手のポジティブな声でした。

おそらく僕が生で見たなかで一番のムードメーカーだと思います。これもスタジアムで出会えた選手の素晴らしい面。

ぜひ皆さんもお近くのスタジアム足を運んで、テレビでは気づけないマイスーパープレーを探してみては!

今日はこの辺で!

■プロフィール

カカロニ・すがや

1991年3月5日生まれ。O型。東京都出身。2016年、現在の相方である栗谷とカカロニを結成。グレープカンパニー所属のお笑いコンビとして活動中。趣味はサッカー(サッカー歴15年・ブラジル・ロシア・カタールW杯を現地観戦)、深夜ラジオ(元ハガキ職人)。特技はサッカーとくりぃむしちゅー上田さんの例えツッコミを暗記すること。Twitter: @sugayazinho  instagram: sugayazinho

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